Eve「闇夜」 PR

Eve|「どろろ」との出会いを経て新境地へ

Eveが新曲「闇夜」を6月26日に配信リリースした。

「闇夜」は、テレビアニメ「どろろ」第2期のエンディングテーマとしてEveが書き下ろしたナンバー。これまでリリースしたアルバム「文化」「おとぎ」で確立させたバンド主体のサウンドイメージを覆す、Eveの新境地を感じさせる1曲に仕上げられている。音楽ナタリーでは新曲の配信を記念して、Eveにインタビューを実施。Eveは手塚治虫原作の「どろろ」という作品をどう読み解き、物語を彩る新曲「闇夜」を完成させたのか。アニメのエンディング映像とは別にMahとWabokuが共同で手がけたミュージックビデオ制作にまつわる話題と共に、Eve渾身の新曲についてさまざまな角度から話を聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦

思い描いていたライブが完成した

──2月にリリースされたアルバム「おとぎ」は前作以上に反響が大きく、Eveさんの名前が広く世に知られた作品だと感じています。今振り返ってみて「おとぎ」という作品はEveさんにとってどんなアルバムでしたか?

「おとぎ」を出す以前から僕は同人活動やインディーズでの活動を通してCDを出してきたんですけど、「おとぎ」で僕のことを知ってくれた人が本当に多くて。改めて自分の自己紹介みたいなアルバムとして、いろんな人に届けられた感覚があります。

──オリジナル曲だけで構成された初めてのアルバム「文化」(2017年12月)も自己紹介的な意味合いが込められていた作品でしたよね。「文化」というタイトルは、Eveさん自身のことを知ってもらうために付けたと、以前のインタビューでおっしゃっていました(参照:Eve「文化」インタビュー)。

そうですね。ただ「文化」と「おとぎ」ってそれぞれ別のアルバムではあるんですけど、僕の中ではわりと地続きみたいな感覚が強いんです。「文化」という作品は初めてオリジナル曲だけで構成したアルバムなんですけど、リリースする頃には「おとぎ」に入る曲がすでにいくつか完成していて。「文化」でやろうとしていたこと、収まりきらなかったものが「おとぎ」にしっかり入っている。だから「文化」も「おとぎ」も僕の中では同じ感覚を持っていて、どちらも自己紹介的な側面を持っているのかもしれませんね。特にライブに関して言えば、「おとぎ」の曲が完成したことで、ようやくオリジナル曲だけでワンマンライブができるようになったし。実は「文化」を作り始めたきっかけは「自分で作った曲だけでライブをやってみたい」と思ったからなんです。「おとぎ」が完成して、ようやく自分の思い描いていたライブが形にできるようになったのがすごくうれしかったですね。

──「おとぎ」のツアーは映画をテーマにしたコンセプチュアルな内容でしたが、ライブ演出はEveさん自身が考案しているんですよね?(参照:Eve「おとぎ」ツアーファイナル、平成最後の公演はMCなし“映画館”テーマのワンマンに

はい。ちょっと前まではステージ上で歌ったり演奏したりすることで手一杯だったんですけど、ようやく最近になって自分の中にどうやってみんなに曲を届けたいかを考える余裕ができてきたんです。僕は映画や映画館が大好きで、今回のライブはそれをテーマにやってみたいと提案させてもらって。たくさんのスタッフの方が関わってくださることで、今回のコンセプチュアルなライブが完成させられたと思っています。

──ということは、今は1つの目標が達成されたあとの区切りのタイミングであると?

そうですね。ちょうど今は次にやりたいことをじっくり考える時期だと感じています。ありがたいことに「どろろ」とのタイアップのお話や、CMソングの依頼(参照:Eve、専門学校HALのCMソング担当)などさまざまな出会いがあって、すごくワクワクしながら楽しんで音楽を作れていますね。

「どろろ」は“取り戻す”物語

──今お話しいただいた中でも、テレビアニメ「どろろ」とのタイアップのニュースは音楽ナタリーでもすごく反響がありました(参照:アニメ「どろろ」第2クールのオープニングはアジカン、エンディングはEve)。

アニメ「どろろ」より。©手塚プロダクション/ツインエンジン手塚プロダクション/ツインエンジン

うれしいですね。僕の音楽のMVはアニメーションで構成されているものが多いので、みんな気付いていると思うんですけど、僕はアニメが好きなんです。学生時代からいろんなアニメを観てきた中で、もちろん手塚治虫さんの作品も大好きで。「どろろ」のエンディングのお話をいただいたとき、不思議と不安になったりはせず、すごくワクワクしました。誰もが知ってる作品に自分が関われることがうれしかったし、アニメ制作サイドの期待に全力で応えたいなと思ったんです。

──アニメの制作サイドとはどのようなお話を?

原作のマンガは話が完結せず、途中で終わるんですよね。でもアニメは24話で「どろろ」を完結させるというお話をまずいただいて。脚本や資料を読ませていただく中で、僕は特定のキャラクターにスポットを当てるのではなく、「どろろ」という作品の世界観を総まとめするような形を意識して曲作りを始めました。とは言え、僕は劇中に登場する百鬼丸がすごく好きで(笑)。絶望の淵からスタートした百鬼丸が“取り戻す”という物語の根幹に当たる部分は、曲の中でも大事な要素になっていると思います。

──「闇夜」の歌詞が「取り戻すの」というひと言で結ばれているのは、その表れですね。

百鬼丸は四肢や視力、聴覚などすべてを奪われた状態から魔物を倒すことで自分の体を取り戻していく。ただ自分の体を取り戻す過程の中で、どろろや父親、母親、兄弟である多宝丸と出会い、百鬼丸の心の中でいろんな感情が芽生えていくんです。「どろろ」という作品はただ失われたものを取り戻すだけの物語ではなくて、取り戻していく過程で描かれるドラマや心の動きにグッとくるものがある。「闇夜」には僕が心を動かされた瞬間に思ったこと、感じたことが詰め込まれています。

「どろろ」がなければ生まれなかった

──「文化」「おとぎ」の2作品はバンドサウンドを基調としたものでしたが、「闇夜」はそのイメージからちょっと外れた印象を持ちました。

アニメ「どろろ」より。©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」という作品と向き合う中で、今までと同じようなバンドサウンドとはちょっと違うイメージが浮かんできたんです。僕が曲を作るときはだいたいギターから作るので、「闇夜」も最初はロック調の曲になりかけていました。アレンジのNuma(沼能友樹)さんとスタジオに入ったときに「『どろろ』に合わせていつもとは違うサウンドでいきたい」ということを伝えました。和のイメージが最初は強くあったんですが、それだとちょっとありきたりかなと感じたりもして。冒頭からバイオリンやビオラなど弦ものを入れてもらって、今回はギターは主張しすぎずあくまで支えるバッキング、ドラムとベースとシンセで成り立つように意識してもらいました。イントロからサビにかけて打ち込みから生ドラム、生ベースに変わっていく流れは、まさに今回の「どろろ」の百鬼丸が徐々に体を取り戻していく、そのさまを出せたんじゃないかなと思います。歌に関しても同じで、感情の入っていないような機械的な歌い方から、サビで少し柔らかい歌い方を意識したり、そこの変化を少しでも感じてもらえたらうれしいですね。

──タイアップであることがEveさんの曲の変化をあと押ししたんでしょうか?

そうですね。タイアップでもないとどうしても自分の好きな形、好きな音楽性に寄っていっちゃうと思いますし。「おとぎ」を作り終えたタイミングで「どろろ」のタイアップをいただいて、自分自身、新たな気持ちで曲作りを迎えられました。何より「どろろ」という作品にすごく感化されたので詞、メロディ、アレンジどこを取っても「どろろ」がなければ生まれなかったものだと思います。

Eve「闇夜」
配信中 / TOY'S FACTORY
Eve「闇夜」
Eve(イヴ)
シンガーソングライター。2009年10月にニコニコ動画に“歌ってみた”動画を投稿し、以降定期的に歌唱動画を公開している。2016年10月には初の全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。同年11月には自身のファッションブランド「はらぺこ商店」を立ち上げた。2017年5月には作詞作曲を手がけたオリジナル曲「ナンセンス文学」を公開し、YouTubeで2200万回以上(2019年6月時点)再生されるなど大きな話題を呼ぶ。同年12月、すべて自作曲で構成されたオリジナルアルバム「文化」を発表。2018年にはワンマンライブ「お茶会」や東名阪ツアー「メリエンダ」を開催し、11月には東京・新木場STUDIO COASTでのワンマンライブをソールドアウトさせた。2019年2月にはニューアルバム「おとぎ」を発表し、3月から4月にかけて東名阪ツアー「2019春ツアー~おとぎ~」を開催。同年6月にはテレビアニメ「どろろ」の第2期エンディングテーマ「闇夜」を配信リリースした。