ナタリー PowerPush - 氣志團
伝説の対バンGIGシリーズ30公演の軌跡
メンバーが語る「極東ロックンロール・ハイスクール」30公演
5月9日 ~放課後の道化師達~ 氣志團 vs ニューロティカ
綾小路 翔 ニューロティカが最初の相手で良かったなって思うんです。ニューロティカは僕らをずっとかわいがってくれた先輩で、僕らにとって本当の兄貴と呼べる存在で、周りのバンド全てに愛されてる、誰も不幸せにしない偉大なるパンクバンドなんです。ただ、俺は実はこの日のライブに一抹の不安を抱えていて、当日それが的中しました。怖いニューロティカがそこにいたんですよ。「よし、お兄ちゃんたち本気出しちゃおうかな」って(笑)、彼らのアニバーサリーライブでしかやらない“でかくなるネタ”まで繰り出してきて。それに対して僕たちはどこかで油断していたというか、結果ボコボコにされましたね。そこで目が覚めたんです。もちろん俺たちもぬるま湯でやってきたつもりはないけど、ニューロティカっていう、ずっとシビアに戦い続けてきた人たちから、先制パンチをもらって、本当に目が覚めた。それで、次のライブまでは1カ月以上空いてたんで、まずは大きくなるための準備をしました(笑)。残り29本全てのライブで使うことになる“でかくなる装置”を用意したんです。
星グランマニエ ライブが終わったあと、ギターのSHIZUWOさんに「もっと大きく演奏すればいいんだよ」って言われたんですよね。そこで自分がちっちゃく演奏してたってことに気付かされて。対バンってことで自分では気合入れてたつもりだったけど、その一言で変わりましたね。
白鳥雪之丞 僕もドラムのNABOさんに「もっと思い切ってやれよ」って言ってもらいました。
6月28日 ~屋上桟敷の人々~ 氣志團 vs 毛皮のマリーズ
西園寺 瞳 「ROCKS TOKYO」で初めてマリーズのライブを観て、「うわー、カッコいいな」って思って。近年まれに見るセクシーなボーカリストとギタリストだなって。僕はこの30公演の中で、マリーズと出会えたことはかなり大きかったですね。打ち上げでもガッツリお話できたし。
綾小路 翔 このツアーで一番仲良くなったバンドのひとつだね。このライブではマリーズが俺たちの「スタンディング・ニッポン」を取り入れてくれて。志磨(遼平)くんの「ここに呼ばれた理由を僕だけはわかってる」っていうMCが忘れられないですね。マリーズと氣志團は、世間的には全く見え方の違うバンドだと思うんですけど、王道のロックンロールバンドというものに対する徹底的な愛が根底にあって、そこから新しい表現を生み出しているという共通点がありますよね。
7月8日 氣志團&GLAY Presents 極東ロックンロール・ハイスクール×Thank you for your love
綾小路 翔 彼らにお声を掛ける事自体おそれ多いことですし、すごく忙しいってことも知っていたんですけど、どうしても実現したくてTAKUROさんに直談判をしました。そしたらTAKUROさんが「今まで3度も一緒にライブをやってて、メンバー同士も仲が良くて、断る理由なんてないよね。でも今、せっかくまた一緒にやれるならもうひとつ意味が欲しいんだ」とおっしゃってくれて。そこで考えたことが被災地でのGIG。まだいろんなことが整ってない時期で、大きなアーティストの方々がなかなか身動きがとれない中で、GLAYという日本を代表するモンスターバンドと、氣志團という日本一のハイパーチンドン屋が手を組めば、被災地の方々の心を少しでも勇気づけることができるんじゃないかって。結果すごくあったかいライブになって、本当に達成感がありました。
白鳥松竹梅 ライブはホントに楽しくて、あと打ち上げも最高だったんですよ。HISASHIさんがすごく飲むんです。それで最後どさくさに紛れてHISASHIさんの頭を軽くつついてみたんですけど、全然気付いてなかったです(笑)。
7月13日 ~中学まではまともだったのに。~ 氣志團 vs Plastic Tree
綾小路 翔 元々ボーカルの(有村)竜太朗くんは地元の先輩で一緒に飲んだりする仲だったんです。僕はPlastic Treeがとにかく好きで、でも、これまでバンド同士はなかなか交わる機会がなかったので、もしかしたらここがチャンスなんじゃないかと思ってお声をかけさせてもらって。アンコールのセッションでは同じ千葉の先輩バンドであるTheピーズの「バカになったのに」をカバーしました。元々Plastic Treeがカバーしていて、でもライブではめったにやらないのでこれまたチャンスだと思って。最高でした。打ち上げもすっごく楽しかった。飲むんですよ、プラトゥリも。すっごく。
7月27日 ~ツッパリHigh School Rock'n'Roll(不登校編)~ 氣志團 vs 神聖かまってちゃん
綾小路 翔 個人的な交流は全くなかったんですけど、の子くんにずっとシンパシーを感じてる部分はあって。彼が見せるステージでの狂気というか刹那的な面というか、そういうものに興味があった。僕はステージを下りた素の自分なんてどうでもいいし、素の姿でステージに上がることは一生ないと思うんです。でもステージの上でだけは誰にも譲れないものがあるって思っていて。の子くんにもそういうステージへの強い思いみたいなものを感じていたので、一度お手合わせ願いたいって思ってました。この対バンでは徹底的に演奏をがんばりましたね。狂気ではなく、音楽で勝負しようって思ってました。しっかりと歌を届けたくて、すごく丁寧に演奏していた気がします。打ち上げではなぜかほかのみんなが離れていって、真ん中のテーブルに僕との子くんがぽつんと置かれるっていう状況だったんですけど。
西園寺 瞳 まあ近寄れなかったよね(笑)。
綾小路 翔 それでの子くんに最初に言われたのは「僕をテレビに出してくれ」ってことでした。そのあと「1万円くれ」って言われて「どうして?」って訊いたら「風俗に行きたい。ここにいる中で一番お金を持ってるのは翔さんだと思うから」って。なので1万円あげました。周りのみんなは「の子が綾小路からカツアゲした」って笑ってました。もしかしたら彼なりの先制パンチだったのかもしれないんだけど、僕はそんなことは正直どうでもよくて。単純に彼と話してみたかった。だからこれはその前の儀式みたいなものかなと。そこから一方的に彼に話をしてましたね。僕がかまってちゃんに出会ったきっかけから。おこがましくも、彼が昔の自分に似てるなと感じるところもあったので、おせっかいかもしれないけど、何か心配な部分もあったし、とにかく自分の思いを伝えたかったんです。
8月1日 ~ジャイアン vs ブタゴリラ~ 氣志團 vs ナイトメア
綾小路 翔 最初は飲んでるときにhydeさん(L'Arc-en-Ciel)からギターの柩くんを紹介されたんですよ。もう4~5年くらい前ですかね。それからずっとナイトメアの活動は気になってたんで、このタイミングで声をかけたんです。このシリーズの中で、最初に学ランを着て登場してくれたのが彼らでした(笑)。自分たちでネットの通販で調べて買ったらしいです。かわいい後輩たちで、ホントにこのイベントを一緒になって盛り上げてくれてたのがうれしかったですね。とは言え、ライブになると怖い後輩たちに早変わりするんですけど(笑)。
西園寺 瞳 この頃からイベント自体が育ってきたっていうか、先方さんもいろいろ工夫してくれるようになりましたね。
綾小路 翔 まさにナタリーさんの記事を見たりして、みんな「あれ、こんなイベントなんだ?」って感じてくださったんだと思う。このへんから急激に変わりはじめてきた感じがありますね。
8月9日 ~なのはなダンシング・オールナイト~ 氣志團 vs ヒダカトオル
西園寺 瞳 ヒダカさんが事前に電話くれて、「セッションやるならこういう感じにしよう」ってアイデア出してくれたりしたんですよね。
綾小路 翔 ヒダカさんはバンドも「千葉のメンツ集める」って言ってくれてね。千葉メンツ+ブッチャーズの吉村(秀樹)さん。そんで吉村さんは打ち上げで500回同じ内容の話をし続けるっていう(笑)。ヒダカさんは以前から俺たちのことを気にかけてくれて、大昔「氣志團には『浪漫飛行』が必要だ。なんなら俺が曲書くから」って言ってくれてたことを覚えていますね。
8月17日 ~Ring! Ring! 電話がRingin' Tonight!!~ 氣志團 vs the telephones
綾小路 翔 バンドとしての方向性は違うんだけど、彼らは今本当に勢いがあるバンドということで、すごく注目してたんです。とにかくこの企画では、ライブが強い人とやりたくて。意外な組み合わせに見えたかもしれないけど、僕らはthe telephonesのファンの人たちに届けたいことがあったし、彼らもまた我々のファンたちを熱狂の渦に巻き込んだ。すごい盛り上がりましたよ。全ての人々の予想を超え、がっちり噛み合った対バンでした。
白鳥雪之丞 とにかく彼らは一体になりたがるのよね。なんせ、事あるごとにMCで「ひとつになろうぜ!」っていうの。そこがすごくいいと思ったわ。そりゃひとつになりたいもの、ボクだって。
西園寺 瞳 俺たちとは真逆っちゃ真逆だよね。音楽だけで攻めてる感じがある。
綾小路 翔 そういえば石毛くんはMTVしか観ないで育ったって言ってたもんね(笑)。
8月19日 ~前戯なき戦い~ 氣志團 vs ユニコーン
綾小路 翔 ユニコーンの再結成については、我々の師匠である阿部さんからずっと「100%ない!」って聞いてたんです。だから再結成したときは本当に信じられなかった(笑)。で、このイベントの直前にフェスで会って、飲みながら話したときに阿部さんが「氣志團との出会いがなければありえなかったかもね。自分たちがバンドをやる上での楽しみ方や問題の乗り越え方のヒントがお前たちの中にあった」っておっしゃってくださったんですね。だから、このユニコーン再結成という奇跡にわずかながらでも自分たちがかかわれたというのは本当にうれしかったですね。あと当日のセッションでは阿部さんに、何回も何回も「なんて言った?」って「SAMURAI 5」ネタを仕掛けられたのが楽しかったです(笑)。
8月22日 ~ベルサイユからの転校生~ 氣志團 vs Takamiy
綾小路 翔 高見沢さんとは、デビューした頃にラジオ番組にゲストで来ていただいたときからずっと仲良くさせてもらっていて、これまでも高見沢さんのソロの楽曲の歌詞を書かせていただいたり、一昨年からはFANTAバンドでもご一緒させていただいたりしてたんですが、バンドとしては全く絡めたことがなくって。ですから今回、ついに念願が叶い、共演することができて本当に感激でした。終演後、高見沢さんのファンの方から「今日の王子は本気のセットリストだったよ!」と伺って、これまたうれしかったですね。
星グランマニエ ステージ上にギタリストが4人いて、とにかくギター弾きまくりですごかったです。
綾小路 翔 やっぱりあのトゥーマッチな姿勢が素晴らしいです。ロックとはかくあるべきだと、背筋が伸びる思いでした。
氣志團現象2012 激的バーニングライブハウスツアー「STANDING NIPPON!! ~爆音列島最前線~」
- 2012年5月8日(火)
- 千葉県 千葉LOOK
- 2012年5月10日(木)
- 宮城県 仙台Rensa
- 2012年5月11日(金)
- 宮城県 仙台Rensa
- 2012年5月15日(火)
- 埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
- 2012年5月18日(金)
- 香川県 高松オリーブホール
- 2012年5月19日(土)
- 高知県 高知BAY5 SQUARE
- 2012年5月21日(月)
- 兵庫県 神戸WYNTERLAND
- 2012年5月22日(火)
- 京都府 京都磔磔
- 2012年5月25日(金)
- 栃木県 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
- 2012年5月26日(土)
- 埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2012年5月29日(火)
- 群馬県 高崎club FLEEZ
- 2012年6月1日(金)
- 福島県 郡山HIPSHOT
- 2012年6月2日(土)
- 茨城県 水戸ライトハウス
- 2012年6月8日(金)
- 福岡県 福岡DRUM LOGOS
- 2012年6月9日(土)
- 鹿児島県 鹿児島CAPARVO HALL
- 2012年6月16日(土)
- 静岡県 浜松窓枠
- 2012年6月17日(日)
- 岐阜県 岐阜club-G
- 2012年6月19日(火)
- 富山県 富山MAIRO
- 2012年6月23日(土)
- 岡山県 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
- 2012年6月24日(日)
- 広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2012年6月29日(金)
- 新潟県 新潟LOTS
- 2012年6月30日(土)
- 石川県 金沢EIGHT HALL
- 2012年7月6日(金)
- 大阪府 なんばHatch
- 2012年7月8日(日)
- 長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2012年7月12日(木)
- 北海道 帯広MEGA STONE
- 2012年7月13日(金)
- 北海道 Zepp Sapporo
- 2012年7月16日(月・祝)
- 愛知県 名古屋DIAMOND HALL
- 2012年7月21日(土)
- 青森県 青森Quarter
- 2012年7月22日(日)
- 岩手県 盛岡club change Wave
- 2012年7月28日(土)
- 沖縄県 ナムラホール
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氣志團(きしだん)
千葉県木更津市でカリスマ的人気を得ていた綾小路 翔を中心に1997年に結成。メンバーは綾小路 翔(Dragon Voice)、早乙女 光(Dance & Scream)、西園寺 瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Drums & Drunk)の6名。「ヤンクロック」をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでライブを行い、2001年12月から3カ月連続で発売されたVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。その後「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発。2004年には東京ドームでワンマンライブを行い、2004年、2005年にはNHK紅白歌合戦にも出演。2006年には結成10年目を記念して、富士急ハイランドにてイベント「氣志團万博2006“極東NEVER LAND”」を開催し大成功に収めた。2011年には計30公演におよぶ対バンギグシリーズ「極東ロックンロール・ハイスクール」を実施するなど精力的なライブ活動を継続。結成15周年を迎える2012年は「氣志團 完璧年間行事(パーフェクトイヤーズ)」と銘打ち、さらに幅広い活動を展開中。