コブクロ自身が予想のつかないコブクロ像を

小渕　NIGOさんに頼めると決まったとき、今のコブクロのスタッフチームやお客さんが予想もつかないようなものになればという期待値がものすごく高まりましたね。変な言い方ですけど、どうしてもコブクロの中にいると、コブクロ側からばかりモノを見るようになる。今回はベストアルバムで、つまりこれまで皆さんが大事に聴いてきてくれた曲がたくさんある。その僕ら2人もファンも「大事にし続けてきた」という感覚が、何かひとつの形に結実したらいいなと思い、そこからNIGOさんに頼んでみたいという発想につながったんです。だから僕らからはそういった思いだけをお話しして、あとはほとんどお任せでした。

NIGO　そうですね。あとは「シンプルでわかりやすく」程度の話しかしなかったです。

黒田　NIGOさんからしたら、ふわっとしすぎて一番面倒な注文のされ方だと思うんですけど（笑）。

NIGO　かなりプレッシャーでしたよ（笑）。でも集めていたシャンプーボトルが初めて役に立ったから良かったなって（笑）。今回作ってみて勉強になったのは、フォルムがリアルじゃダメなんですよね。原型師さんとやり取りをしていてわかったんですが、型抜きをするために、引っかかるような鋭角なパーツや突起があってはダメみたいで。だから昔の造形って、こういう、ちょっと丸みを帯びた、ある意味ビミョーな形になるらしい（笑）。

黒田　ああ、それがデフォルメ感にもつながるんですねえ。だってこれ、パンツの後ろと前で色が違ってツートーンになってるし（笑）。

小渕　ギターのストラップも途中で切れちゃってるし（笑）。あと今回のアルバムは通常盤と初回限定盤のほかに“セブン＆アイ限定盤”というセブン-イレブンさんでのみ買えるバージョンもあるんですけど、そっちのジャケットはちゃんと別バージョンのボトルをわざわざ作ってくださったんです。だから事後処理で服の色を変えているとかではなく、ちゃんとセブン-イレブンカラーの別バージョンが存在するんです。本当にNIGOさんの持っているこだわりや心遣い、遊び心はすごいなあって。「モノ作りとはなんぞや？」という精神を教わった気がしましたね。

NIGO　“セブン＆アイ限定盤”は顔のペイントの雰囲気も変えました。画面上で色だけを変えるっていうのはどうしても嫌だったので。

これが自分のクリエイティブの新たなヒントになるかも

黒田　これからこのビジュアルがいろんなところに出現する予定なんですよ。

NIGO　見たいなあ。すごく楽しみですね。

黒田　僕らの顔が一切出ていないのに、僕らが出る以上にコブクロ感が出ているという初めてのジャケットです（笑）。本当に今回はクリエイティブがビシッと決まることでいろんなプランが動き出すというか、言わばパチスロの目が777って並ぶ瞬間を見た、みたいな感じでしたね。

小渕　これはレアです!! 初めて黒田がパチスロの例え話を……。この人ギャンブル一切やらないのに（笑）。

一同　あはははははは！（笑）

NIGO　今回は自分のこれからのクリエイティブの新境地というか、すごくいいチャンスを与えていただいたなと思っています。

──では今後も引き続きカメラ部と釣り部の活動で……。でも、これで写真はトライしたわけだから、あとは特典映像とかで皆さんが釣りをしている姿が収録されたら全てのオタクつながりが反映されますね。

小渕　いいですね。考えておきます。

黒田　じゃあ僕が、写真を撮っている2人の姿や釣りをしている様子を物陰からこっそり記録しますよ。身体がデカいんでアングルが引きばかりになっちゃうけど。

NIGO　（笑）。