No title|17歳が等身大で届ける、旅立ちの歌

青森県三沢市在住の高校生バンドNo titleが11月14日に新曲「ねがいごと」を配信リリースした。

2017年に音楽ストリーミング時代の新たなスターを発掘することを目的としたオーディションプロジェクト「LINE オーディション2017」で、総合グランプリを獲得したNo title。バンドにとって3曲目の配信曲となる「ねがいごと」は夢に向かって進む大切な人をそっと送り出す、エモーショナルなナンバーに仕上がった。音楽ナタリーでは、デビューから1年を迎えようとしている3人にインタビューを実施。現在高校2年生の彼女たちがどのように音楽活動に取り組んでいるのか、話を聞いた。なお特集の最後には、3人のプロフィールも掲載している。

取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / 塚原孝顕 ロゴイラスト / ほのか

No title「ねがいごと」
2018年11月14日配信 / LINE RECORDS
No title「ねがいごと」
収録曲
  1. ねがいごと

毎週水曜にカバー動画をアップ

──No titleは昨年オーディションプロジェクト「LINE オーディション2017」で総合グランプリを獲得し、今年の1月にLINE RECORDSよりデビューしました(参照:LINEオーディション覇者No titleがデビュー、本日新宿で路上ライブ)。オーディション優勝という1つ大きな目標を達成してから、どういったことをモチベーションに活動してきましたか?

ほのか(Vo, G)

ほのか(Vo, G) 今は目の前の物事を着々とこなしている状況ですね。チャンスは逃さない。そのために1つひとつのお仕事をちゃんと120%でやるということを意識してきました。

──皆さんは今高校2年生で、青森に住んでいます。高校生活とプロとしての音楽活動を両立させるのは簡単なことではないですよね。平日は学校に通って、今週末は取材やアーティスト写真の撮影のために東京に来られて。

あんべ(G) 学業と音楽活動の両立は常に意識しています。大変ではありますが、レコーディングをするたびに自分たちの曲が増えるのがうれしいので、それをモチベーションにがんばっていますね。

ポチ(Key) はい。楽しんで活動しています。

──No titleは今年の4月から、毎週水曜日にバンドの公式Twitterアカウントにいろんなアーティストさんの楽曲のカバー動画を投稿されています。

ほのか ありがたいことに、No titleを応援してくださる方が徐々に増えてきていて。ただ、青森までわざわざライブを観に来ていただくのって、ちょっと難しいと思うんです。なかなかライブに来れない方々にも喜んでもらえたらなと思って動画を投稿し始めて、習慣化していますね。SNSでのつながりを大事にしています。

──荒井由実さんや米津玄師さんなど、幅広いアーティストの楽曲をカバーされていますが、選曲はどのように?

あんべ リスナーさんからいただいたリクエストを見て決めていますね。あとは、そのときに世間で話題になっている曲とか。

ほのか リクエストを募集するようになってからは、リスナーさんとよりコミュニケーションを取れるようになったと思います。

──青森を中心に、ライブ活動も増えていますね。

ほのか はい。ただ、ライブパフォーマンスに関してはまだまだですね。楽しんでやっている反面、MCでしゃべりすぎてしまうこともあったり。毎回課題が見つかります。

ポチ イベントでほかのアーティストさんの演奏を観ていると、自分たちはまだまだ未熟だなと。

あんべ 表現の仕方だったり……まだ全然足りていないですね。

ほのか 本当はもっとお客さんとコミュニケーションを取りたいんですけど、今はまだ演奏するだけで精一杯になってしまっていて。お客さんとのやり取りや、パフォーマンスに緩急を付けるといった表現もライブの醍醐味だと思うので、ちゃんとできるようになりたいです。

ポチとあんべ、そして私の友達に向けて

──新曲「ねがいごと」は、切なくも疾走感のあるエモーショナルな曲になりましたね。

ほのか レコーディングでも“エモい”という言葉が飛び交ってました(笑)。

──前回のインタビューでは、におPのカバー曲「rain stops, good-bye」についてお伺いしました(参照:No title インタビュー)。新曲「ねがいごと」はオリジナル曲ということで、No titleがどういうプロセスで曲を作っているのか聞かせてください。

ポチ まず、僕とあんべが個々にたくさんデモ音源を作って、それをアレンジャーさんに提出して聴いてもらっています。そこで「この曲がいいんじゃないか?」と意見をもらって、本格的に楽曲制作に取り組んでいきますね。

ほのか 「ねがいごと」はあんべのデモが元になりました。

──デモの段階であんべさんの中にすでに“エモい”というイメージがあったんですか?

あんべ そのときは特に“エモい”イメージはなかったんですよ。ともかくたくさんデモを作っていて。でも、なんとなくライブをするときにみんなで盛り上がれるアップテンポの曲を作りたいという意識があって、その中でできた曲ですね。

──そこに、ほのかさんが歌詞を付けるという。

ほのか 私は普段から思ったことや歌詞にできそうなことを書き溜めていて。歌詞を書くときはその中から「このフレーズを絶対使おう」と選んで、そこからイメージを広げていくんです。今回、最初にいろんなことを詰め込みすぎて情報過多になってしまって、作詞はけっこう苦戦しましたね。

──この曲は、大切な人を送り出す別れの歌になっています。書き溜めていた思いの中から、このテーマを選んだ理由は?

ほのか 今回、歌詞の中に「君」というワードがいっぱい出てくるんですけど、実はこの曲は私からポチとあんべ、そして私の友達に向けて書いた曲なんです。今私たちは高校2年生なんですけど、最近時の流れって早いなと感じるようになって……自分が1年後に経験する卒業、旅立ちを意識して、こういった曲になりました。ポップだけど、歌詞は切ない感じの曲を作りたいと思っていましたね。

──別れの歌ではありますが、「寂しい」という感情で終わる歌にはなっていないですよね。寂しさをこらえて、夢を追いかけて行ってしまう「君」の幸せを願う歌になっています。

ほのか 学校を卒業して、友達が夢を追って遠い大学に行くとか、そういうことも将来起こりえると思うんですけど……その中でも失われない明るさと言うか、晴々とした感じにできたらいいなと思って、こういう歌になりましたね。寂しいけど応援したい、みたいな。

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今しか書けない詞を