ナタリー PowerPush - GREAT HUNTING 15周年記念オーディション「BAND ON THE RUN」

名門新人発掘部によるバンドオーディション徹底解剖

今振り返るとしんどかったメジャー直後

──The SALOVERSはメジャーデビューアルバム「珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-」を2012年の9月にリリースして、2013年には立て続けに3枚のシングルを発表しています。商業的なペースに合わせて曲を発表していくことはつらくなかったですか?

メジャーデビューアルバム「珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-」リリース時のThe SALOVERSアーティスト写真。

それが当たり前だったからやってるときは感じなかったんですけど、今振り返るとしんどかったんだと思います(笑)。曲作るペースも上げなきゃいけないし、そんなに歌いたいことなんてあるのかって考えていたり。期日とかが設定されるわけですからね、それはやっぱりつらかったです。

──メジャーへの準備の段階で、ということでしょうか?

つらかったのはメジャーになってからでしたね。メジャーデビューする前はしんどさとかは特になかったんですよ。ただ階段を上がる感じだったというか。僕らはただ階段を上がるだけじゃなくて、階段を3段飛ばしで駆け上がるような感じで来てしまったので。メジャーデビューがどれだけすごいことかってことも、あんまりわかってなかったんです。

──もっと時間をかけてメジャーデビューすべきだった?

僕は今23歳なんですけど、この歳でいろいろ経験できたってことは素直によかったと思っています。ほかの人が経験できなかったようなこともできたんで。もちろん、すべてがよかったってわけじゃなくて、あのときこうしていればって思うこともあるんですけどね。

自分たちの時間も大切にしてほしい

──2008~9年頃は10代のバンドがものすごく注目されていたとおっしゃっていましたが、今のバンドシーンを見て思うことはありますか?

今は本当にフェスがいっぱいありますよね。それはみんなが酒飲んで楽しめるようなものが一番求められてるからなのかなって思ってるんです。ある意味、フェスのために音楽を聴いてるというか。90年代はCDがメインだったけど、今はライブがメインになっていて、お客さんが盛り上がれるバンドが強いんじゃないですかね。アーティスト側も、ライブでの盛り上がりを想定して曲を作ってると思いますし。

──The SALOVERSはそういうアプローチをしていますか?

したかったんですけど、そこまで器用に作れないんですよね。向いてないというか(笑)。自然発生的にそういうものができればいいんですけど、スタートが「ライブでやったら盛り上がりそう」だと大抵ダメなんですよ。

──シーンの現状も踏まえて、GREAT HUNTINGに応募してくるバンドマンたちに必要なものってなんだと思いますか?

バンドってよっぽど強い人間じゃないとやれないと思うんです。精神的にタフじゃないといけないというか。ただ音楽をやりたいって気持ちだけじゃうまくいかなくて、ストレスに対して強いとか、思い詰めすぎないような性格だとか、そういうのがすごい大事だと思っています。で、それを鍛えるためにはやっぱり自分たちだけで活動する時間も大切なんだろうなって最近感じています。

──ある意味、古舘さんができなかったことをしっかりやってほしいと。

そう思います。それといろんなバンドを観たり聴いたりしていると、メジャーのほうがいいって思うバンドもいれば、インディーズのほうが合ってるって思うバンドもいるんです。トレンドに合わせた音楽で成功するのはもちろんいいことなんだけど、まれに時代の流れと全然違うものが売れたりもするじゃないですか。例えば日本だとメタルとかハードコアって全然人気がないのに、マキシマム ザ ホルモンはすごく売れてますよね。やっぱりそういうバンドに僕は憧れてしまうんです。もちろんそれで成功するには精神的な強さが必要だろうし、いろいろ大変なんだと思うけど。だからメジャーデビューっていう華やかな道だけが正解じゃないとも思っているんです。

GREAT HUNTING 15周年記念オーディション「BAND ON THE RUN」
<応募条件>
12月14日に東京・原宿アストロホールで行われるライブ審査に参加可能であること。バンドであれば、音楽性、編成、年齢は問いません。
<審査員>
亀田誠治 / 木村豊 / 島田大介
<審査スケジュール>
2014年12月1日:応募締切(12月1日必着)
2014年12月8日:ファイナリスト発表
2014年12月14日:東京・原宿アストロホールにて最終ライブ審査
2015年2~4月:レコーディング、ビジュアル&ビデオ作成
The SALOVERS(ザサラバーズ)

2008年、高校の同級生だった古舘佑太郎(Vo, G)、藤川雄太(Dr)、藤井清也(G)、小林亮平(B)の4人で結成。2010年に「FUJI ROCK FESTIVAL '10」ROOKIE A GOGOステージに出演し、一躍注目を集める。同年9月に1stアルバム「C'mon Dresden」を発表し、直後よりさまざまなライブイベントに参加。2011年5月にリリースした2ndアルバム「バンドを始めた頃」では、10代ならではの感性に満ちたサウンドで高い評価を獲得した。2012年9月、アルバム「珍文完聞 - Chin Bung Kan Bung-」を発表しメジャーデビューを果たす。2014年8月には配信限定音源「喉が嗄れるまで」をリリースした。


2014年11月14日更新