音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」のEP「The Block Party -HOMIEs-」が8月23日にリリースされた。
「The Block Party -HOMIEs-」は「The Block Party -HOODs-」とともに2作同時リリースされる「ヒプノシスマイク」初のEP。それぞれ2枚組の構成で、DISC 1にはソロやディビジョンの垣根を越えた組み合わせで歌われる新録曲が7曲、DISC 2には新録ドラマトラックが収録される。
音楽ナタリーでは「HOMIEs」の発売を記念して、収録曲「Get busy」を歌唱している
取材・文 / 高木“JET”晋一郎(P1~2)、酒匂里奈(P3)撮影 / 望月宏樹(P1~2)
インタビュー
葉山翔太:ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”波羅夷空却役
石谷春貴:イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”山田二郎役
空却と二郎の共通点
──EP「The Block Party - HOMIEs –」に収録される「Get busy」は、葉山さん演じるナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”の波羅夷空却と、石谷さん演じるイケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”の山田二郎という、別のチームの2人がタッグを組んだ楽曲ですね。
石谷春貴 空却と一緒にやると聞いたときに、「なるほど!」とすぐ納得したんです。二郎と空却は、勢い、若さ、熱量みたいな部分が共通してるし、裏表のない、気持ちのいい性格の2人だと思うんです。そして物語が進む中で、抑えるところは抑えられるように成長している。そういう2人がタッグを組んだら相性バッチリだろうなと。二郎がほかのキャラクターと組んでも化学反応は起きると思うんです。だけど、空却と組んだらお互いの魅力を倍増させることができるだろうなって。
葉山翔太 「Get busy」のノリは、2人がこれまで歌ってきた曲と通じる部分がある気がしています。空却だったら「Young Gun of The Sun」、二郎だったら「センセンフコク」と、ソロ曲でロック調の曲を歌ってきてるので。
石谷 確かにロック調の曲が多いかもね。
葉山 僕としても「Young Gun of The Sun」を歌って、空却はロックな曲もこなせるんだと感じていたところに、今回の「Get busy」の話をいただいたので、絶対に楽しいことになるだろうなと。仮歌を聴いた瞬間に、二郎と一緒に歌っている光景がすぐに想像できたし、僕ら2人だけじゃなくて、「ヒプマイ」ファンの皆さんも巻き込んでとにかく盛り上がれる曲になると思いました。
──今回のEPに収録されるドラマトラックでは、武力ではなくラップで争いを解決するために開発された“ヒプノシスマイク”が使えなくなり、混沌とした世の中を勇気付けるためにイケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”の山田一郎が音楽フェスを主催する、というストーリーが描かれます。「Get busy」はフェスにぴったりの曲ですね。
石谷 「HOMIEs」の中でのブチ上げ担当は我々なのかなと思いますね。フェスと言えばやっぱり夏なので「夏っぽい曲がくるかな……」と思ったら、本当に海が見えそうな曲が届いて。
葉山 もう、ド頭から「灼熱のSummer 熱帯夜」ですからね(笑)。
石谷 まんま「夏!」ですよ(笑)。明るく、熱く、カラッと「お前たち手上げてけ! 盛り上がれ!」とライブで煽りそうな二郎と空却の若い感じを、WANIMAさんがこれ以上ない形で表現してくれたので、本当にうれしかったですね。
──お話にあった通り、「Get busy」はWANIMAが制作に携わっています。
石谷 これまでTikTokやCMなどでWANIMAさんの音楽に触れてきたので、仮歌を聴いたときに、「これぞWANIMAさんの音楽だ!」と感じました。
葉山 WANIMAさんの曲は以前から聴いていたんですよね。上京したときに、ビルに大きくWANIMAさんの広告が掲示されているのを見たとき改めてWANIMAさんのすごさを実感して、感動したのを覚えています。
いろんな要素がギュッと詰まったWANIMAらしい曲
──楽曲を受け取ったときの印象はいかがでしたか?
葉山 約3分間にいろんな要素がギュッと詰まった、WANIMAさんらしい曲だと思いました。「ヒプマイ」の世界観はもちろん、僕たち2人の声色を意識してくださっているのも感じられてうれしかった。歌い方に癖があるところやしゃくりの部分は、仮歌を聴いてからすぐに体に馴染んだし、空却として自然に歌えましたね。
石谷 うねりやしゃくりの部分で、WANIMAのKENTAさんのボーカルとの親和性が高いのは空却ですよね。だから二郎としては、空却と差をつけるために、ボーカルをどんな方向性にするべきか、かなり考えました。
葉山 確かに、ベーシックな部分は空却に近かったと思います。僕としては、空却と二郎が本当にフェスのステージに立って、大勢の観客の前で歌っている風景が見えたので、そのイメージにただただ忠実に歌声を乗せようと思いながらレコーディングしました。
石谷 それがまさに僕の中の空却のイメージにぴったりだったんですよね。ただ同じような歌い方をしてしまうと、僕も空却になってしまうなと。それで二郎としては少しヴィジュアル系のような歌い方に寄せたり、シンプルに歌ったり、しゃくりを変化させたりしつつ、二郎らしさを出しました。個性を出しながらも、ちゃんと空却と熱量を合わせる作業が必要だったし、その作業はギリギリまで詰めましたね。
──「Get busy」はラップではなく、歌の部分がメインに押し出されていますね。
石谷 ディレクターさんやプロデューサーさんと話し合いながら歌い方を詰めていく工程はラップ曲と変わらないのですが、今回はボーカル表現として「こういう表現もできます」「ここはもう少し抑えて歌いましょうか」みたいな試行錯誤が長い時間できたんですよね。これまでとは違う形で二郎の声が表現できたことがうれしかったし、手応えを感じました。今まで以上に悔いなく楽曲に向き合いあって、模索しながら楽曲を磨き上げていくことができたのは、自分の中では貴重な体験になりましたね。
──確かに、イケブクロはラップのイメージが強いので、こういったボーカルスタイルは意外でした。
石谷 「ヒプマイ」の楽曲はいつもそうなんですが、今回のEPも1曲1曲に、制作していただいたアーティストの方の魂がこもっているし、全部の曲がそれぞれシングルとして出せるくらいの濃い楽曲ばかりだと思うんです。だから、その中で遜色がないような曲にするためには、僕たちが演じる中で感じている二郎や空却という存在を、もっと深掘りして歌に乗せないといけないと思いましたね。
──歌うときにイメージしたことはありますか?
葉山 勢いに身を任せてノレる曲だったので、空却と二郎が歌うときにどういう景色を見てるのかを意識して、ストレートに歌いましたね。
石谷 先ほど話したような部分に加えて、楽曲の歌詞やメロディから感じる勢いと夏っぽさ、若さ、そして少し切ない部分を歌に乗せようと思いました。葉山くんが話したように、僕もステージで歌うイメージが浮かんだので、そこで2人はどんなパフォーマンスをするのかな、サビの部分は向かい合わせで歌うのかな、背中合わせで歌うのかな、みたいな部分を想像しながら歌いましたね。
──この曲はダンスホールレゲエとロックが融合したようなビート感も印象的ですね。
石谷 この2人の楽曲として、そのアプローチはしっくり感じましたね。2人が組んだら、こういう曲をビーチで歌うだろうなというイメージがぱっと浮かんで。青空から夕方、夜でも映えるような曲ですね。
葉山 歌詞も含めて、とにかく情景が浮かびますよね。
石谷 だから歌ってて楽しかった。もし本当にフェスをやるとしたら、一番盛り上がる曲になると思う!
葉山 そうですね! 本当にビーチで歌ってみたい。
石谷 真夏のビーチとか楽しそうだよね。
葉山 かなり体力を使いそうですけど(笑)。
石谷 3分間の無酸素運動だもんね。終わったらゼーゼー言ってると思う(笑)。
葉山 ライブでやったら息継ぎが大変だろうなあ。
石谷 2人じゃないと歌えないよね。ライブでやるときは、しっかり練習しないと(笑)。
葉山 ぜひファンの皆さんにもカラオケで歌ってみてほしいですね。そして「え、もう終わり!?」と感じると思うので、何度も歌ってほしいです(笑)。それぐらい情報量の詰まった曲です。
石谷 サビや印象的なパートを曲の最初と最後に持ってくるのはとにかくキャッチーですよね。例えばTikTokでも流行りそう。いろんな人にダンス動画を作ってほしいですよね。
葉山 確かに!
石谷 あと生バンドで歌いたいですね。WANIMAさんと一緒には……緊張してうまく歌えなさそう(笑)。
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葉山が嫉妬した「HOMIEs」の収録曲