「kyo-do?」はエビ中が変わったからこそ歌える曲
──そんな10人体制での初シングルですが……CDシングルとしては2019年6月の「トレンディガール」以来で、実に4年ぶりですね。
真山 そうなんですよ、気付けば。アルバムリリースや配信があったので、そんなに空いてるという感覚はないですけど。
──そして表題曲の「kyo-do?」は、大ヒットしているFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」などのかわいらしい楽曲に定評のあるヤマモトショウさんの提供曲です。
真山 私はふぇのたすの頃からヤマモトショウさんの楽曲のファンだったので「ようやくきたか」という気持ちでしたけど、表題曲になるのは意外でした。こういうかわいらしさ全開の楽曲は、これまでのエビ中だとだいたいカップリング曲になっていたので。これが表題曲になったことにも「エビ中って変わったんだな」と思わされました。
──星名さんがブンブン頭を振って頷いています(笑)。
真山 ただ、この曲めちゃめちゃ難しくて……メロディの動きが、私の体感ではエビ中最難関です。
小林 ああー、確かに。
真山 言葉遊びの多い歌詞は非常にエビ中らしくて。「10年経っても愛してたいから君と自分もね」というフレーズは、結成から14年、メジャーで10年やってきたからこそ歌える歌詞だし、歌はファンの皆さんと私たちで時間をかけて育んでいくものなので、この曲も長く歌い続けていきたいなと思います。
安本 今までのエビ中にない新しいかわいさだけど、歌詞はエビ中がずっと大事に貫いてきたことを考えて作ってくださったんだろうなと勝手に思っていて。自分はそこがこの曲のポイントだなと思って大事に歌いました。「難しいです」と文句は言いましたけど(笑)。
──ヤマモトショウ=バズり曲という印象ができあがってしまっているので、エビ中もそこに踏み入ったのだなと。
小林 TikTokとかSNSで流行ったらいいなと思いますけど、おそらく高学年の5人だったら絶対出会えなかった曲だと思うんですよ。この体制になって今どきの子も増えたから、こういう新しい試みもできるようになったんだなって。「エビ中が新しくなったぞ!」という部分が前面に出されているのが……なんかキュンとします(笑)。
中山 かわいい曲がエビ中にもきた!と思ってうれしかったです。この曲じゃなかったら衣装もこんなにかわいいものを着られなかっただろうし、だけども……難しすぎる!(笑) 聴いただけではそんなに難しそうには思わないかもしれないけど、歌ってみると難しいんですよ。ただかわいいだけじゃないスキルを求められているような気がして、がんばらなきゃなーと思いますね。
小林 デモを何度も聴いても全然覚えられなくて、彩ちゃんに歌ってもらったのを聴いて覚えてました(笑)。
安本 通訳みたいな(笑)。
中山 レコーディングの日は珍しく空き時間みんなそれぞれヘッドフォン着けて練習してたよね。それくらい難しかったよね。(頷きながらスマートフォンに文字を入力している星名に)どう美怜ちゃん?
星名 今の年齢差があるエビ中だからこそ、できる曲だと思います。以前のエビ中ではきっと出会うことのなかった曲だと思いますし、この曲が今のエビ中のバランスを表現していると思います。
真山 ほお。
星名 「まだまだエビ中止まらないぞ」って。新章に入った感じがします。
──ちょっと今感心してるんですけど、この短時間で考えて文章にするスピード、ライターに向いてるんじゃないかと思うくらいすごいですよね。読み上げの声とアクセントのせいでちょっと面白いですけど(笑)、意見がすごくスマートにまとまっていて。
小林 ゆくゆくは記者として(笑)。
現在進行形で再構築、エビ中の“100%”とは
──シングルには「kyo-do?」のほか、新曲の「ジブンアップデート」と「はみだせGirls」、9人体制最後の曲だった「ボイジャー」の10人バーション「ボイジャー(New style ver.)」という3曲のカップリングが用意されています。エビ中といえばシングルのカップリングやアルバム収録曲がのちのち歌い継がれる代表曲になることも多いですし、CDシングルではそこも注目ポイントですね。
真山 ひと言で言うと、今までとは違ってシングルとしてまとまっていますね。
中山 あー、確かに!
小林 今までは1つのシングルの中に別のグループかと思うくらい個性がバラバラな曲が入ってたもんね。
星名 全部ポップだよね。
真山 今回は全部の曲が「kyo-do?」に寄り添っているというか。
小林 女の子の味方、みたいな。
安本 確かに確かに。強い女子。
真山 女の子の味方みたいな1枚になってます。もちろん男子の味方でもあるけど。
小林 このシングルを聴いて女心を学んでほしい(笑)。
安本 この感じ、校長が好きなんだって。校長は意志の強そうな女の子像が好きなの(笑)。
──とんでもない実験曲などでバリエーションを出していたエビ中とは違うフェーズに。
真山 現在進行形で再構築をしているグループなので、これからのエビ中として長く歌える楽曲を今は模索しているのかなーと。
──新曲を携えての春ツアーで現体制の地固めが進むのかなと思いますが(取材は3月下旬に実施)、皆さんはどのような心構えでいますか? 過去いろんなドラマが生まれてきた春ツアーですが。
真山 「100%ebism」というタイトルを聞いて、そのあとセットリストがポーンと届いて……エビ中らしさとか「エビ中とは?」みたいなことを、私たちはこの数年間ずっとテーマとして考えてきましたけど、そのうえでの「100%ebism」なので、その答えを見つけるツアーなのかなって。エビ中ファミリーの皆さんと一緒に、新しい、10人でのエビ中の100%を作りたいなと思ってます。
安本 「New Style 大学芸会」で今のエビ中の形は見えたので、私的にはこのツアーはそれを自信につなげる場所というか。絶対にそう。自分が今後信じるべき答えを染み込ませる期間になると思います。
──「大学芸会」で感じた「やってやったぞ!」という自信を確信に変えていくと。
安本 はい。「絶対です!」って言える自信を確かなものにするツアーになりそうです。
──安本さん、自信がみなぎってますね。
安本 そうですね。エビ中については今なんの不安もないです。
真山 ひなが抜けて一番大事な部分を任されることが多いのが彩ちゃんだからね。頼もしいですよ。
小林 頼もしい。
安本 ウエーイ。
小林 私は中間管理職になったので、尊敬される先輩みたいな感じにゆくゆくなれたらいいな……という……うーん、そういう気持ちが芽生えたってわけじゃないけど、前よりも頼られることが多くなってきたと感じていて。だから自分も、エビ中の一員としての今の役割を明確に発揮できるツアーにしたいと思っています。わちゃわちゃとポップだけど地味にトガってる、みたいなエビ中の一面をいい具合に出せるツアーになればなと思って、今はわくわくしています。
中山 春ツアーは本当に毎回いろいろあるんですけど……「さいたまスーパーアリーナにもう一度立つ」という新しい目標を決めたからこそ、1つひとつのライブを無駄にしたくない。ファイナルを迎えたときに「いいツアーだったね」って思えるようなツアーにしたいです。
星名 「エビ中らしさ」っていうざっくりワードを何年も何年も言ってきているのですが、「らしさ」ってなんだろう。「エビ中らしさ」は絶対的に変わってきているので、10人の芯として見つけられるツアーにできたら。そしてファンの方に今のエビ中を好きって言ってもらえたらいいなと思います。