「ロミオ&ジュリエット」「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマンが手がけたNetflixオリジナルドラマ「ゲットダウン」。1970年代後半のニューヨークを舞台とする本作では、ヒップホップカルチャーの誕生やティーンエイジャーたちの葛藤、彼らを取り巻く人々の群像劇が描かれる。
音楽ナタリーではシリーズ後編となるパート2の配信が4月にスタートしたことを記念し、このドラマの大ファンだというKEN THE 390に「ゲットダウン」の細部に至るまで深く語ってもらった。なお、映画ナタリーでは“BAZ LUHRMANN” “REAL” “MOVEMENT”という3つの要素を柱とした解説を公開中(参照:Netflixオリジナルドラマ「ゲットダウン」特集)。作品の世界をより深く知るべく、あわせて楽しんでもらいたい。
取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 佐藤類
意外となかったヒップホップの青春ストーリー
──「ゲットダウン」は何がきっかけで観始めたんですか?
僕の周りでは早くから話題になっていたんですよ。それで配信されたらすぐに観ちゃいました。実際観てビックリしましたね、めちゃくちゃリアリティがあるんですよ。僕らが本で読んで知ってる知識と照らし合わせても一致してる。実はヒップホップ黎明期の話って「ワイルド・スタイル」(1982年公開のアメリカのヒップホップ映画)くらいしかなくて。「ゲットダウン」はヒップホップの成り立ちがドラマの面白い部分に入ってるのが、すごくいいと思いましたね。
──あと、青春ストーリーとしてとても面白いですよね。
うん。こういう話って、実はロックとかバンド系ではたくさんあるんですよ。でもそれをヒップホップでやってくれたのが新しかった。恋愛要素もあるし、チームものでもあるし、成り上がりの物語でもある。
実際のニュース映像のリアリティ
──プロの目線から見て「ゲットダウン」のライブシーンはどうでしたか?
うますぎるってことは置いといても(笑)、めちゃめちゃカッコいいと思います。オールドスクールスタイルのヒップホップのライブを改めてカッコいいと思わせてくれたし。そういえば、この前イベントで競演したRHYMESTERがターンテーブル2台のオールドスクールスタイルでライブしてたんですよ。ちょうど「ゲットダウン」も観てたタイミングだったから「やっぱ超かっけえなっ!」っていつも以上に刺さりましたね(笑)。
──「RUBBLE KINGS」というドキュメンタリーでは映画「ウォリアーズ」(1979年公開のアメリカ映画。ニューヨークのストリートギャングの抗争が描かれる)以降のブロンクス地区が描かれていて、「ゲットダウン」の前日譚として観ることができますね。
確かに、あの作品のあとに観るとつながりますよね。「ゲットダウン」は実際のニュース映像もバンバン入ってくるからリアリティがある。停電のときに市民が略奪してる映像やアパートがガンガン燃えちゃってる映像とかを観ると「こりゃ本当にやべーな……」って感じになりましたね(笑)。
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「ダサい歌が始まっちまう」
- ストーリー
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犯罪と貧困がはびこる1977年のニューヨーク。詩の才能を持つ少年ジークは、自身の可能性を信じることができず日々を無為に過ごしていた。ある日彼は、幼なじみのマイリーンの気を引くためにレアなレコードを探しに行った先で、“シャオリン・ファンタスティック”と名乗るエキセントリックな男と遭遇。当初は対立する2人だったが、ジークの友人であるキプリング3兄弟とともにヒップホップグループ“ゲットダウンブラザーズ”を結成し、アンダーグラウンドシーンで頭角を現していく。
- スタッフ
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- 監督:バズ・ラーマン、エド・ビアンキ、アンドリュー・バーンスタイン、マイケル・ディナー
- 製作総指揮:バズ・ラーマン、キャサリン・マーティン、ナズ
- キャスト
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- エゼキエル・“ジーク”・フィゲロ:ジャスティス・スミス
- シャオリン・ファンタスティック:シャメイク・ムーア
- マイリーン・クルス:ヘライゼン・グアルディオラ
- マーカス・“ディジー”・キプリング:ジェイデン・スミス
- ロナウド・“ララ”・キプリング:スカイラン・ブルックス
- マイルス・“ブーブー”・キプリング:トレメイン・ブラウン・Jr.
- KEN THE 390(ケンザサンキュウマル)
- 東京・町田出身のラッパー。2006年にDa.Me.Recordsから発売された1stアルバム「プロローグ」が話題を呼び、2008年にエイベックスからメジャーデビューした。2009年に主催ライブイベント「超・ライブへの道」を開始。2011年に主宰レーベル・DREAM BOYを設立し、運営に携わっている。2015年9月にスタートしたテレビ朝日系「フリースタイルダンジョン」に審査員としてレギュラー出演している。