目覚めは小学6年生

──ナタリー初登場ということで、1stアルバムに至るまでのお話を聞かせてほしいんですが、最初に音楽と出会ったのはいつ頃ですか？

本当に小さかった頃は一緒に住んでいるおばあちゃんとおじいちゃんの歌う演歌を真似していました。とにかく歌うのが好きやったんですよ。で、小学6年生のとき、テレビで歌手の人を観ていてふと自分もやりたいな、歌いたいなって思ったのが最初です。それまでは、歌は好きやけど歌手になるっていう考えが自分の中でなかったんですよね。でも「歌手」っていう選択肢を見つけた瞬間に「俺は歌手になりたい！」って思って、それが夢になりました。

──なるほど。では影響を受けたアーティストは誰ですか？

もう名前挙げたらキリがないくらい多くのアーティストに影響を受けましたけど、一番はやっぱりマイケル・ジャクソンです。あと、今はR&Bやブラックミュージックとかを中心に歌っているけど、ちっちゃい頃はAEROSMITHとかBON JOVIとか聴いていて、ロックも好きでした。

──歌手を夢見てからは歌やダンスに打ち込む日々だったんですか？

はい。中学時代はダンスや歌のスクールへ通いながら、友達とグループを組んで大阪のライブハウスとかで活動していました。僕は部活をやっていなかったので、放課後すぐ家に帰ってスクールに向かって、レッスンや自主練を夜遅くまでやる毎日。夢に向かってひたすらがむしゃらに走ってた時期で、僕の青春って感じですかね。

──そうやって学校外での活動に打ち込んでいると、学校生活はどうなんでしょう。

学校、全然面白くないなぁって嫌になる時期もありました。ダンスや歌を習うっていうのは、今だったら野球やサッカーのような感覚になっていますけど、僕のときはまだそこまでポピュラーなカルチャーではなくて。でもスクールに行けば同世代で音楽という同じ趣味を持った子が多いので、学校よりはそういうチームメイトや音楽やってる友達と話したり遊んだりするほうが楽しかったかな。

刺激の街・ニューヨークへ単身渡米

──それから15歳で単身ニューヨークへ渡るわけですが、ずいぶん思い切った行動ですよね。

当時中学3年生で受験の時期で、もう俺は絶対音楽だっていう強い気持ちがあったので受験は別にいいや、と思ってたんです。でも親はやっぱり高校に行ってほしいっていう当たり前の意見を持っていたし、そういうのがなくても15歳、16歳って人として壁にぶち当たる時期だと思うんですよね。同じく僕もすごく悩んで、自分が本当にやりたいことについて考えました。それで純粋に自分の好きなブラックミュージックの本場を見てみたいって思い立って、高校には進学せず、親を説得して海外へ行ったんです。

──行ってみて、いかがでしたか？

すべてが刺激的でしたね。まず海外行くのが初めてだったし、その上1人きり。刺激的で貴重な経験でした。ニューヨークの街を歩いたり、ブロードウェイのミュージカルを観たり、ダンスレッスンを受けたり、なんだかんだいろいろしてたんですけど何気ないことでもその度にカルチャーショックを受けていました。でも結果そこがターニングポイントになったので、あの日々がなかったら今の松下優也はないですね。