Devil ANTHEM.|メンバー個別インタビューで紐解く5人の現在地

竹本あいり インタビュー

デビアンの音を体で表現したい

──1つ前の楓さんのインタビューで今、モチベーションが上がっているという話が出ましたが、あいりさんも同じですか?

竹本あいり

そうですね。少し前のライブではわざと肩の力を抜いていた部分があるというか、数をこなすうちに中だるみしちゃっていたんですが、最近はわざと自分を緊張させるようにしているんです。劇団四季のダンサーの方が「毎日公演がある中で、どれだけ自分を緊張させられるかが勝負」とおっしゃっているのを聞いたことがあって、いい意味で緊張することも大事なんだなって。今はワクワクドキドキした状態でライブに臨めています。

──昨日、新曲「SS」のレコーディングを終えたばかりとのことですが、その感想も聞かせてください。

「SS」のレコーディングについてはちょっと悔しさがあって……「こういう気持ちで臨んで、ここをがんばりたい」みたいな思いがないまま当日を迎えてしまったんですよ。今の緊張感の話とつながるかもしれないですが、そのことを少し後悔していて。でも「SS」は間奏が長い曲なので、今後ダンスで巻き返していこうと思っています。

──あいりさんは幼い頃から広島でバレエをやっていたそうで、やはり歌よりもダンスが得意なんでしょうか?

ですね。歌に苦手意識があって、自分としてはダンスのほうが得意だと思っています。最近は違うジャンルのダンスにも挑戦したくて、そのレッスンを受けているんですよ。デビアンはライブに重きを置いているグループなので、パフォーマンスをもっと磨いていきたくて、バレエとはまた違った、デビアンに生かせるようなヒップホップやジャズダンスとか、歌詞に合わせてダンスを踊るというレッスンに挑戦していて。東京にはすごく上手な人たちが集まっているので、周りからたくさん刺激を受けています。ダンスのプロの人たちからもらえるものはもらって、それを自分の色に変えてライブで見せられたらいいですね。

──ダンスを踊っているときは純粋に楽しいですか?

竹本あいり

もともとダンスが好きなので楽しいんですけど、そのレッスンだと周りにうまい子たちが多くて……。あと、最近の韓国のアイドルの人たちってすごいじゃないですか。日本はファンの方と一緒にアイドルを育てていくところがありますが、向こうは完璧なものを提供していて。そういうのを見ていると、自分のパフォーマンスにイライラしちゃうときもあります。でも、それに影響されすぎるのではなく、日本のライブアイドルとしての色は忘れないようにしなきゃと思っています。パフォーマンスに凝りすぎて、ファンの方を置いてけぼりにしないように。

──デビアンのメンバーからも刺激を受けることはありますか?

瞳ちゃんがホントにダンスが上手で、一緒にいるともらえるものがたくさんあります。アイドル以外の畑でも通用するレベルの子だと思っているので、それに追い付こうとしていて。自分としてはデビアンの音を体でしっかり表現できるようになりたいです。

──春ツアーでのパフォーマンスも楽しみです。

去年は春ツアーを予定通りに行えなかったり、いろいろな経験をしました。会わない間に、現場を離れたファンの方もいます。恒例の春ツアーと言っていますが、ツアーができるのだって当たり前のことではないし、そのことに感謝して今年は普段のライブより一層特別な空間を、一瞬一瞬を大切にしながらみんなと沸いていきたいです。このご時世なので各会場にルールがあると思いますが、声を出せなくてもみんなのエネルギーをぶつけ合いたいです。パフォーマンスはもちろん、MCでの言葉も含めて会場にいるみんなを幸せにするツアーにします。今は今しかないので、迷ってる方がいたらぜひ来てください! デビアンの素敵な楽曲と演出、メンバーとともに自分の持ち味をすべて出し切って、ツアーが終わる頃にはみんなをデビアンの沼に落とします。

水野瞳 インタビュー

今は焦りと不安が強い

──最初に、新曲「SS」の印象を聞かせてください。

水野瞳

「SS」は歌う部分が少ない曲なんですが、その分、踊りで魅せられるんじゃないかと思っています。歌のパートも短いながら難しくて、キーがホントに高いんですよ。レコーディングでは肩を上げながらがんばって声を出しました。

──ダンスに比べると、歌には苦手意識がありますか?

苦手ですね(笑)。「瞳ちゃんの歌声が好き」と言ってくださるファンの方も増えてきたんですけど、自分としては「いやいや!」という感じで。いつかはライブで曲の音圧に負けないくらいの声量を出せるようになりたいと思っています。

──アルバムには新曲のほか、既発曲の「UP」「ストレライド」「ソラシド」「VS」「歪んだ世界がリアリティ」も収録されますが、特にお気に入りの曲はありますか?

「歪んだ世界がリアリティ」は私とあいりちゃんのソロパートがあったり、細かい振りが入ってたりして、ダンスがすごく好きな曲です。あと「ストレライド」もお気に入りですね。私はほかのメンバーよりも個性が強いファンの方が多くて(笑)、ライブでわざわざスピーカーの前まで行って「ストレライド」の音圧を浴びるみたいなことをやってる人もいて。「ストレライド」の音の作りが好きな人が多いんですよ。くるみちゃんが歌ったあとのラスサビで一瞬音が止まるところも好きで、そこがすごく心地いいよねってファンの方とよく話しています。

──先ほど、あいりさんが瞳さんのダンスはアイドルの枠に収まらないレベルだと話していたのですが、自分自身のダンススキルについてはどう自覚していますか?

正直、自分のダンスに納得がいったことはなくて。自分の中に理想の形があるわけではないんですが、ダンスってそのときの気持ちや環境に影響されやすいもので、「こうやって踊りたかったのに」と思うことが多々あるんです。あと、100%踊れたという感覚があっても、映像を見返すと50%くらいしか踊れてなかったり。メンバーには私のダンスは“瞳節”があって、個性が強いと褒められるんですけど、それってソロならまだしも、グループとしてまとまりのあるダンスを見せる中では必ずしも必要ないんじゃないかとも考えちゃって。それが最近の悩みでもありますね。ファンの方も「瞳ちゃんのダンスは指先まできれいだよね」と言ってくださるんですが、自分としては納得できていないし、ファンの方が望むものと自分の納得がいくダンスが別物であるとしたら、それが原因でデビアンから離れていっちゃうんじゃないかと考えることもあって。

水野瞳

──得意だからこそ悩んでしまうことがあるんですね。春のツアーに向けて、今の心境はいかがですか?

ツアーでは東京、大阪、愛知、広島、福島での全7公演、日時も場所もセトリも環境もそれぞれ違う中でそれぞれの色のあるライブをみんなで完成させたいです。今回は東京で始まって東京で終わるという形で、しかもありがたいことに名古屋での追加公演も決定しました。ツアーができるのも、こうして追加公演が決まるのもファンのみんながいてくれるからです。フロアで声を出せなくても、デビアンだからこそできるライブを届けて、最後には「楽しかった」と思って帰ってもらいたいです。来てくれた人に後悔はさせません。いろいろある世の中ですけど、私たちと過ごしている間は嫌なことも忘れて、ただ真っ直ぐに全力でライブを楽しんでもらえるようにがんばります。私たちも本気以上の気持ちでやるので、みんなも本気以上で楽しんでほしいです。