all at once「The Greatest Day」インタビュー|人生を彩る進化遂げた歌声、ジャンルに縛られない僕らの挑戦は続く

all at onceの2ndアルバム「The Greatest Day」がリリースされた。

セルフタイトルの1stアルバム「ALL AT ONCE」発表から約1年半。2ndアルバムには“聴く人の毎日に寄り添う”というテーマが掲げられ、大野雄大(Da-iCE)とのコラボレーション楽曲「プレイメーカー」を含む既発曲4曲に、新曲6曲を加えた全10曲が収録されている。新曲には丈⻘(SOIL&"PIMP"SESSIONS)、KEN THE 390が参加しているほか、初めてITSUKIとNARITOが2人だけで作詞した楽曲も。音楽ナタリーではITSUKIとNARITOにインタビューを行い、新曲を中心にアルバムの制作エピソードや手応えについて聞いた。

取材・文 / 蜂須賀ちなみ

幅広いことをやってきた実感

──2ndアルバム「The Greatest Day」、さまざまなテイストの楽曲を収録したカラフルなアルバムになりましたね。1stアルバム「ALL AT ONCE」のリリースから約1年半の間にall at onceは「Fanfare」「蒼空」「RIVALS」「プレイメーカー feat.大野雄大(from Da-iCE)」といったシングルをリリースしてきました。それら4作における新しい挑戦により、表現の幅が広がったことがアルバムからも感じられます。

ITSUKI 確かにアルバムの制作中、「今までできなかったことができるようになっているな」「あの曲があったからこそ、新しいことができるようになったのかもしれない」と感じることが多かったです。例えば新曲「デジャブ」のBメロはファルセットの使い方を意識しながら歌ったんですけど、「プレイメーカー」のレコーディングを経験したことでファルセットで表現できることの幅が広がったから、その技術をここでも使ってみようという気持ちがあったんですよ。

NARITO 当時は一生懸命だったとしても、あとから振り返ったときに「この経験のおかげで新しい技術や表現が身に付いたんだな」と実感することはあるよね。この1年半でall at onceは本当に幅広いことをやってきたんだなと、僕たち自身、改めて感じていたところなんですよ。ジャンルに縛られずに挑戦し続けてきたことが自分たちの強みになっているし、その強みを前面に押し出したアルバムにできたんじゃないかと手応えを感じています。

ITSUKI 活動を重ねていく中で「こういうことがしたい」という僕たち自身の意思が以前よりも芽生えてきたタイミングで、ちょうどスタッフさんから「そろそろアルバムを作ろうか」というお話をいただいて。自分たちのやりたい音楽をしっかり形にできてうれしいです。

──アルバム制作にあたって、テーマやコンセプトはありましたか?

ITSUKI 聴いてくれた人の人生に寄り添うアルバムにしたいと思いました。ライブやリリースを重ねていく中で、お客さんからの声もどんどんいただけるようになってきたんですよ。僕らは1曲1曲、明確なテーマを持って制作に臨んでいるんですが、それを汲み取ってくれたお客さんが「all at onceの歌を聴いて元気が出た」「前向きな気持ちになれた」といった声を届けてくださって。

NARITO そういった声に、むしろ僕らが元気をもらっているんだよね。

ITSUKI そうそう。僕らはいろんな人に支えられて活動してきたから、感謝の気持ちをアルバムの中に詰め込みたいと思ったし、聴いてくれた人の人生を彩れるような歌を届けたいと思い、“人生に寄り添うアルバム”というコンセプトでアルバムを作ろうと決めました。

ITSUKI

ITSUKI

初めて2人だけで作詞、いざ持ち寄ってみると……

──周囲の人への感謝の気持ちは「記憶」に特に表れていると感じました。お二人だけで作詞をしたのはこの曲が初めてですよね。

ITSUKI はい。自分たちの言葉で、自分たちの内側から出てくる表現で感謝を伝える楽曲が今までなかったので、どうしても作りたかったんです。なので、「感謝の思い」というテーマがまず最初にあり、それぞれ1コーラスずつ歌詞を書いて、持ち寄るところから始めました。そしたら見事に方向性がバラバラで。NARITOは楽観的な性格だから、明るい歌詞を書いてくるんだろうと僕は予想していたんですよ。だけど意外とそうじゃなくて……あの感じはなんて言ったらいいのかな?

NARITO 鬱々とした?(笑)

ITSUKI そんな感じ(笑)。僕らはコロナ禍でデビューしたこともあって思い通りにいかないことも多かったから、きっとNARITOは、歌詞を書きながらどんどん病んでいったんだろうなと想像できるような内容でした。だけど最終的には前向きな歌詞にしたかったので、「NARITO、もう1回最初から考えよう!」って(笑)。

NARITO あははは! ITSUKIはアップテンポのファンクが好きだから、朝や昼の時間帯がイメージできるような、明るい歌詞を書いてきたんですよ。だけど僕の書いた歌詞は真夜中って感じ。詩的な表現が好きだから、「難しい言葉を使いたいな」とかイメージばかりが先行しちゃって、結果的に暗い表現になっちゃったという(笑)。

NARITO

NARITO

──今回の場合は感謝を伝える曲だから、詩的な表現よりも、自分自身の心から素直に出てきた言葉のほうがハマりがよかったのかもしれませんね。

NARITO 本当にその通りですね。

ITSUKI もちろん、NARITOの書いてきた歌詞にもいいところがあって。例えば、今までall at onceがリリースしてきた楽曲の世界観を連想させるワードを入れようと思ったのは、NARITOが最初に書いてきた歌詞にそういう表現があったからなんですよね。いくつかの曲の要素を歌詞の中に盛り込んでいるので、ファンの方はぜひ探してみてほしいです。

NARITO そのほかに歌詞でこだわったところと言えば、「綺麗事だとしてもずっと 繋いだこの手は 今だけのものじゃない」というフレーズです。「繋いだ手は離さない」ってよくある言葉だから綺麗事に聞こえるかもしれないんですけど、誰かのそばに寄り添ってあげたいと思っているので、僕たちは綺麗事だとわかっていても、「繋いだ手は離さない」と歌い続けたい。この歌詞にはそんな意思が詰まっています。

ITSUKI 最後の「永遠にこの歌を あなたと紡いでく」というところはNARITOが1人で歌っているんですけど、最高のテイクですよね。僕たちの思いが詰まっている本当に大切な歌詞を、NARITOが今までで一番いい声で歌ってくれています。

SOIL丈青カラーに染まるピアノの音

──今回のアルバムには、他アーティストとのコラボ曲がいくつか収録されていますね。まずは、SOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青さんが弾いている「The Greatest Day」。MVも制作された、このアルバムを象徴するアッパーチューンですね。

ITSUKI 大事に大事に、温め続けていた楽曲です。実は2019年に一度レコーディングしているんですよ。このアルバムに収録することになったので改めて録り直したんですが、最初の「Hey」だけは2019年に録った「Hey」をそのまま使っています。

──そんな裏話があったんですね。レコーディングし直すにあたって、丈青さんにピアノを弾いてもらおうと思ったのは?

NARITO 制作中、「ジャジーな雰囲気が欲しいよね」という話になったんですよ。そのとき、もともとSOILさんのことが大好きなITSUKIが「丈青さんみたいなノリのピアノが入ったらうれしい」とポロッと言ったのがきっかけで、じゃあご本人にオファーしようということになって。

ITSUKI (作詞・作曲・編曲の)Ra-Uさんのデモを聴いた時点で「どストライクな楽曲だな」と思っていたんですけど、丈青さんのピアノが入ったことで、より大好きな曲になりました。丈青さんに弾いてもらえてすごくうれしいですし、本当に幸せです。

NARITO ピアノって触っていくうちに音が少しずつ変わっていくんですよ。長く弾いているうちに、ピアノの音が丈青さんのカラーにどんどん変わっていっていくのを、僕らも目の前で拝見させてもらいました。楽曲の最初と最後でピアノの音色が全然違うのが面白いし、音色の変化がそのままパッケージングされているのはすごくぜいたくだと思うので、リスナーの皆さんにもこのぜいたくさをぜひ味わってほしいですね。

──お二人のボーカルも素晴らしかったです。ツインボーカルのおいしいところがギュッと詰まっている楽曲でもありますよね。

NARITO そうですね。同じことをやっている瞬間が一度もないような楽曲で。僕のパートで言うと、最後のサビのフェイクは聴きどころなんじゃないかと。なかなかパンチの効いたラインなので、聴くのはもちろん、ぜひ一度歌ってみてほしいです。ライブではアレンジも加わると思うので、それも楽しみにしていただければ。

ITSUKI 僕は2番Aメロが一番印象に残っているかな。息継ぎをするタイミングが全然ないんですよ。それで結局ブレスをしないという判断になったんですけど、地声から裏声に切り替えるシーンが頻繁にあるパートなので、切り替えるたびに「ヤバい、息が足りないかも!」と思いつつ、がんばって歌い切りました。ここは特に歌うのが難しかったですね。