少ない時間の中で、十分に挑戦できた
──「ワスレナグサ」はデジロックと言いましたけど、音自体は生っぽいですよね。
ですね。と言ってもこの曲は生楽器はギターとベースだけで、ドラムは打ち込みなんです。生ドラムを使わずにシンプルに曲を成立させるっていうことを僕は昔からさんざんやってきたし、スタジオ音源が打ち込みだからこそ、ライブでこの曲を人力のドラムで演奏したときにさらなる進化を打ち出せるというか、ライブならではの楽しみ方を提示できるとも思っていて。やっぱり、僕らはライブを見据えて曲を作っているので。
──この曲は、ベースも非常に心地よいですね。
ベースの櫻井くんは、こういうマイナーアップの曲とすごく相性がいいし、以前から僕らの音楽を研究してくれてもいるんですよ。だからレコーディングも2テイクぐらいで終わっちゃって、かなり時間の節約になったなと(笑)。ギターにしても、カッティングもソロも曲調にぴったりのニュアンスを出してくれて。そういう意味では、少ない時間の中でも十分に挑戦できたかなと思います。
先週作り始めて、一昨日マスタリング
──先ほどレーベルの方にお聞きしたんですけど、カップリングの2曲はマスターが上がってきたのがついこないだだったと。
マスタリングが終わったのが一昨日ですかね。当日の正午までは作ってました。「ワスレナグサ」はすでにあった曲だったんですけど、カップリング2曲目の「Special Girl」は、ちょうど先週から曲を書き始めたので。
──ということは、作曲からマスタリングまで、1週間しかかかっていない?
そうなりますね。まあ、メイリアと楽曲のイメージの共有はできていたと言うか、毎回「どんな曲にしようか?」というのをしっかり詰めてから曲作りに入るので、作り始めてからはわりと早いです。
──で、その「Special Girl」なんですけど、イントロが引っ掛け問題みたいだなって。と言うのも、出だしのシンセがニューウェイブ、ポストパンクっぽいなと思いきや、その実めっちゃ黒いフィーリングのダンスナンバーでしたっていう。
ははは(笑)。いや、その感想はうれしいです。そういう80’sっぽいサウンドと言うか、例えばそこからマイケル・ジャクソンなんかに通じるようなエッセンスを取り入れてみたかったんですよね。実際、近年その手のサウンドのリバイバルも起こってますし、そちらに寄せていくのもアリかなって。
──しかも、黒いダンスナンバーらしくブラスも入ってるんですけど……。
「なぜひずませた?」みたいな(笑)。そういった遊びも入れつつ、一筋縄じゃいかない感じにできたかなと。でも、結局は歌が引き立たないといけなくて、その点では、この曲に限らずですけど、今回のシングルはメイリアの歌の録れ高がすごくよかったんですよね。
「GARNiDELiAってすごいでしょ?」って言いたい
──そのメイリアさんの歌の録れ高について、具体的には?
「Special Girl」に関しては、ワンコーラス終わってAメロに戻らずに、そのままDメロ、Eメロに流れてがっつりフェイクを入れて歌うんですけど、その部分に関してはメイリアが作ってるんですよ。そこのはっちゃけ具合から「ああ、こういうのがやりたかったんだな」っていうのが見えたと言うか、いつになく生き生きしてたんですね。で、僕は僕で去年から今年にかけてめっちゃ機材とかを買ってたんですよ。それも相まって、2人で「これ買ってよかったね」みたいな話にもなったりして、すごく満足度の高いレコーディングだったなって。先週はほとんどこの曲にかかりきりだったこともあって、まだその手応えと言うか、余韻が残ってますね。
──では、「ワスレナグサ」と「Désir」のボーカルに関してはどう評価なさいますか?
「ワスレナグサ」は、さっきも言ったように5年前からある曲なんですけど、「今のメイリアが歌ったらこうなる」っていう形が提示できたかなと。「Désir」に関しても、めっちゃアニメの脚本を読み込んで自分の中で世界観を作ってたので。やっぱり「Fate」に携わるということで、僕らも相応の準備をしたと言うか、作品に没頭できた結果、「Désir」は今までのマイナーアップテンポの曲やダンス曲では表現できなかった歌になった気がしますね。この曲を聴いてもらうことで、コンポーザーとボーカルという2人組のユニットで「これだけ幅広いことができるんだよ」「GARNiDELiAってすごいでしょ?」みたいなことを示せたらいいなって。
もっとたくさん仕事をするための時間がほしい
──メイリアさんの書く歌詞に関してはどのように思われていますか?
曲のイメージをつかんで、そこに詞を寄せていくための下準備をちゃんとしてから書いている感じが、すごく好印象ですね。「Désir」に関して言えば、ところどころ歌詞のエッジがいい感じに立っていたので、そこからアレンジのインスピレーションを受けたりもしました。特にサビ頭のフックが素晴らしいなと。
──逆に「俺が作った曲に、こんな歌詞を乗せるなんてけしからん!」みたいになったことは?
「けしからん!」とまではいかないですが、ありますよ。「人魚姫」(3rdシングル「BLAZING」カップリング曲)なんかは、「俺めっちゃ楽しい感じの曲書いたのに、なんで失恋の歌になってんの?」って(笑)。でも、今はもう、メイリアにほとんど任せてますね。
──最後にベタな質問ですが、「Désir」に引っ掛けて、今tokuさんが抱いてる「願望」ってなんですか?
基本的には、健康でいるのが一番いいとは思うんですけど(笑)。
──めちゃめちゃ現実的ですね(笑)。でも確かに、僕はtokuさんと同世代なんですけど、年齢的にそろそろ無茶が利かなくなってくるというか……。
ホントにそう。よくメイリアとも話すんですよ、「どっちかが体壊したらウチら終わるね」って(笑)。
──そうか、常に綱渡りのスケジュールだから。
そういう意味では「時間が増えたらいいな」という願望はありますね。それは、もっといろんなことをするために。今は休みたいっていう気も起きないんで、夏バテに気を付けつつ、がんばりたいと思います。
──ホントに働き者ですよね。
いやあ、これまで怠けてたのかって思うくらい、今は仕事として音楽をやらせてもらえることにすごく幸せを感じてるんです。「今がんばらないでいつがんばるんだ?」って。と言うより、今ようやく、やりたいことが徐々にできるようになってきたんですよね。例えば今年は初めてのツアーも実現できたし、その中でバンドもダンサーも裏方のスタッフもみんなが同じベクトルを向いたファミリーになってきたっていう実感があるんです。それが相乗効果を生んでいるし、その勢いが楽曲にフィードバックされたのが今回のシングルだと思っているので、ここから今年後半、さらには来年に向けて引き続き全力で突っ走りたいですね。
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ソロインタビュー メイリア編
- GARNiDELiA「Désir」
- 2017年8月23日発売 / SACRA MUSIC
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1101~2 -
通常盤 [CD]
1296円 / VVCL-1103 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
©東出祐一郎・TYPE-MOON / FAPC
1620円 / VVCL-1104~5
- 初回限定盤 / 通常盤CD収録曲
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- Désir
- ワスレナグサ
- Special Girl
- Désir -instrumental-
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- Désir
- ワスレナグサ
- Special Girl
- Désir -instrumental-
- Désir TV Size ver.
- 初回限定盤DVD収録内容
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- Désir Music Video
- LIFE (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER- (stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- 約束 -Promise code-(stellacage TOUR 2017 ~Cry Out~@ DIFFER ARIAKE)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- TVアニメ「Fate/Apocrypha」エンディングノンクレジットムービー
- GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017
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- 2017年10月1日(日)東京都 Zepp Tokyo
- 2017年10月14日(土)台湾 台北 花漾Hana展演空間
and more
- GARNiDELiA(ガルニデリア)
- モデルとしても活躍するメイリア(Vo)と、様々なアーティストに楽曲提供を行っているtoku(Key, Compose)からなるユニット。2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビューする。その後も数多くのアニメソングのテーマ曲を手がけ、2015年1月にメジャー1stアルバム「Linkage Ring」を、8月にはインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「BiRTHiA」を発表した。2016年8月に表題曲がアニメ「クオリディア・コード」のエンディングテーマに採用されたシングル「約束 -Promise code-」、12月に2ndフルアルバム「Violet Cry」をリリース。2017年6月に映画「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌「SPEED STAR」を、8月にアニメ「Fate/Apocrypha」のエンディングテーマ「Désir」をシングルとして発表する。海外での活動も活発で、2017年5月には中国・上海で単独公演を行った。秋には「GARNiDELiA stellacage Asia Tour 2017」と題し、10月1日の東京・Zepp Tokyo公演を皮切りにアジアツアーを行う。