ナタリー SuperPowerPush - 神聖かまってちゃん
ニューアルバム「楽しいね」総力特集
monoインタビュー
何も考えてなかった
──monoさんはここ数年の自分自身の変化についてどう捉えていますか?
そうすね、やっとかまってちゃんの中での自分の立ち位置が見えてきたというか。
──以前は見えてなかった?
見えてなかったですね。とりあえずそこにいるだけ(笑)。最初はキーボーディストっていう意識もなかったし、ライブでもハプニング役というか、その場しのぎの役というか。
──何も考えてなかったということ?
そうです、そうです。何も考えてなかった。最近やっとちょっと考えるようになって、こういう感じの曲だからこういうふうに弾こうとか。
──今まではそういう意識もなかったんですか?
なかったんですよね(笑)。
──でもmonoさんは単なるキーボーディスト以上の存在感がありますよね。バンドの中で重要なポジションを担っていると思います。
それは正直自分ではわかんないですね。別に俺じゃなくてもいいんじゃないかって思うし。問題が起きるたびにもう辞めよっかなとか思ったりするんですよ、本当に。
──もしかしてmonoさんは自分が平凡な人間だと思ってる?
平凡だと思います、いや本当に。平凡じゃないのは顔くらいだなって。
結婚することになりました
──3年前のインタビューでmonoさんは「生まれてから24年間彼女ができたことがない」「1人の女性に認められたい」と訴えていました。現在はその念願が叶って彼女ができたということですが。
そうなんです。これ書いてもらって全然いいんですけど、実は3月に結婚することになりまして。
──おお、おめでとうございます。彼女とはいつからお付き合いしてるんですか?
1年半くらい前ですかね。そもそも彼女がかまってちゃんのファンで、僕が一目惚れして、ファンに手を出したっていう(笑)。
──お会いしたことありますけど、かわいい彼女ですよね。
まあそうですね。だからここからが僕の戦いですよ。どこまでいけるかがんばります。
──でもmonoさんが、結婚を決めるほどのパートナーと出会えたというのは、1人の男性としてだけでなく、アーティストとして活動していく上でも大きな出来事ですよね。創作活動において何か具体的な変化はありましたか?
愚痴れるようになったんですね。イヤなことを。
──なるほど(笑)。
「バンドでこんなことあって、もうまいっちゃったよ」っていう話を、家に帰ってすぐ言えるっていうのがいいです。すごい地味なんですけど、実は一番の発散というか。
──自分の思いを理解してくれる人がいる。
そうなんですよ。メンバーや家族には言いにくいことでもちゃんと聞いてくれるんで。
の子に「丸くなった」と言われて
──monoさんは「いつでもバンドなんて辞めてやる」といったことをよく言ってましたが、例えば彼女が期待してくれてるならもっとがんばろうとか、そういう気持ちも芽生えてきましたか?
そうですね。僕、すぐカッとなるタイプなんで「辞めてやる!」って勢いで言ってしまうんですけど、やっぱり彼女に必ず止められますね。「あとあと後悔するよ」って言われて。
──以前のmonoさんはの子さん以上に殺伐としていたというか、荒れてる時期もあったと思うんですが。
はいはい(笑)。だからの子には「丸くなった」って言われるんですよね。だから必ずしも良かったわけじゃないのかなっていうのは思ってて。
──「昔はもっととがってたのに」ということ?
の子はやっぱりそういうとがった感覚とかハングリー精神を大事にしてるから。
──以前のmonoさんはハングリーだった?
そう思います。あの頃は本当に何もなかったんで。いつも「どうにでもなれ」っていう気持ちでした。
酒を飲んでごまかしてた
──monoさんから見て、の子さんも変わったと思いますか?
昔に比べると僕らのことを見てくれるようになったというか、曲に僕らの意見を取り入れて、自分の世界観の中に僕らを入れてくれるようになったっていうのはありますね。信用してくれるようになった感じがする。
──じゃあmonoさんもの子さんの期待に応えるプレイをしなきゃならないですね。
ホントにそうです。プレイヤーとしての向上心はかなり必要だなって思うようになりました。今までは弾いてても「いいや、適当で」っていうくらいの感覚だったんですよ。でも今回「もっとうまくならないとな」っていう気持ちにやっとなれたというか。
──ステージでお酒を飲んでる人の言葉とは思えませんね。
そうなんですよね。今までは飲むことによって、悪く言えば"ごまかしてた"っていう。
──良く言えば?
ごまかしてた……。
──あはは(笑)。
どっちにしろごまかしてたんです。
──「どうせ弾けないんだし」みたいな気持ちがあった。
の子のデモの世界観を再現しようとするとやっぱりうまく弾けなくて、最初からあきらめてたんですけど、今は「弾いてやる」っていう気持ちになれたんです。
──じゃあこれからはライブでもお酒を飲まずに、しっかりプレイしていく?
いや、その予定はまだないです。けど飲んでごまかすんじゃなくて、飲んでもごまかさないようにします!
CD収録曲
- 知恵ちゃんの聖書
- 仲間を探したい
- 友達なんていらない死ね
- コンクリートの向こう側へ
- ベルセウスの空
- 雨宮せつな
- 2年
- らんっ!
- 鳥みたくあるいてこっ
- 花ちゃんはリスかっ!
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)
の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。
2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリースした。
2011年4月にはバンド史上最大規模の会場となる両国国技館ワンマンライブを行う予定だったが、東日本大震災の影響により中止に。これを受け、4月から6月にかけて全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。2012年 11月にはメジャー3作目となるアルバム「楽しいね」をリリース。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続け ている。
2012年11月21日更新