Devil ANTHEM.が2月7日にメジャー1stアルバム「Blue Youth」をリリースする。
本作には昨年のメジャーデビュー以降に発表された既発曲と新曲5曲を収録。「Blue Youth」というタイトル通り、表題曲を筆頭にどこか青春を感じさせる多彩なナンバーがそろっている。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューし、新曲の聴きどころや、昨年12月に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催された結成9周年記念ライブの手応えを語ってもらった。
なお、彼女たちは今年の12月27日に結成10周年記念ライブとして再びTDCホールワンマンを開催し、この公演をもって活動を休止することが決定している。10年間走り続けた末に一度“立ち止まる”ことを選択した率直な思いもメンバーに聞いた。特集の最後には、プロデューサー兼マネージャー佐藤海人氏の活動休止に対する考えをまとめたコメントも掲載する。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / 下山春香
TDCホールワンマンで感じた悔しさと手応え
──まず、昨年12月29日に開催された結成9周年記念ライブから振り返らせてください。会場のTOKYO DOME CITY HALLは、プロデューサー兼マネージャーの佐藤海人さんがいつかデビアンに立たせたいと思っていたステージだったそうで。
竹越くるみ はい。TDCホールのステージに立てたのは自分たちだけの力じゃないですし、スタッフさんたちの気持ちも背負いながら人に自慢できるライブができたかなと思います。一昨年の日比谷野音のときのようにワンマンに向けて街でビラ配りしたり、イベントに出演したあとに会場から出てくるお客さんに声をかけたりして。一昨年はそれで大変な思いもしましたけど、そういう努力を経て見れた景色が心からうれしくなるものだったんです。なので今回もがんばろうと思いましたし、ライブに向けていろいろと自発的に取り組みたいという話になり、ダンスプラクティス動画の配信を企画しました。曲を決めて撮影も編集も自分たちでやって、ファンの方も巻き込みつつ、みんなでデビアンを盛り上げられた気がします。そしていざTDCホールワンマンの本番を迎えたら、野音よりも胸に来ました。
──本番を迎えるまでの期間も充実していたんですね。
竹越 はい。大きいスタジオで、イヤモニを付けながらマイクを通してリハーサルするのも初めてで。アイドルをやっている実感があったというか、準備期間からすごく楽しくて、TDCホールに立ってる自分たちを想像しながら毎日を過ごしていました。当日もあまり緊張せず、いつも通りの自分でステージに立てたと思います。
橋本侑芽 仲よくしているアイドルさんたちが先にTDCホールワンマンをやっているのを観てきたので、自分たちも同じステージに立ててうれしかったです。初めてデビアンのワンマンに来たお客さんが多かったので、最高のライブを見せたいという気持ちが今までより強くて、悔いが残らないように全力で挑みました。
安藤楓 TDCホールのステージには前に対バンイベントでも立ったことがあって、そのときはすごく広い会場に思えたんですよ。だからワンマンが始まる直前まで不安と緊張が大きかったんですけど、いざステージに立ったら3階席もすごく近くに感じて、自分の成長を実感できました。
──ライブを通して十分な手応えを感じたようですが、新たに見つかった課題はありますか?
くるみ そうですね……強いて欲を言うならば、もっとお客さんを入れたかったなって。
竹本あいり STUDIO COASTで周年ワンマンを2回やったことがあるんですけど、正直その1回目と同じ感覚がありました。
──STUDIO COASTのときは1回目で満足のいく集客ができず、1年を経てリベンジをしていましたね(参照:Devil ANTHEM.2回目のコースト公演「デビタゴン祭2021」、大勢の観客を楽しませた7周年の実力)。
あいり 多くのお客さんが集まってくれたものの、まだまだ動員を伸ばせるなというのが、ステージに上がったときの最初の感想でした。すごく気合いの入った迫力あるステージ演出だったので、もっとたくさんの人に見てもらいたかったなという悔しい気持ち……でもTDCホール公演も今年の12月27日にもう1回開催するんです。リベンジできるのはうれしいことですし、この1年もっともっとがんばらなきゃなって。前より動員を減らすわけにはいかないし、絶対に前に進まなきゃいけないというプレッシャーもあるんですけど、目標に向かって進むことで濃い時間を過ごせるんですよね。その環境が自分を成長させてくれる気がします。
──2023年を終えると同時に、2024年の目標が必然的に浮かび上がったわけで、気が引き締まった状態で1年をスタートさせられたんじゃないですか?
あいり はい。10周年のタイミングで武道館に立ってほしかったというファンの方の声も聞くんですけど、地に足をつけて着実に進むのが私たちらしいのかなって。
侑芽 より大きな会場にステップアップできなかったのは悔しいですが、自分たちのペースで進んでいって、絶対にリベンジを成功させたいです。
楓 今回、ライブ中に「ここ、うまくできなかったな」と思ったたり、パフォーマンス面で悔しさを感じたりもしたので、リベンジのときは完璧なライブをしたいです。
水野瞳 春に始まるツアーでは全国のいろんなところ行くので、そこで出会った人たちも引き連れて、2回目のTDCホールに臨みたいです。この間のTDCホールワンマンではYouTubeやTikTokでデビアンを知って会場に足を運んでくれた人がけっこういたんですよ。年末なのに福岡や北海道からはるばる集まってくれた人たちも。対バンでTDCホールのステージに立ったときはアウェイ感が強くて、その印象がずっと残っていたから、お客さんにどう受け止められるか不安だったんですけど、ライブ映像を見返したら画面越しでも会場の熱量が伝わってきました。
──メンバーとしては会場の規模や集客面に意識が向いてしまうかもしれませんが、演出面含めて見どころが多く、観客の満足度が高いライブだったと思います。
楓 最初のSEがいつもより尺が長くてテンション上がりました!
くるみ ステージ後方の隼のオブジェを使ったプロジェクションマッピングだったり、レーザー照明だったり、登場SEの段階でワクワクするような演出が盛りだくさんで。YouTubeにそのSEから1曲目の「GOD BLESS YOU!!」までの映像が上がっているんですけど、メンバーが登場していないオープニングから見入っちゃうような迫力でした。普段は「レーザーでお客さんから私たちのことが見えない!」とか文句を言うこともありますけど(笑)、今回は特にカッコよかったです。ファンの方も会場が小さく感じるくらい圧倒的な満足感があったと言ってくれて、メンバーとスタッフさんの気合いが伝わったのかなと思います。
──コーラス隊の参加もハイライトの1つでした。バンドセットでライブをするアイドルは多いですが、“悪魔の聖歌”という意味のグループ名を冠するデビアンとしては生コーラスをバックにしてのパフォーマンスが最適解のように思えました。
瞳 通しリハのときから迫力がすごかったです。
くるみ 佐藤さんがコーラスの方たちに「パフォーマンスにどんどん参加してほしい」と伝えた結果、当初の予定より多めにコラボできたんです。ハモリが加わって歌に厚みが出ました。楓ちゃんはリハーサルで口をぽかんと開けてました(笑)。
楓 もう歌声がきれいすぎて!
瞳 振付の先生の提案で、歌うだけじゃなく振りも踊ってくださって、一緒にライブを作ってくれました。
最初から“終わり”を意識するのがアイドル
──続いてメジャー1stアルバム「Blue Youth」の話に移りたいと思います。タイトル通り青春をイメージさせる曲が多い印象ですが、アルバムに収録される新曲について、まず表題曲の聴きどころから教えていただければ。
くるみ 「Blue Youth」は初期からデビアンに楽曲を書いてくださっている今城沙々さんの作詞作曲という時点で、神曲確定だなと思いました。まさに青春をイメージした曲ですけど、アイドル活動って時間が限られていて、始める時点でその先の“終わり”について想像する職業だと思うんですよね。何年後かにこのステージに立って、その何年後かにアイドルとしての終止符を打つ、みたいなイメージをなんとなく思い浮かべる。そんな儚い時間を1分1秒大切にしたいという思いがこの曲には込められています。青春のキラキラした雰囲気が表れているし、アイドルをやっている今の時間が幸せだなと改めて感じます。
──デビアンは今年12月27日の2回目のTDCホールワンマンをもって活動休止することが決定しています。このことについてはのちほど話を伺おうと思っていたのですが、「Blue Youth」の歌詞がグループの状況とリンクしているようにも感じられますね。
くるみ 今城沙々さんが作る曲はどんな出来事にも当てはまるというか、いろんなことを思い出させてくれて、いろんな形で人の心に寄り添ってくれるんですよね。
あいり 楽曲制作にあたってメンバーにアンケートを取ってるわけでもないのに、私たちの気持ちが手に取るようにわかっているんです。メジャーデビュー曲の「ar」もそうでした。自分の気持ちとマッチしている曲を歌うときが一番エモくて楽しいんですよ。「Blue Youth」のレコーディングのとき、活動休止はまだ決まってなかったんですけど、発表後に何回かファンのみんなと交流する機会があって。そこでもらった言葉を自分の中で消化していくうちに、レコーディングのときとはまた違った心境で歌えるようになったと思います。そういう、曲が成長や変化をしている感じがまさに青春だなと思います。思春期のときって考えることや心の状態が日々違うじゃないですか。この先「Blue Youth」を歌っていく中で自分の感情もまた変わるだろうし、その時々でファンのみんながどういうふうに受け取ってくれるか楽しみです。
──「Blue Youth」のようなエモーショナルな楽曲もあれば、「好きだ!」などのストレートなアイドルソングも収録されているのが今回のアルバムの面白いところです。
あいり 「好きだ!」は、事務所の先輩の益若つばささんが作詞してくださいました。益若さんが音楽活動をされていたとき、佐藤さんがついて回ってたらしいんですよ。そこが音楽の仕事としての始まりだったらしくて。私は前から益若さんのファンで、ケータイの待受画面やパソコンのデスクトップを益若さんの写真にしていたし、益若さんがデザインした「(ファッションセンター)しまむら」の靴下とかも全部そろえてたんです。益若さんは私と同じように小柄ですけど、JKのマドンナ的な存在ですごく憧れていました。この事務所に入ることを決めた理由も、益若さんが所属していることが大きかったです。
──いつの日か仕事で関われることを夢見ていた?
あいり そうですね。でも、数年前のデビアンだったら活動の規模的に益若さんには作詞を頼めなかったと思うんですよ。今までの積み重ねがあったから実現したのかなと思うと、エイジアプロモーションで長く活動してきてよかったなと思いました(笑)。本当に光栄です。ライブではつばささんの“かわいさ”を自分に憑依させて、かわいく歌いたいです。
くるみ ライブで特に注目してほしいのは、メンバーが順番に「好き」を連発するところですね。「好きだ… 好きだっ 好きか? 好きだ、、! 好きだ!!?! あぁぁーーー!!!」って。「…」やビックリマークのニュアンスを表情やポーズで表現しています。レッスン中、楓ちゃんが「好きだ、、!」を歌詞通りに表現していたのがかわいくて、メンバーみんな感化されました(笑)。いろんな表情の「好き」が見れるのは面白いと思います。
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デビアンが歌う失恋ソングや“ザ・青春”ソング