ももいろクローバーZ 10周年記念特集|第2回 ベストアルバム全曲レビュー&ライブ映像で紐解く“週末ヒロイン”の魅力

DISC 2

DISC 2 収録曲
  1. Neo STARGATE
  2. BIRTH Ø BIRTH
  3. GOUNN
  4. 泣いてもいいんだよ
  5. MOON PRIDE
  6. 夢の浮世に咲いてみな
  7. 青春賦
  1. 『Z』の誓い
  2. WE ARE BORN
  3. マホロバケーション
  4. ザ・ゴールデン・ヒストリー
  5. BLAST!
  6. 笑一笑 ~シャオイーシャオ!~
  7. クローバーとダイヤモンド
ももいろクローバーZ(ライブBlu-ray / DVD「ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013.8.4 日産スタジアム大会」リリース時)
ももいろクローバーZ(アルバム「5TH DIMENSION」リリース時)
ももいろクローバーZ(アルバム「5TH DIMENSION」リリース時)
ももいろクローバーZ(シングル「GOUNN」リリース時)

01Neo STARGATE

02BIRTH Ø BIRTH

2013年4月10日発売 2ndアルバム「5TH DIMENSION」収録曲

2013年4月発売の2ndアルバム「5TH DIMENSION」を象徴する2曲。顔のまったく見えない鋲だらけのマスクを装着した異様なビジュアル、“5次元”をテーマにした難解なコンセプトを持つアルバムは、「NHK紅白歌合戦」出場というデビュー当時からの夢を達成し、いよいよお茶の間進出というタイミングで発表する作品としてはいささか挑戦的すぎるとも思えた。アルバムからMVが制作されたのがこの2曲で、「カルミナ・ブラーナ」の引用からEDMへと展開する「Neo STARGATE」、ダブステップを取り入れた「BIRTH Ø BIRTH」と、ももクロはSFタッチの映像と共に新機軸の2曲を全面に打ち出した。またアルバム発売前にツアーを行うというのも彼女たちにとっては初の出来事で、ライブではそのコンセプチュアルな世界観を完璧に表現すべく、1曲目から13曲目まで収録順通りに披露された。

03GOUNN

2013年11月6日発売 シングル表題曲

衝撃の2ndアルバム「5TH DIMENSION」を経てももクロが到達したのは、仏教の思想“五蘊”の世界。「新しい自分に会いに行く」をテーマにした楽曲で、歌詞は仏教の用語、思想が散りばめられながらラブソングとしても成立している。NARASAKI、ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、ASA-CHANG、ピエール中野(凛として時雨)による熱量あふれる演奏も、この曲が持つコクを一段と深めている。

04泣いてもいいんだよ

2014年5月8日発売 シングル表題曲

2014年3月、グループ結成当初からの悲願だった東京・国立競技場でのライブを実現させたももクロは、そのステージで新曲を初披露した。それが中島みゆき書き下ろしの「泣いてもいいんだよ」。フィクショナルな世界観を提示し続けた2013年を経て、ももクロが次に発信したのは泥臭く熱いメッセージだった。編曲は中島の作品を長年手がける瀬尾一三によるもので、瀬尾が2017年11月に発表した作品集「時代を創った名曲たち」にはこの楽曲も収録された。

05MOON PRIDE

2014年7月30日発売 シングル表題曲

「美少女戦士セーラームーン」の誕生25周年プロジェクトから生まれた楽曲。2014年7月よりニコニコ生放送などで配信されたアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」のオープニングテーマで、Revo(Sound Horizon)が楽曲制作を担当した。ジャケットではももクロの5人がセーラー戦士に変身。カップリング曲「月虹」は同アニメのエンディングテーマで、作詞者の白薔薇sumireは実は「美少女戦士セーラームーン」の原作者・武内直子であったことがのちに明かされた。

ももいろクローバーZ(シングル「MOON PRIDE」リリース時)
ももいろクローバーZ vs KISS(シングル「夢の浮世に咲いてみな」リリース時)

06夢の浮世に咲いてみな / ももいろクローバーZ vs KISS

2015年1月28日発売 シングル表題曲

さまざまなアーティストとのコラボで化学反応を起こし続けてきたももクロが、ついに海外のレジェンドを引き寄せる。Kissとの世代を超えた合体は驚きだが、これはKiss側からのオファーを受けて実現したものだという。もちろんKissならではのゴリゴリなロックサウンドで、カップリングにはNARASAKI&ゆよゆっぺアレンジによるKiss「Rock and Roll All Nite」のカバーも収録されている。2015年2月に行われたKissの来日公演では生コラボも実現。MVは「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2015」で特別賞を受賞した。

07青春賦

2015年3月11日発売 シングル表題曲

2015年2月に公開されたももクロ主演映画「幕が上がる」の主題歌。メンバーが歌う主旋律に伸びやかなコーラスが重なる合唱曲のようなアレンジとなっており、青春群像劇を感動的に盛り上げた。抑揚のあるドラマチックな編曲は冨田恵一によるもの。シングルは短調の楽曲が多いももクロだが、今作には「行く春来る春」「Link Link」「走れ!-Z ver.-」とカップリングも含め長調の楽曲のみが収められている。全曲長調のシングルは「未来へススメ!」以来。

ももいろクローバーZ(シングル「『Z』の誓い」リリース時)
ももいろクローバーZ(シングル「BLAST!」リリース時)

08『Z』の誓い

2015年4月29日発売 シングル表題曲

アイドル界の“Z”とアニメ界の“Z”、ここに出会う。2015年4月に公開された映画「ドラゴンボールZ 復活の『F』」の主題歌として書き下ろされた楽曲で、DBシリーズを代表する楽曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を手がけた森雪之丞が作詞を担当した。サウンドはNARASAKI&ゆよゆっぺコンビによるソリッドなハードロックで、MVではキャラになりきったももクロが、かめはめ波や魔貫光殺砲などおなじみの必殺技を繰り出す。同年7月にロサンゼルスで行われた「Anime Expo」に出演したももクロは、現地のアニメファンに向け、英語バージョンの「Pledge of "Z"」を初披露した。

09WE ARE BORN

2016年2月17日発売 3rdアルバム「AMARANTHUS」収録曲

10マホロバケーション

2016年2月17日発売 4thアルバム「白金の夜明け」収録曲

2016年2月、3rdアルバム「AMARANTHUS」と4thアルバム「白金の夜明け」が2枚同時にリリースされた。それぞれに収録された各14曲が対をなす構造のアルバムで、「WE ARE BORN」は人が生まれてから死ぬまでを表現した「AMARANTHUS」の核を表現した楽曲。「マホロバケーション」はライブで人気の高いファンクチューンで、アグレッシブなリズムセクションはハマ・オカモト&ピエール中野によるものだ。このアルバム2作には清竜人、堂本剛(KinKi Kids)、神前暁(MONACA)ら初めてももクロと組む作家陣も多数参加しており、楽曲のバリエーションは大きく広がった。前山田健一が3年ぶりに楽曲提供しているのも長年のファンにとってはうれしいところ。

11ザ・ゴールデン・ヒストリー

2016年9月7日発売 シングル表題曲

奇想天外な作品の多いももクロのシングル史においては逆に珍しい、カラッと明るくキャッチーなポップソング。2016年夏のライブ「桃神祭 2016 ~鬼ヶ島~」が初披露の場となった。バラエティ番組さながらの大がかりなドッキリが展開されるMVも楽しい。ももクロ出演番組「ぐーちょきぱーてぃー」のオリジナルCDには、子供向けにリアレンジされた「ザ・ゴールデン・ヒストリー(キッズとおどろうver.)」が収録されている。

12BLAST!

2017年8月2日発売 シングル表題曲

2016年夏のライブ「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017 -FIVE THE COLOR Road to 2020- 味の素スタジアム大会」開催に合わせて制作された楽曲で、コンセプトは“ももクロとスポーツの融合”。ラップのフロウのように言葉が詰め込まれたメロディが特徴で、中盤に登場する玉井詩織の本格的なラップも聴きどころの1つ。なお本作は表題曲が3トラック目に収められた特殊な構成となっており、サイプレス上野が手がけた2トラック目のインタールード「Survival of the Fittest -interlude」では百田夏菜子がポエトリーリーディングに挑戦している。

13笑一笑 ~シャオイーシャオ!~

2018年4月11日発売 シングル表題曲

結成10周年を目前にリリースされた最新シングルにして、有安杏果の卒業で4人となったももクロ新体制のスタートを飾る楽曲。4月13日公開の映画「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~」の主題歌で、大人も子供も楽しめる「クレしん」にぴったりな、心温まるポップソングに仕上がっている。“しんちゃん盤”カップリングには、かつての「クレしん」オープニングテーマ「パカッポでGO!」のカバーも。

14クローバーとダイヤモンド

新曲

DISC 2のラストを締めくくるのは、ももクロの最新曲となる本作のための書き下ろし曲。これまでのももクロにはなかったオーガニックなネオソウルサウンドで、10年でさまざまな成長を重ねてきた4人の優しい歌声が映える。ここまで順に一聴して改めてDISC 1の冒頭に戻ると、声色や表現力の変化に歴史の積み重ねを感じるはずだ。テンポアップして展開する終盤には懐かしいフレーズが飛び出す心憎い演出も。作詞、作曲はCLIEVY(C&K)が手がけた。

ももいろクローバーZ(シングル「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」リリース時)

2018年5月31日更新