音楽ナタリー Power Push - SHE'S

成長遂げた2015年を締めくくる「She'll be fine Vol.6」

SHE'Sが自主企画イベント「She'll be fine」の第6弾を12月に東名阪で実施する。2015年は3月に2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」をリリースし、6月に東阪でのリリース記念ワンマンライブのチケットをソールドアウトさせるなど充実した日々を過ごした彼ら。今年の活動を締めくくる今回のイベントに対してはどのような意気込みを抱いているのか。フロントマンの井上竜馬(Vo, Key, G)に聞いた。

取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 塚原孝顕

よい変化を形にした「WHERE IS SHE?」

井上竜馬(Vo, Key, G)

──音楽ナタリーでのインタビューは、2014年7月の1stミニアルバム「WHO IS SHE?」リリース時(参照:SHE'S「WHO IS SHE?」インタビュー)以来ですね。初の全国流通盤となった前作のリリース以降、バンドの調子はいかがですか?

順調ですよ。2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」を出し、そのツアーも無事終了して。

──井上さんご自身には何か変化がありましたか?

僕は1stを制作してたとき以上に、生活の基盤に音楽がある気がします。より音楽活動中心の生活になっただけでなく、なんらかの娯楽……例えば読書だったり映画鑑賞だったり、そういったものも自分の作品につなげて考えるようになっていて。それに昔は曲作りも「さあ制作しよう」って意気込んでから始めていましたが、今はすごく自然に作れるようになりました。

──前回のインタビューでは自分の心情と創作する楽曲の世界観がダイレクトにつながっているというお話をしていましたが、「WHERE IS SHE?」と前作を聴き比べると、SHE'Sの一番の魅力であるメロディのよさがより伝わりやすいサウンドに仕上がった印象を受けます。

そうですね。以前は特定の人物に向けて歌ったものが多かったんですけど、違う方向を目指すようになったんです。もともと僕の恋の話は僕にしかわからないものだから、メンバーに対しても楽曲で伝えたいことについて理解してもらうことを重要視してなくて。だから制作におけるメンバーの役割も、今までは音色作りとか一定の範囲に限られてたんです。

──それが「WHERE IS SHE?」のときにはメンバーとの関係も変わってきた?

井上竜馬(Vo, Key, G)

はい。歌について自分が伝えたいものをちゃんと聴き手にも伝わるようにってことを意識したら、メンバーからも自ずと「こういうこと歌うんやったら、ここでこうしたほうがよくない?」って意見が増えていきました。レコーディング中にどんどんメンバーの音のこだわりが見えるようになって、しかもそれが自分の思ってた音とバチッと一致してたんです。

──その結果、今作におけるサウンド面での表現力はより豊かになりましたね。メンバー全員のコーラスや生のストリングスなどが導入され、ColdplayやU2といったスタジアムクラスのロックバンドの楽曲のようなダイナミックな音になりました。

そうですね。全員が洋楽のロックスターの曲を聴いて育ってきたから、スタジアムクラスの会場でも映える音を出すバンドになりたいっていうのは共通していて。それで合唱や生のストリングスを入れました。もともとストリングスの音はシンセで弾いて入れてたんですけど、楽曲の輪郭がはっきりしていくにつれてどんどん「シンセじゃダメだ」って思ってきて。結果、実際に生のストリングスを入れてみたら曲が生き生きとしたものになりました。

──今作が井上さんにとっても、メンバーの方々にとっても自信作になったっていう自負はありますか?

みんな口をそろえて「最高傑作できたね」って言ってました。メンバーはわりとクールというか、あまり感想を口に出さないタイプなんで(笑)、メンバーから「傑作だ」って言葉を聞けたときは手応えを感じましたね。

パフォーマンス面の成長

──ライブの面ではどうでしょうか。オーディエンスの様子やバンドのパフォーマンスにおける変化などあれば教えてください。

「WHERE IS SHE?」の収録曲「Long Goodbye」がいろんなところで流れていて、今までのファン以外の方々にも広がってるんだなと感じています。それに僕らのライブに向ける意識も「WHERE IS SHE?」を出したあたりから変わってきて。

──具体的にどんな気持ちに?

「歌って発散する」から「一緒に歌いたい」という気持ちでパフォーマンスするようになりましたね。そしたら今まではお客さんが「はー……」っておのおの曲の世界に浸るような感じだったのに、楽しそうな表情で反応してくれるようになったというか。実際にお客さんからも「楽しかった」って声が増えたなと思いました。

──1stのときに加え、レコ発として実施した2度目の東阪ワンマンライブのチケットもすべて完売しましたね。

はい。このまま順調に、でも止まることなく進んでいけたらいいなと思ってます。僕たちはすごく奇をてらったことをしようとも、めちゃくちゃ大衆にウケたいと考えてるわけでもないから、一気にスポーンと突き抜ける想定はしてないんです。それにたとえ遠回りをしても自分たちの道を着実に歩いて、そこからわかったことや歌いたいと思ったことを見つけられたんで、このペースを保ったままやり続けられればと思ってます。

自主企画イベント She’ll be fine -chapter.6-
2015年12月8日(火)大阪府 Shangri-La
出演者
SHE'S / Ivy to Fraudulent Game
2015年12月10日(木)愛知県 APOLLO BASE
出演者
SHE'S / Goodbye holiday
2015年12月18日(金)東京都 下北沢GARDEN
出演者
SHE'S / ココロオークション
ミニアルバム「WHERE IS SHE?」2015年4月29日発売 / 1728円 / BLUE ALBUM / QFCS-1010
「WHERE IS SHE?」
収録曲
  1. Change
  2. Night Owl
  3. L&F
  4. Evergreen
  5. Long Goodbye
  6. Back To Kid
  7. All My Faults
SHE'S(シーズ)
SHE'S

井上竜馬(Vo, Key, G)、服部栞汰(G)、広瀬臣吾(B)、木村雅人(Dr)からなる4人組ピアノロックバンド。2011年の結成から地元大阪を中心に活動を続け、2012年に行われた「閃光ライオット2012」ではファイナリストに選出された。2014年7月に初の全国流通盤となるミニアルバム「WHO IS SHE?」を発表し、2015年5月には2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」をリリース。12月には東名阪ツーマンツアー「She'll be fine -chapter.6-」を開催する。