「STUDIO HISASHI with Anime」特集|sumikaが紡ぐ音楽がアニメに愛される理由 (2/2)

イントロスキップは押させない

──sumikaがアニソンを作るうえで大事にしていることは?

片岡 曲の“主語”をアニメの作品にしたまま、最後までズラさないこと。sumikaの新曲ではなくて、タイアップ作品の楽曲という意識で作り切るのがポリシーですね。あとは、どんな形であれ視点を変えれば共通点を見つけることができるので、それを見つけて音にしていくこと。

HISASHI わかるなあ。アニメ作品と自分たちとの共通点というのは絶対あるんです。それを曲にして、俺たちがブーストさせる。でも、同じ作品でもsumikaが主題歌を作ったときと、GLAYが作ったときでは視点が違うと思うんだよね。

片岡 そうですね。

HISASHI あと、sumikaはこれまでアニメのオープニングテーマを手がけることが多かったんだよね? オープニングは大事なんですよね。作品のアイキャッチになるわけだから。

HISASHI(GLAY)

HISASHI(GLAY)

──オープニング映像でそのアニメを観る、観ないを判断する人も中にはいると思います。

HISASHI そう。「残テ」(「新世紀エヴァンゲリオン」オープニングテーマ「残酷な天使のテーゼ」)がすべてを物語っているのではないかと(笑)。

片岡 映像配信系のサービスにはイントロスキップという無情なボタンあるんですよ。だけど、自分が携わった作品にはそのボタンを「押させない」というスピリットは持ち続けたいんですよね。

HISASHI あれね……自分の曲が使われるまでは「なんて便利なんだろう」と思ってたけど、無情だよね。時代の流れというか、すべてが“ショート”になってるなあと。さすがに倍速でアニメを観てる人がいるって聞いたときは耳を疑ったけど。

片岡 わかります。今、「ダンジョン飯」で携わらせていただいている作画チームのTRIGGERさんが、オープニング映像を作るメイキングをYouTubeで公開していて。僕らの楽曲をどうやって解釈して作画に臨んでくれたかがわかるんです。本当に愛があるものになってるから、ぜひ動画を観てほしいです。そしたらイントロスキップを押せなくなるんで。

──HISASHIさんは、どうしてsumikaがアニメ作品に愛されるのだと思いますか?

HISASHI アニメに対する姿勢がすごく真摯で、作る曲が熱を帯びてるからじゃないかな。アニメの制作陣と同じような勢い、同じぐらいのテンションで曲に向き合う。そういうのって絶対に伝わるし、誰かが見てるんだよ。その熱を感じて、「俺もなんか彼らと一緒にやりたいな」という気持ちになる。

片岡 僕は人が創作するものに対して、リスペクトを持っているんですよね。僕が通っていた高校は、美術学科やデザイン学科がある学校で。調理学科もあったな。どんなものであれゼロからイチを作るということは素晴らしいと教育する環境で、人が作ったものをまずバカにしないという風潮が根付いていたんです。だから、ほかの人がどれだけ酷評したとしても、作った人には熱量があるはずだし、意味があるはずだし、そういう意図や気持ちを理解したいと思ってしまう。同時に、自分たちもそういう気持ちで音楽を作ってるんです。

片岡健太(sumika)

片岡健太(sumika)

夏フェス常連sumikaから、GLAYへアドバイス

──収録時にHISASHIさんはsumikaのことを「フェスで活躍している華やかなバンド」とおっしゃっていました。GLAYはこれまであまり縁がなかったところ、今年ついに夏フェスに参加しますね。

HISASHI そうそう。俺ら今年初めて「SUMMER SONIC」に出るんだけど、Major Lazerの前なんだよ。

片岡 すごい並びですね(笑)。でもGLAYの曲には力があるんで、間違いなく盛り上がると思いますよ。

HISASHI sumikaは今年、フェスにはどのぐらい出るの?

片岡 15本くらいかな? 去年僕らも「サマソニ」に出たんですが、後ろがケンドリック・ラマーで。その前にはリアム・ギャラガーがいて無茶苦茶でした(笑)。

左から片岡健太(sumika)、HISASHI(GLAY)。

左から片岡健太(sumika)、HISASHI(GLAY)。

──フェス常連のsumikaからHISASHIさんに何かアドバイスはありますか?

片岡 僕も去年なったんですけど、熱中症には気を付けてください。

HISASHI ああ。去年「サマソニ」に行ったんだけど、めちゃくちゃ暑いよね。死者が出るかと思ったくらいだった。

片岡 温度も大敵なんですけど、湿度が意外と手強いんですよ。呼吸ができなくなっちゃうこともあるほど。ボーカルもですけど、ギタリストも呼吸が整ってないとうまく弾けないですから。なのでご自愛ください。

HISASHI ありがとうございます(笑)。

このアニメを観てくれ!
HISASHIから片岡健太へのイチオシ作品

HISASHI(GLAY)

HISASHI(GLAY)

「フリクリ」

2000年に作られた「フリクリ」を片岡くんにオススメしたいです。平たくいうと「エヴァンゲリオン」です(笑)。世界線のずれた「エヴァンゲリオン」。ガイナックス制作だし、キャラクターデザインが貞本義行さんだし。新谷真弓さんが演じるハルハラ・ハル子というキャラクターもいいの。で、主題歌がthe pillows先輩なんですよ。the pillowsの曲が劇中でものすごく使われていて。音楽面でも楽しめるのでぜひ観てほしい。

プロフィール

HISASHI(ヒサシ)

北海道函館市出身の4人組ロックバンドGLAYのギタリスト。高校2年生の頃に同じ高校に通っていたTAKUROと出会い、GLAYに加入した。個人としてもさまざまアーティストの作品に参加し、藍井エイル、遠藤ゆりか、三森すずこ、緒方恵美、日笠陽子らに楽曲を提供。メディアに関心があり、アニメや映画などサブカルチャーに造詣が深い。バラエティ番組に幅広く出演し、自身のYouTubeチャンネル「HISASHI TV」でも精力的に活動中。2012年に結成されたバンドACE OF SPADESのリーダーおよびギタリストも務めている。GLAYとしては、デビュー30周年を迎える2024年5月にアニバーサリーシングル「whodunit / シェア」をリリース。6月に埼玉・ベルーナドームでワンマンライブ「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025」を開催した。

片岡健太(カタオカケンタ)

神奈川県出身。2013年5月にsumikaを結成し、2017年にバンド初のフルアルバム「Familia」をリリース。2018年には東京・日本武道館公演2DAYSを含むホールツアーを行った。映画「君の膵臓をたべたい」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」「ぐらんぶる」、テレビドラマ「おっさんずラブ-in the sky-」、テレビアニメ「ヲタクに恋は難しい」「MIX」「美少年探偵団」「カッコウの許嫁」「MIX MEISEI STORY ~二度目の夏、空の向こうへ~」など、数々のタイアップソングを手がけてお茶の間に自分たちの音楽を広げている。2022年にはHey! Say! JUMPに楽曲を提供し、初エッセイ「凡者の合奏」を発売するなどsumika以外の活動も精力的に展開している。

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