ナタリー PowerPush - 松下優也

さらなる高みへ 22歳目前2ndアルバム「2U」

シンガーの傍ら俳優としても積極的に活動する松下優也が、2ndアルバム「2U」をリリースした。10代の最後に発売された1stアルバム「I AM ME」から1年8カ月、22歳目前に完成した「2U」には、あれから格段にスキルアップした彼の成長が詰め込まれている。2度目となる今回のインタビューでは、精神面での変化に着目しながら、松下の確固たるアイデンティティについて迫った。

取材・文 / 鳴田麻未

1年8カ月とは思えないぐらいの濃い経験ができた

──松下さんのインタビューがナタリーに載るのは、1stアルバム「I AM ME」のリリース時以来1年8カ月ぶりになります。この間コンスタントにシングルを発表しつつ、俳優業も順調で、絶えず動いている印象がありました。実際、かなり忙しかったのでは?

そうですね。1年8カ月とは思えないぐらいの濃い経験ができたと思います。特に去年は一番忙しかったし、一番充実した年でしたね。

──じゃああまりオフの日もなかった?

去年夏から秋にかけてツアーをやって、それが終わってからちょっと休みがあったかな。それまでは休んだ記憶がないんですよ(笑)。ひたすらドラマやって、音楽やって、ドラマやって、音楽やって……睡眠時間がすごく短い時期もありました。

──そんな日々の中でできた楽曲を、アルバムでまとめて聴いてみていかがでしたか?

やっぱり1枚目と比べて、音楽的なスキルがすごく上がったっていうのは自分でも感じます。長い時間をかけた分1曲1曲丁寧に作れましたし、何より新しい経験をたくさん積んだことで、いろんなアプローチの仕方を覚えたなと。僕の中で引き出しが増えて、表現できることの幅が広がったと思います。

──具体的にはどんな成長を感じますか?

表現したいと思う物事は今も昔もあまり変わってないんですけど、それをどうアウトプットするかっていう変換の仕方がうまくなってきたんじゃないかな。例えば1曲に対してただまっすぐ歌うだけじゃなくて、こう歌ったらいいんじゃないか、ああ歌ったらいいんじゃないかって多方面からのアプローチが自分でできるようになりました。また逆に、プロデューサーに引き出してもらって自分がそれに応えられるようになったなっていう自覚もあります。

──それは松下さん自身がさまざまなアプローチをするよう心がけて実行した、というところもあるんでしょうか。

そうですね。デビュー当時に比べれば、応援してくださる方とか、僕の名前だけでも知ってる方とか増えましたけど、まだまだ僕の音楽が伝わってないところはたくさんあると思うんです。だからこのアルバム1枚で、今の松下優也の全てを表したかった。となると、1つの方向からじゃなくて、いろんな方向からアプローチすることが必要だなと思ったんです。

もっと役者とミュージシャンの垣根がなくなればいいのに

──「2U」を聴いて、松下さんの歌のセクシーさがアップしたような印象を受けました。正確に言うとセクシーさのリアリティが増したというか。

ははは(笑)。さっき言ったように、セクシーさを曲で表現するには技術が必要なわけで、技術を学んだってことなんでしょうね。自分では無意識ですけど、やっぱり芝居をやって表現力が付いたって人に言われることが多くて、それが少なからず関係してるのかもしれないです。特に20代になって何かセクシーになる、フェロモンが出る出来事があったわけではないんで(笑)。

──そうですか(笑)。そもそも松下さんは、何を目的として俳優活動に取り組んでいるんですか?

芝居をやっている理由は、1人のエンタテイナーとして未開拓の地を切り開いていきたいからです。役者の方が音楽活動もやるっていうケースに比べて、その逆って少ないじゃないですか。僕はもっと役者とミュージシャンの垣根がなくなって、そういう人が増えればいいのになって思うんです。例えば最近だったらCHEMISTRYの川畑(要)さんがドラマに出てはって、すげえなって。で、僕もそうでありたい。もちろん僕の軸は音楽で、そこは絶対に変わらないんですけど、僕が目指すアーティスト像に近づくためには芝居も必要な要素なんですよね。

──役者仕事によって自分の忙しさが増しても、苦にはならない?

はい。でもやっぱりお芝居の仕事が続くと、歌とかダンスやりたいなって思ってきますね。

──使う脳みそが違うという感じなんですかね。

うん、別々に捉えてますね。お芝居はお芝居。僕は、ドラマでも映画でも舞台でも、現場では自分がアーティストだ、歌手だっていう雰囲気をあんまり出したくないんですね。音楽の場合は自分自身を表現することに徹していますけど、芝居の現場はどれだけその世界に溶け込めるかっていうのがすごい大事なことで。っていうのも、アーティストの自分が芝居をしてることで、人に違和感を与えることもあると思うんですよ。

──そうかもしれないですね。

僕にアーティストとしてのイメージを持ってる人は多少なりとも違和感を感じるかもしれない。ただ僕自身の取り組む姿勢としては、「歌手が演技にも挑戦」っていう感じじゃなくて、いち俳優としてその場にいるんです。そうじゃないとお芝居一本でずっとやっている方に対して失礼だと思いますし。

2ndアルバム「2U」 / 2012年02月22日発売 / EPIC RECORDS JAPAN

  • 初回限定盤A[CD+DVD] / 3980円(税込) / ESCL-3863/4 / Amazon.co.jpへ
  • ニューアルバム「2U」初回限定盤Aジャケット画像
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  • 通常盤[CD] / 3059円(税込) / ESCL-3867 / Amazon.co.jpへ
  • ニューアルバム「2U」通常盤ジャケット画像
CD収録曲
  1. Theme of 2U
  2. SUPER DRIVE
  3. Naturally
  4. Beautiful Days
  5. INTERLUDE I
  6. 4 Seasons
  7. Paradise
  8. Life in the dark
  9. INTERLUDE II
  10. Last Dance' 06
  11. 2 of Us
  12. キミへのラブソング~10年先も~
  13. Bird
  14. A Song For You
  15. Beauty & Beast
  16. Secret Love feat. BRIGHT, SHUN
  17. Step by Step
初回限定盤A DVD収録内容
  1. Bird(Music Video)
  2. 4 Seasons(Music Video)
  3. Paradise(Music Video)
  4. Naturally(Music Video)
  5. SUPER DRIVE(Music Video)
  6. キミへのラブソング~10年先も~(Music Video)
  7. Live Documentary from「3rd Anniversary Special Live」
  8. 「SUPER DRIVE」from「3rd Anniversary Special Live」
初回限定盤B DVD収録内容
  1. 映画「ヒカリ、その先へ」本編
  2. 映画「ヒカリ、その先へ」劇場予告編
松下優也(まつしたゆうや)

兵庫県出身、1990年生まれの男性シンガー。2008年11月、Jin Nakamuraプロデュースのもとシングル「foolish foolish」でデビュー。2010年6月に1stアルバム「I AM ME」をリリースする。その後、2011年には3枚のシングルを発表したほか、全国8カ所を回る全国ツアーも実施。同年12月には東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「MICHAEL JACKSON TRIBUTE LIVE」に最年少アーティストとして出演する。2012年には1月にシングル「キミへのラブソング~10年先も~」を発売した後、2月に2ndアルバム「2U」をリリース。3月から自己最大規模となる全22カ所の全国ツアーを敢行する。また、TBS系ドラマ「カルテット」の主演および主題歌を担当し、フジテレビ系昼ドラマ「明日の光をつかめ2」に出演するなど、俳優としても注目を集めている。