LiSA「LACE UP」インタビュー|15年分の思いをまとめて編み上げた7thアルバム (2/3)

15年分のキラキラをデコトラに乗せて

──アルバム冒頭の「OPENiNG -LACE UP-」から「DECOTORA15」につながる2曲も録り下ろしの新曲です。インストナンバーの「OPENiNG -LACE UP-」は静謐な出だしからド派手なブラスロックに展開して、ポップパンク的な勢いのある「DECOTORA15」につながるという。このオープニングにはどのような意味を持たせたのでしょう?

「LACE UP」は編み上げるという意味ですけど、私はステージに上がるときにずっとドクターマーチンの編み上げブーツを履き続けているんですね。私はいつもドクターマーチンの靴紐を編み上げて、LiSAになってステージに向かう。準備段階で気合いを入れる、LiSAとしての重要な儀式でもあって。「OPENiNG -LACE UP-」では、「Believe in myself」「best day, best way」「ジェットロケット」「ROCK-mode」といったライブでつないできた曲の思い出のフレーズを、お祝い感のあるラッパの音がつないでいく。そこから、みんなの思いをデコったデコトラでキラキラと走り出す、というイメージです。

──15年分の思いをまとめたら、デコトラになった。

そう(笑)。デコレーションしたトラック=楽曲が15曲入っているので、この15曲を引き連れて15周年を始めるぞ、という。

──「DECOTORA 15」はシンプルにいい曲だな、作曲家がいい仕事してるな、と思ってクレジットを確認したらLiSAさんご本人でした。

ありがとうございます(笑)。私のロックの魂の故郷であるパンク、ポップパンクを、デビューから15年経った今だからこそLiSAとしてやってもいいんじゃないかなと思ったし、例えば田淵先輩(LiSAに多くの楽曲を提供しているUNISON SQUARE GARDENの田淵智也)がこれまで託してくれたLiSA像というのもポップロックだったから、今、15周年で改めて真正面からポップパンクをやってみたい、これを作るなら私しかいないと思ってやりました。

──シンガーが自分で作るメロディは、音域の上下などメロディ運びも自分にとって一番よく鳴る音が把握できているし、そのうえであえてちょっとした無理もできる。だからこその面白さが自作曲にはあるのかもしれませんね。LiSAさんは作曲家・LiSAのことをどう評価していますか?

私は最初にSPEEDに憧れてダンスを始めて、そこからアヴリル・ラヴィーンに出会って、ロックを通してたくさん好きなものが増えた。さらにアニメに出会って、LiSAができて……好きな人たちの好きなところを集めてデコったらLiSAになった、みたいな。メロディもそういうものだと思っていて、たくさんの人がLiSAに託してくれた歌を、自分の中に取り入れて歌ってきたからこそ、歌いたいメロディが出てくるようになった。作曲家としても、たぶんみんなが育ててくれたのだと思います。

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日本の妖怪で踊らせたい──ケンモチヒデフミ「小豆あらいはどうですか?」

──アルバムには自作曲も多く含む一方で、新たな作家とのコラボレーションも実現しています。やっぱり驚いたのはケンモチヒデフミさん提供の「小豆あらい feat. MAISONdes, ケンモチヒデフミ」ですよ。

はい(笑)。

──非常に作家性の強いケンモチさんに曲を依頼するということは、すなわちケンモチワールドに飛び込むことが前提ですよね。それを今このタイミングでやったのはなぜ?

ケンモチさんはある意味、絶対に相容れない場所にいる人だと思っていたんです。でも、去年アメリカをツアーで回ったとき……アメリカという私が憧れた音楽の街にいる人たちが、日本の音楽を本当に楽しんでくれているんだなと実感できた。日本流の楽しみ方、ペンライトを持つとか「オイ! オイ!」と声を上げるとか、みんなで同じことをする楽しみ方ってアメリカの方からすると本来ありえないことで。でもそれを日本の文化として楽しんでいるんだなと思ったんです。海外から見た日本の文化といえば、着物とか忍者とか、結局そこからはアップデートされていない。せっかく私は海外に行かせてもらう機会がたくさんあるんだから、日本が愛されているこのタイミングで海外に行く役割をもらえるのであれば、世界中を踊らせたいと思った。日本のサウンドで踊らせたい。それができる人はと考えたら、ケンモチさんかなと。

──なるほど。海外からエキゾを正しく表現してやろうと。ケンモチさんもびっくりしたんじゃないですかね。「えっ、LiSAに曲を?」って。

あはは。ケンモチさんはやっぱりアイデアがすごく豊富で、私がいくつかキーワードを伝えただけで、最初の打ち合わせの段階で「小豆あらいはどうですか?」って。妖怪は日本の文化だし、小豆洗いは妖怪の中でもちょっと特殊な、小豆を洗うことしかできない、愛らしい妖怪で、そういう妖怪も日の目を浴びるといいと思う、と力説してくださったんです。私、あんこ大好きだからめちゃめちゃジャストだなって(笑)。最高です。

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GLIM SPANKYとのコラボで新しいLiSAを提示

──「SWEET MAGIC」を提供したGLIM SPANKYはロックの中でもグランジ寄りで、LiSAさんがやってきたロックにはなかった、新しい幅を与える1曲になっているかと思います。このタイミングでなぜGLIM SPANKYと組んだのでしょう?

10周年を過ぎたあたりで、やりたかったLiSA像を私が超えてしまったなと感じて、そこからまた自分がワクワクする音楽を探していたんですね。私はグリムの音楽を初期からずっと好きで聴いていたけど、こういう音楽は自分よりも松尾レミさんのようなボーカリストが歌ったほうが絶対にカッコいいと思ってた。でも10年を超えて新しいLiSAを提示したいと考えたときに、好きな人に好きな曲を書いてもらってもいいかも、というモードに変わって。キタニタツヤさんとかツミキさんとか、自分がグッときた音楽を作っている人に相談するタイミングが増えて、その中の1組がグリムさんでした。

──音楽としては好きだけど、自分が歌うものではないと思っていた?

はい。私が今やっているような……破天荒なロックって言うんですかね(笑)、いろんなジャンルが混ざっているロックに出会ったのは、私はアニメがきっかけなんです。それまではもっとストレートな、3コードで済むようなパンクが好きだったから、自分の血としてはそこが主軸にある。でも、そこでは日の目を浴びることができなかったから、自分には似合わないものだと思い込んでいたけれど、好きなことをやらせてもらえるようになったタイミングで、許されるなら今やっておきたいなって。