ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

「Shout to the Walls!」全曲解説 メンバーソロインタビュー

NICO Touches the Wallsソロインタビュー【光村龍哉(Vo, G)編】

NICO Touches the Walls結成以来、フロントマンとしてバンドを牽引している光村龍哉。今回のソロインタビューでは、ほかのメンバーを交えて話を聞いているときとは異なるシリアスな表情を見せた。現在彼が対峙している「壁」とはいったいなんなのか。葛藤を繰り返しながらも前進を続ける彼の思いを、言葉のはしばしから感じ取ってもらいたい。

限界を考えない

──今日は光村さんにとっての「壁」について聞きたいと思ってまして。まずはじめに今、対峙してる壁ってなんですか?

そうだなあ……。自分にはいろんなものが足りないと思ってて、その感情をエネルギーに自分をビルドアップしてるんですよね。中でも自分の声とは常に向き合ってるかもしれない。

──自分の声は好きじゃない?

光村龍哉(Vo, G)

前は好きじゃなかったですね。俺、邦楽で好きなボーカリストがスピッツの草野(マサムネ)さんとサザンの桑田(佳祐)さんで、その2人の声が理想なんだけど、どちらの声でもないし。ただ桑田さんの声にあるソウル感は、がんばれば手に入れられるんじゃないかと思って努力した時期があって。でも去年のツアー中に喉を痛めて、それが治ったときに完全に吹っ切れたんですよね。

──自分の声を受け入れられるようになった?

そうですね。初めて声が出なくなって、音楽ができなくなるんじゃないかって怖くなったんです。そこで初めて自分の声が愛おしくなった。

──それだけ光村さんにとって歌が重要だと。自分の歌の特徴というのはどういうところだと思いますか?

限界を考えないところかな。歌詞のリズムやメロディを大事にしたいから、キーの限界を定めずに歌で表現しようと思ってて。それは曲を作る上でも同じかな。まあ、最近はこの声を生かす表現を考えるようになったし、それが今の最大の課題ですかね。

物事の両面が知りたい

──バンド名を付けたのは光村さんですが、なぜ「壁」をバンド名に盛り込んだのか改めて聞かせてもらえますか?

池袋のスタジオでバンド名を考えてたときに、いいのが浮かばなくて煮詰まってたんですよね。で、打ち合わせの途中でスタジオのトイレに入ったときに、個室がすごい狭くて扉を開けた瞬間に壁に激突したんです。その壁にぶつかったときに「touches the walls」という言葉が浮かんで。壁にぶち当たるって一見するとネガティブなことだけど、俺の場合は壁があったから転ばずに済んだわけだし壁があったから助かった。壁も見方を変えれば支えになるし、ネガティブなだけじゃない。そのことにすごい意味を感じたんですよね。あと俺、人や物事の表と裏を見るのがすごい好きで、物事のあらゆる側面を知りたくなるんです。表と裏の両方を知ったときに、初めてその存在を理解できる気がして。

──バンドメンバーも同じ考えを共有してる?

そこはそれぞれですね(笑)。例えばロックって言ってもバンド内でも考え方が違うし。ベースをブイブイ鳴らそうとか、ドラムを力強く叩こうっていうメンバーもいれば、俺みたいにロックの精神性を表現してほしいって思う人もいるし。

──裏側まで追求するのが光村さんのスタンスだと。

メンバーには気難しい面倒くさい人間って思われてると思いますよ(笑)。

──それでも3人と一緒に、それこそ9年くらい一緒に音楽を作ってるわけですよね。どういう形で解決していってるんですか?

その人の内側から出てくるものをじっと待つことですかね。例えばギターソロだったら、音楽的にはこの音を出すのは間違いかもしれないけど、自分の意志として出てくるフレーズだったらいいんだって伝えて。ただ感情や意志が出てる音だったとしても、音楽としてカッコ悪かったらダメだし。人に伝わるためにはバランスが釣り合ってないといけないし。

──その基準って?

音を聴いていいと感じるか感じないかっていう……。

──その瞬間瞬間によって変わる?

そうですね。だから今は具体的に言葉にできないですね。

毎日自分が向き合うべき壁を探してる

──光村さんにとって「壁」ってなんですか?

必要なものですかね。乗り越えても、壊しても、向き合っても次から次へと現れるし。あと常に乾いてる感じはあるんで、それを自分で潤すためにもないとつまらない。だから毎日自分が向き合うべき壁を探してるところはある。

──今回のアルバムとつながる部分がありそうですね。

はい。「Shout to the Walls!」は何かと何かのはざまにあるもの(壁)を、どういう視点で乗り越えていくか、それとどうやって向き合っていくのかというのを表現しようと思ったんですよね。なんかね、自分たちがバンド名に「壁」を背負っていることに改めて気付いて、それと向き合おうと思った瞬間からゴールの見えない課題が出てきて。実は今けっこう大変です。

──そんな混沌とした状態で、表現欲求は衰えないですか?

増えてますね。むしろ増えすぎて大変なくらい(笑)。今やりたいことがいっぱいあるんです。曲ができるのもそれゆえかな。

ニューアルバム「Shout to the Walls!」/ 2013年4月24日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / KSCL-2223~4
通常盤 [CD] 2800円 / KSCL-2225
CD収録曲
  1. 鼓動
  2. 夢1号
  3. 夏の大三角形
  4. アビダルマ
  5. ストロベリーガール
  6. 紅い爪
  7. チェインリアクション
  8. ランナー
  9. アルペジオ
  10. (who)
  11. Mr. ECHO
  12. damaged goods~紫煙鎮魂歌~
初回限定盤DVD 収録内容

NICO Touches the Walls Acoustic Sessions「アコタッチと呼んでみて☆ vol.2~真夜中のスタジオ編~」

  1. Mr. ECHO
  2. April
  3. 夢1号
NICO Touches the Walls
(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めているほか、「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。2013年3月27日にニューシングル「Mr. ECHO」をリリースした。4月24日には5thアルバム「Shout to the Walls!」を発表。