ソロインタビュー toku編
歌謡曲っぽくすることで「Fate」感を演出
──今回のニューシングルって、まだ前作「SPEED STAR」のリリースから2カ月しか経ってないんですよね。
そうなんですよ。前のシングルとほぼ同時進行で作っていた感じなので。
──前回のインタビューの時点ですでにレコーディングは終えていたというお話でしたし(参照:GARNiDELiA「SPEED STAR」インタビュー)、相変わらずタイトなスケジュールですね。
まあ、今回も例によって時間はなかったんですけど、作業自体はわりとスムーズだったと言うか。表題曲はメイリアの歌詞がすごく早く上がったので、そのぶんアレンジに時間を割けた気がします。
──その表題曲「Désir」はアニメ「Fate/Apocrypha」のエンディングテーマです。有り体に言ってビッグタイトルとのタイアップですが、今までのGARNiDELiAとはサウンドの肌合いが違いますよね?
そうですね。今までのガルニデ感、簡単に言えばデジタルな音色を前面に押し出すよりは、もっと「Fate」シリーズを知ってる人に寄り添ったものになったほうがいいだろうとは思っていて。アニメの脚本や原作を拝読するに、「Fate」には中世っぽい、幻想的なイメージもあるので、キレッキレのエッジが立った曲よりも、純粋にメロディで勝負することを意識しました。
──実際、イントロからそこはかとなく「Fate」感あるなと思ったのですが、具体的にどういう仕掛けを?
うまく言えないんですけど、ちょっと歌謡曲っぽくするとか……。
──ああ、なんとなくわかります。ある種、ベタな歌モノと言うか。
そうそう。「歌!」っていう感じにしたほうが、「Fate」感が出るかなって。歴代の「Fate」楽曲を聴いて感じたポイントもわりとそこだったので、全年齢対応のメロディみたいなものを作っていくのが命題なのかなって。そもそも、GARNiDELiAのコンセプト自体が「メイリアの歌を聴かせる」なので、そこに全振りする感じで。
意図せずガルニデ転換期っぽいイメージに
──「Désir」は、例えば「SPiCa」のようなインディーズ時代のミディアムテンポの曲を、今のtokuさんのマナーでアップデートしたような雰囲気も感じたのですが。
うん。ビートで押し切らないと言うか、勢い一発で作ってない感じを出したかったので、アレンジはわりとシンプルになったかなと。おっしゃる通り「SPiCa」とかを作ってたときも、アレンジに癖を付けるよりは、王道を行く曲にできたらなと思っていた部分もあったので、それが再燃してよかったかなって。
──ただ、リズムはめちゃくちゃ凝ってますよね。
凝ってます。今回、ドラムは岸田教団&THE明星ロケッツのみっちゃんさんにお願いしたんですけど、ドラムパターンを決めるためにほぼ丸1日使っちゃって(笑)。彼にもいろんなアドバイスをもらいながら、お互いに納得いくまで詰めて録りました。
──みっちゃんさんは「SPEED STAR」や2ndアルバム「Violet Cry」でも何曲か参加してらっしゃいますね。以前、岸田教団&THE明星ロケッツの岸田さんとichigoさんにインタビューしたのですが、お二人とも口をそろえて「天才ロックドラマー」とおっしゃっていました。
みっちゃんさんのドラムは日本人離れしてるというか、「肉食ってます」って感じの、ものすごい太い音がするんですよね。だから前々から一緒にやりたいとは彼にも話していて、最近はよくお願いしてますね。あと、今回はカップリングも含めてギターにはJunchi.さん、ベースには櫻井陸来くんっていう、新しい人を起用してるんですよ。そういう変化も相まって、別に意図的に変えようとは思っていなかったんですけど、結果的にガルニデの転換期っぽいイメージになったかもしれません。
今より時間があったから作れた実験的な曲
──今「転換期」とおっしゃいましたが、個人的に「Désir」以上にサウンドの肌合いの違いを感じたのが、カップリング1曲目の「ワスレナグサ」なんです。この曲は、路線としては従来のガルニデらしいマイナーアップテンポのデジロックなんですけど、アレンジがスムースと言うか、ゴリゴリしていない。
「ワスレナグサ」は、実は5年くらい前に作った曲で、メジャーデビュー前のライブでもすでにやってたんです。それプラス、この曲はちょっと異色と言うか実験的と言うか。作曲クレジットが僕とメイリアの共作になってるんですけど、メイリアが歌ったメロディに対して僕がコードを付けていくっていう試みもしていて。まあ、当時は今よりもたくさん時間があったんで、そういう模索もできたんです(笑)。
──そうだったんですね。アレンジに関しては、「SPEED STAR」リリース時のインタビューでメイリアさんが「最近、tokuさんは引き算のアレンジを覚えた」というお話をされてたので、てっきりその流れなのかなと。
確かに昔は音を詰め込まなきゃ落ち着かなかったのが、今はそれが逆に暑苦しくなってきたっていうのはあります。カップリング曲はトラックダウンを自分でやったりするので、そのときに音圧を上げやすいようにとか、マスタリングで自分のイメージする音に仕上げるっていうことを考えると、このぐらいの間引き加減がいいのかなと。ただ、「ワスレナグサ」はアレンジも音数もほぼ作った当時と変わっていなくて、音色を多少ブラッシュアップする程度でとどめた感じなんですよ。
──では、新機軸を打ち出したと言うよりは……。
原点回帰みたいなところはありますね。これも狙ったわけではないんですけど、なんか、そうなっちゃったなって。でも、例えばライブで再現するにしても、トータルで考えていくと音数を減らしたカッコよさを追求していったほうが、これからのGARNiDELiAには合うんじゃないかなっていう意識が今は強くなっていて、「Désir」共々その形を示せたかなと。
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少ない時間の中で、十分に挑戦できた
- GARNiDELiA「Désir」
- 2017年8月23日発売 / SACRA MUSIC
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1101~2 -
通常盤 [CD]
1296円 / VVCL-1103 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
©東出祐一郎・TYPE-MOON / FAPC
1620円 / VVCL-1104~5
- 初回限定盤 / 通常盤CD収録曲
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- Désir
- ワスレナグサ
- Special Girl
- Désir -instrumental-
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- Désir
- ワスレナグサ
- Special Girl
- Désir -instrumental-
- Désir TV Size ver.
- 初回限定盤DVD収録内容
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- Désir Music Video
- LIFE (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER- (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- 約束 -Promise code-(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- TVアニメ「Fate/Apocrypha」エンディングノンクレジットムービー
- GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017
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- 2017年10月1日(日)東京都 Zepp Tokyo
- 2017年10月14日(土)台湾 台北 花漾Hana展演空間
and more
- GARNiDELiA(ガルニデリア)
- モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、様々なアーティストに楽曲提供を行っているtoku(Key, Compose)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。2017年6月に映画「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌「SPEED STAR」を、8月にアニメ「Fate/Apocrypha」のエンディングテーマ「Désir」をシングルとして発表する。海外での活動も活発で、2017年5月には中国・上海で単独公演を行った。秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題し、10月1日の東京・Zepp Tokyo公演を皮切りにアジアツアーを行う。