2018年9月に結成20周年を迎えるコブクロが約1年ぶりのシングル「ONE TIMES ONE」を4月11日にリリースした。表題曲「ONE TIMES ONE」は小渕健太郎、黒田俊介の20年の軌跡を投影したナンバー。華やかで壮大なオーケストラサウンドを含め、20周年の始まりにふさわしい楽曲に仕上がっている。カップリングには命のつながりをテーマにした「バトン」、そして、マンガ家の高野苺とのコラボレーションが実現した「君になれ」を収録。この楽曲をもとにした高野の新作マンガ「君になれ」の連載が4月25日発売の「月刊アクション」2018年6月号にてスタートすることも大きな話題を集めている。
音楽ナタリーでは、小渕と黒田にインタビューを実施。シングル「ONE TIMES ONE」の話を中心に、高野とのコラボレーションの経緯、2人だけでステージに立つ全国ツアー「KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE supported by 三井住友 VISA カード」の展望、20周年を目前にした心境などについて聞いた。また高野から預かったコブクロに対する質問にも答えてもらった。
取材・文 / 森朋之
小渕は心の表皮が薄い
──前作「心」以来、約1年ぶりとなるシングル「ONE TIMES ONE」がリリースされます。制作はいつ頃から始まったんですか?
小渕健太郎 今回のシングルに入っている3曲は2017年のツアー(「アサヒもぎたて presents KOBUKURO LIVE TOUR 2017 “心”」)をまたいで作ったんですよ。まずツアーが始まる前に「君になれ」を作って、ツアーの1曲目で披露して。「バトン」はツアー中に作って、「ONE TIMES ONE」はツアーのあと、今年に入ってから制作しました。
──去年のツアーと密接につながっているわけですね。
小渕 そうですね。去年のツアーはメインの「心」をどう表現するかがすごく大事で。例えるのなら、水の中に沈んだところから見上げて、光に向かって浮き上がっていくと感じと言うか。僕ら自身も自然と明るくて華やかな方向に向かおうとしていたし、それは今回のシングルにも反映されていると思います。ツアーで感じたエネルギーに見合うようなメロディ、言葉、アレンジを楽曲としてまとめて。「心」のときとはまったく違う世界に飛び出していく感覚もありますね。
黒田俊介 ツアー中のモードの変化もありますが、僕自身はもっと長いスパンの中で心境が変わっていくタイプなんですよ。小渕みたいにほんの少しの刺激によってバーッと新しいものが出て来る感じではないので。小渕はたぶん、心の表皮が薄いんでしょうね(笑)。
小渕 心の表皮が薄いって、いい表現だね(笑)。
2人の軌跡を彩るファンファーレ
──表題曲「ONE TIMES ONE」は行進曲のような雰囲気を持った華やかなナンバーですね。どんなテーマを持って制作されたんですか?
小渕 コブクロは今年の秋に20周年を迎えるんですが、そこに向けたファンファーレを鳴らしたかったんですよね。僕と黒田、スタッフも含めて、20周年を目前にして自分たちのモードがガラッと変わったし、「いよいよ始まる」という気持ちを高らかに打ち鳴らしたいなと。クラシカルだけどポップで、胸が躍るようなサウンドに着地できたと思います。
黒田 「ONE TIMES ONE」にはホーンもストリングスも入っていて、今まで一番大きな編成でレコーディングしたんですよ。5月から始まるツアーのタイトルも「ONE TIMES ONE」なんですけど、最初は「2人だけで回るツアーなのに、こんな編成の曲をリリースして大丈夫?」と思っていました。
小渕 (笑)。
黒田 僕自身は「2人で回るツアーの前だし、次の新曲は“アコギ1本”みたいなシンプルな感じの曲になるのかな」と勝手に思っていたんですけど、小渕から出てきた曲は全然違って。ギャップを狙っていたのか、それとも全然違う発想からこういうアレンジになったのかという疑問もあるんだけど、それは僕の胸にしまっておこうかなと(笑)。
小渕 頭の中で鳴っていた音をそのまま形にしたんだけどね。初めて2人だけで回るツアーは、僕らにとっては晴れ舞台なんですよ。コブクロの成人式を前にして、晴れ晴れと進んできたいという気持ちがこのサウンドにつながったと言うか。正直2人でどうやるかは全然考えていなかったです(笑)。
黒田 そうなんだ(笑)。
小渕 この曲は「2人がどういう道を歩いてきたか」を歌ってるだけなんですよね。不安、怖さを感じながら「とにかく2人で音楽をやっていこう」という気持ちだけで進んできて。コブクロを始めたときって、音楽を続けるかどうかのギリギリの状況だったんですよ。決して順風満帆なスタートではなかったし、“2人しかいない”というところから始まって。そこから少しずつお客さんが付いてきてくれて、どうにかここまで来た。そのことを歌にしたのが「ONE TIMES ONE」なんです。
黒田 その思いはツアーにもつながってますよね。20周年が近付いてきて「やり残したことはないか?」「ルーティーンになってないか?」ということを考えている中で出てきた答えが、2人で回るツアーなので。世間の人がどう思うかはわからないですけど、僕らにとってはとてつもなく大きなことなんです。2人でツアーをやることは。それをどう成立させるかは、僕らの心持ち、気合い次第なのかなと思いますけどね。
コブクロが300年後も続くために襲名制度を導入?
──2曲目の「バトン」は“命をつなぐ”という普遍的なテーマが込められた楽曲ですね。
小渕 小野薬品の創業300周年テレビCMソングとして制作した曲なんですが、まず“300周年”ということに強烈なインパクトを受けて。300年続いてきたということは商品だけではなくて、人もつながっているわけじゃないですか。その結果、たくさんの人の命に関わるような成果を生んできたんだと思うんです。あと昔、子供たちのリレーを見たときに感じたことも込めていて。子供のリレーのチームって赤、緑、黄色、青とかに色分けがされてますよね。でも「よーいドン!」で走り出すと、コースの上で色が混ざるんです。そうやってみんなで進んでいくんだけど、「一番になってやる」というやつのエネルギーが時代を変えることもあって。
黒田 ね、すごいでしょ? “300周年”というワードだけで、これだけ話が膨らむって。やっぱり小渕は心の表皮が薄いんですよ。僕は“300周年”と聞いたときに「300年も音楽を続けてる人っていないよな」と思ったんですよね。で、「300年目のコブクロって、どんな感じやろう? 孫の孫の孫の孫くらいかな」とか考えて(笑)。でも、例えば歌舞伎ってそういうことですよね。
小渕 そうか。じゃあ、俺らも襲名してもらう?
黒田 いいかもね。歳を取ったら、若い人にコブクロの名前を継いでもらおうかな(笑)。
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高野苺との奇跡のコラボレーション
- コブクロ「ONE TIMES ONE」
- 2018年4月11日発売 / Warner Music Japan
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初回限定盤 [CD+グッズ]
1944円 / WPCL-12858 -
通常盤 [CD]
1300円 / WPCL-12857
- 初回限定盤CD収録曲
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- ONE TIMES ONE
- バトン
- 君になれ
- 君という名の翼(LIVE from 2017.8.21 東京国際フォーラムA)
- 蒼く 優しく(LIVE from 2017.8.22 東京国際フォーラムA)
- 心(LIVE from 2017.8.22 東京国際フォーラムA)
- 蕾(LIVE from 2017.10.28 東京ドーム)
- STAGE Acoustic ver.(LIVE from 2016.6.7 シダックスカルチャーホール)
- ONE TIMES ONE(Instrumental)
- バトン(Instrumental)
- 君になれ(Instrumental)
- 通常盤CD収録曲
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- ONE TIMES ONE
- バトン
- 君になれ
- ONE TIMES ONE(Instrumental)
- バトン(Instrumental)
- 君になれ(Instrumental)
公演情報
- コブクロ「KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE supported by 三井住友 VISA カード」
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- 2018年5月26日(土)静岡県 エコパアリーナ
- 2018年5月27日(日)静岡県 エコパアリーナ
- 2018年6月2日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2018年6月3日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2018年6月16日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2018年6月17日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2018年6月23日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2018年6月24日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2018年7月4日(水)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年7月5日(木)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年7月14日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2018年7月15日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2018年7月21日(土)大阪府 京セラドーム大阪
- 2018年7月22日(日)大阪府 京セラドーム大阪
- コブクロ結成20周年記念ライブ
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- 2018年9月16日(日)宮崎県 宮崎市生目の杜運動公園 多目的グラウンド
OPEN 12:30 / START 14:30
- 2018年9月16日(日)宮崎県 宮崎市生目の杜運動公園 多目的グラウンド
- コブクロ
- 1998年、路上ライブをしていた小渕健太郎と黒田俊介が出会い結成。2000年3月に大阪・梅田バナナホールで初ワンマンライブを敢行し、2001年シングル「YELL~エール~」でメジャーデビュー。2005年に発売したシングル「ここにしか咲かない花」「桜」がロングヒットを記録する。2006年5月には初の日本武道館公演を大成功に収め、続いてリリースしたベストアルバム「ALL SINGLES BEST」は350万枚を超える大ヒットに。その後も数々のヒット曲やコラボ作を発表し、活動の幅をさらに拡大させるが、2011年8月末に休養を発表した。2012年7月に復活を宣言。2015年12月発売のシングル「未来」は映画「orange -オレンジ-」の主題歌として話題になった。2016年6月には約2年半ぶりのアルバム「TIMELESS WORLD」を発売。2017年5月に映画「ちょっと今から仕事やめてくる」の主題歌であるシングル「心」をリリースした。同年7月8日から全国ツアー「アサヒもぎたて presents KOBUKURO LIVE TOUR 2017 “心”」を実施。2018年4月にシングル「ONE TIMES ONE」を発表した。9月8日の結成20周年を目前に、初の2人だけでの演奏となる、全国ツアー「KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE supported by 三井住友 VISAカード」を5月26日の静岡・エコパアリーナを皮切りに、7都市14公演開催する。9月16日には結成20周年を記念したライブを小渕健太郎の故郷である宮崎・宮崎市生目の杜運動公園 多目的グラウンドにて行う。
- 高野苺(タカノイチゴ)
- 1月11日生まれ。B型。長野県出身。「START」でデビュー。代表作に「夢みる太陽」がある。2012年より別冊マーガレット(集英社)にて、長野県松本市を舞台とした「orange」を連載。同作は実写映画およびドラマ化された。「月刊アクション」2018年6月号より、コブクロの楽曲「君になれ」を元にした同名マンガを連載する。