ナタリー PowerPush - 乃木坂46公演「16人のプリンシパル trois」
恒例劇場公演をメンバーが徹底解説
ここからは乃木坂46のメンバー6名(西野七瀬、若月佑美、橋本奈々未、衛藤美彩、生田絵梨花、桜井玲香)に昨年の「16人のプリンシパル deux」を振り返ってもらい、稽古から1幕での立候補~オーディション~結果発表~2幕の本番~終演後までの流れを彼女たちの視点で説明していく。
稽古(解説:西野七瀬)
演じる役が16役あるので、稽古のときはまず「この役は誰々さん」みたいな感じで割り振られて、セリフを覚えつつ動きもメモを取りながら練習していきます。ほかのメンバーが自分が担当した役と同じ役を練習してるときはそれを見て、さらにメモを取って。でもただ見てるだけだとダメですね。セリフもちゃんと覚えてたはずなのに、体を使って覚えないから全然動けなくてどこを演じてるのかわからなくなっちゃうので。
あと、ずっと同じ子が1つの役を練習してると、それを見たほかの子がセリフのニュアンスとか間の取り方とかその演技が基本となってしまうのでよくないってことで、稽古の途中から練習する役はちょくちょく変わるようになりました。特に今年は2期生の子たちもいるし、自分なりの演じ方を大事にしたいので、こまめに配役を変えて稽古してます。
自分はまず物語の流れを覚えるのと一緒に、台本に載ってるすべての出演者のセリフも覚えていきました。1つの役のセリフだけを覚えるんじゃなくて、前後に話すほかの役のセリフも理解してないと、セリフを言うタイミングもわからないし。だから……大変だけど(笑)、去年はそういう覚え方でした。
ゲネプロ(通し稽古)で演じる役は……去年は自分がやりたい役を第3候補まで書いて、舞台の制作スタッフさんに渡して。それをスタッフさんが全員分整理して、例えば3回ゲネプロをやるとしたら、3通りの配役を組み立ててくれました。で、稽古の前日に「明日はこの配役です」と教えてもらって、そこで「ああ、この子はあの役を狙ってるのか」と改めて認識するんです。
立候補(解説:若月佑美)
初日に立候補する役は、たぶん私に限らずみんな稽古で一番演じた役だったと思います。舞台としても1回目はちゃんとしたものを作らなきゃいけないと思うし、そんな急に冒険はできないですからね。実際私も最初は明田川太郎役に立候補したんですけど、能條愛未と戦って負けちゃったんです。能條も稽古でずっと明田川役を練習してたし。2回目以降は……私は自分が一度立候補した役は、やれるまで別の役に変えたりしませんでした。私と同じように自分を貫く子も多かったですよ。大和(里菜)も畠中(清羅)もずっと今和洋子役に立候補してたし、生駒(里奈)は沢村小坊主が多かったり。この役はダメだったから次はこの役をやろうっていう子は少なかったと思います。
で、一度立候補した役を演じることができたら、次は……ときと場合によるんですけど、1回やってみて納得のいく演技ができなかったら、もう1回挑戦するんです。せっかく役をもらうことができたのに、そのチャンスを生かし切れなかったら、とりあえずもう1回、自分が納得できるような演技にトライするんです。
でも最後のほうになると、次第にわかってくるんですよね。「あ、たぶんこの子は次、この役をやるな」みたいなことが。立候補するときも心理戦というか、そういう読みがだんだん必要になってきましたね。だから、立候補する役を投票する部屋の前に、悩んで決められないメンバーがどんどんたまっていくんです。私自身はそういう部分で悩んだりはしなかったですよ。どちらかというと、やりたい役が2つあった場合、どちらを選ぶかとか、今日のコンディション的にはどっちが合うかとか、そういうことでよく悩みましたけど。
去年は10役すべてを演じることができたけど、最初は全部できるなんて思ってなくて。明田川、沢村、あとは(今和)誠一さんと、男性役をループしようかなと思ってたんです。男性役をやりたがる子があまりいなかったので。でも7役やったあたりから「せっかくなら10役制覇したい」って思うようになって。でも「16人のプリンシパル」での挑戦の仕方は人それぞれでいいと思うし、ルールはなくていいんじゃないかなと思ってます。
1幕:オーディション(解説:橋本奈々未)
1幕で読むセリフは台本の中から抜き出したもので、そのセリフが書いてある紙がオーディション開始直前に配られるんです。で、自分の番が来るまで待ってる間は、いろいろ考えますね。土台となる演技は自分の中にあるんですけど、それにプラスして、その日のお客さんの雰囲気に合わせてセリフを言うタイミングを少し変えたりして。オーディションで私たちに投票するのはスタッフさんではなくお客さんなので、そこは意識しましたね。
同じ役に5人とか大勢立候補したときは、呼ばれる順番はランダムで。私、たまたま最後とか後ろから何番目とかが多くて、正直めっちゃラッキーだと思いました。例えば5人いたら最後のほうでちょっと変わった方法で演じれば印象も付きやすいし。私は最後だからイヤっていうのはなかったかな。
そのあとのエチュードは、うまくいかなかったときのほうが記憶に残ってますね。でもうまくいかなかったと思ったときのほうが選ばれることが多かった気がする(笑)。なんでなんだろう……結局その理由はわかんないままです(笑)。大阪の何日目かの回で、ロシアの文学家、チェーホフでムチャ振りをされたんです。「チェーホフが書いたあの本ご存知ですよね? では、あの本の登場人物の誰々になったつもりで悲劇を演じてください」とお題を出されて。そのときとっさに出たムチャ振りの返しは今の私じゃ絶対出てこないようなものだったんです。あのときの自分、がんばったなあ(笑)。
オーディションを勝ち抜く秘訣ですか? それは絶対に意識しちゃいけないことだと思うんです。「たぶんこうすればお客さんがウケて、なんとなく選ばれるだろうな」っていうセオリーはあるかもしれない。でもそれに頼っちゃうと、そこで成長が止まってしまう気がして。公演自体の意味もなくなるんじゃないかな。ドラマの現場でも何回か言われたんですけど、演者が「泣かせてやるぜ」とか「笑わせてやるぜ」とか考えてることが見えてくるものほど寒いよねって。それと一緒だと思いますよ。
乃木坂46公演「16人のプリンシパル trois」
- 開催期間
- 2014年5月30日(金)~6月15日(日)
※平日公演:START 18:00
※土日のみ1日2公演:1回目START 12:00 / 2回目START 17:00
※6月2日(月)休演日 - 会場
- 東京都 赤坂ACTシアター
- 料金
- 全席指定 一般 7000円 / 女性・親子 7000円
乃木坂46 映像公演「乃木坂アクトMOVIE ~伝説のパルコ初舞台公演~」
- ※2012年9月1日~9日に東京・PARCO劇場で上演された「16人のプリンシパル」全9公演を、各1日公演ずつ上映。
- 開催期間
- 2014年6月3日(火)~6日(金)、9日(月)~13日(金)
START 14:00 - 会場
- 東京都 赤坂ACTシアター
- 料金
- 全席指定 一般 2500円
- 上映スケジュール
- 6月3日(火):2012年9月1日 1回目公演
- 6月4日(水):2012年9月1日 2回目公演
- 6月5日(木):2012年9月3日公演
- 6月6日(金):2012年9月4日公演
- 6月9日(月):2012年9月5日公演
- 6月10日(火):2012年9月6日公演
- 6月11日(水):2012年9月7日公演
- 6月12日(木):2012年9月9日 1回目公演
- 6月13日(金):2012年9月9日 2回目公演
乃木坂46(ノギザカフォーティシックス)
2011年8月に「AKB48の公式ライバル」として誕生したアイドルグループ。グループ名の「乃木坂」は最終オーディション会場の「SME乃木坂ビル」、「46」は「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」に由来する。総合プロデュースはAKB48同様、秋元康が担当。全国規模のオーディションにより、3万8934人の応募の中からスターティングメンバーとして33名が選出された。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」で待望のメジャーデビュー。オリコン週間ランキングで初登場2位を記録し、20万枚を超えるセールスを記録した。以降、2ndシングル「おいでシャンプー」から8thシングル「気づいたら片想い」まですべてのシングルがオリコン週間ランキングで初登場1位を獲得。また2013年10月には国立代々木競技場第一体育館、同年12月には日本武道館、翌2014年2月には横浜アリーナで単独ライブを行い、大成功を収めた。2013年5月には2期生が加入、2014年2月にはSKE48からの交換留学生・松井玲奈も加わり、2014年5月現在計43名が在籍している。5月30日からは6月15日にかけて、東京・赤坂ACTシアターで劇場公演「16人のプリンシパル trois」が開催。7月9日には9thシングル(タイトル未定)をリリースする。