愛される長寿番組を、リスナーと一緒に──ラジオ番組「えてぃらじ」パーソナリティ・西山宏太朗インタビュー

アニメ専門チャンネル・AT-Xが、新たな動画配信サービス「AT-DX」を3月23日にスタート。それと同時に、声優・西山宏太朗がパーソナリティを務めるラジオ番組「えてぃらじ ~AT-DXの特集アニメ紹介ラジオです~」(以下、「えてぃらじ」)がAT-DX内で配信開始となった。コミックナタリーでは、ゲストに声優の前野智昭を迎えた番組の初回収録に密着し、収録後の西山にインタビュー。西山の意外なラジオ遍歴や、ラジオという、西山にとっての「特別なメディア」である同番組にかける思いを聞いた。

取材・文 / 片平芙蓉撮影 / 曽我美芽

「えてぃらじ ~AT-DXの特集アニメ紹介ラジオです~」とは

パーソナリティ・西山宏太朗と男性ゲスト声優が、AT-DXで配信するアニメを紹介したり、ゆるいトークやコーナーを繰り広げたりするラジオ番組。AT-DXでは「特集アニメ」として、さまざまなテーマに沿って作品を配信していく。西山とゲストは毎回その特集の中から1タイトルをピックアップし、作品についてのあれこれを語り合う。AT-DX内で無料パート、有料パートを聴くことができる。

「『えてぃらじ ~AT-DXの特集アニメ紹介ラジオです~』#1,2『好きなものは好きなんだ。BL特集』」

記念すべき第1回では「好きなものは好きなんだ。BL特集」より、ありいめめこ原作のアニメ「ひとりじめマイヒーロー」をセレクト。同作でメインキャラクターの大柴康介役を演じた前野智昭をゲストに迎え、特集作品にちなんだ質問に対して、矢継ぎ早にゲストが答えるコーナー「くえてぃしょん ふぉーゆー」などが展開された。なお第2回は4月11日12時に配信スタート。5月以降は毎月第2、第4木曜日12時より届けられる。

「えてぃらじ」公式サイト

初回ゲストに先輩・前野智昭を迎えて

──「えてぃらじ」第1回の収録、お疲れ様でした! 楽しく聞かせていただきました。聞いていて、勝手に西山さんとの距離が一気に縮まったような気になりました。

ああ、よかったです(ほっとした笑み)。ありがとうございます!

──記念すべき初回のゲストは前野智昭さんでした。おふたりはBL作品「ひとりじめマイヒーロー」の原作版ドラマCDで共演していますよね。アニメ放送当時の思い出はもちろん、声優という職業をめぐるお話など、幅広いテーマでとても盛り上がっていましたが、収録はいかがでしたか?

1回目ということで、自分としては手探りな部分もあったのですが、どんな言葉、どんなパスを投げかけてもすべて返してくださる前野さんのレシーブ力に本当に助けていただいて……。初回ゲストは前野さんに来ていただいてよかったなと思いました。

──先輩・後輩という関係性がよくにじんでいて、「仲良しさん!」って何回心の中で叫んだことか(笑)。前野さんの、西山さんに対する「くすぐり」が爆発していて、たくさん笑わせていただきました。西山さんはこれまでいろんなラジオに出演されてきたと思いますが、意外にもレギュラーラジオはお久しぶりだったんですね。

そうですね。自分1人が“据え置き”の、メインパーソナリティとしていろんな方をゲストに招く形の番組はすごく久々です。

西山宏太朗。収録を行ったブースにて。

西山宏太朗。収録を行ったブースにて。

──改めて「えてぃらじ ~AT-DXの特集アニメ紹介ラジオです~」のコンセプトを教えてください。

まず、3月からAT-DXという新しい配信サービスが始まり、それと連動して僕が担当させていただくのが「えてぃらじ ~AT-DXの特集アニメ紹介ラジオです~」です。番組では毎回素敵なゲストをお招きし、対談しながら旬のアニメを紹介していきます。決してがんばりすぎず(笑)、ゆるーくまったりとしたトークをしていきたいということで、「ながら聴き推奨ラジオ番組」がテーマとなっています。通勤・通学にお仕事、家事や勉強したりしながらでも聴いてもらえるような、日常に溶け込むラジオになってくれたらいいなと思います。

──毎回、男性声優さん1人がゲストで登場するんですね。

はい、毎回違う方が来てお話しできるのは、実は貴重な機会なので光栄です。アフレコ現場など、仕事場で会う機会はあっても、こうやってプライベートやアニメ作品について集中して話すのって、なかなかないんですよね。

西山宏太朗

西山宏太朗

──ちなみに、冒頭で前野さんから「西山くん、なかなか心を開いてくれないタイプだから」と人見知りを少し心配されていましたが、毎回ゲストを迎えるこの番組、大丈夫ですか……?

収録が回っていれば全然大丈夫です(笑)。それに、過去の経験的にも収録をしてから仲良くなることが多いので、普段アフレコ現場などではあまり話せないような方とも、ラジオでトークした後だとより仲が深まる気がします。1対1で話せる機会って、アニメの現場だと本当に少なくて。その分、今回はラジオなので、2人きりだからこそじっくり話せることがたくさんありそうです。いろんな方に出会ってお話を聞けるのが楽しみですね。

──第1回の収録を終えて、前野さんとは心の距離がさらに縮まったと感じますか?

僕は前野さんのことがさらに好きになりましたね。細かな気遣いというか、相づち1つ取ってもやさしい部分がすごく見えました。収録が回ってないところでも、1つひとつの言葉が丁寧で、気遣いが本当に素晴らしい方だと改めて思いました。トーク中、前野さんが「僕を尊敬してくれる声優が出てきたらいいな」って言ってましたけど、僕がそうだと言いたいです! 本当に、素敵に楽しい時間にしてくださいました。

西山宏太朗のラジオ遍歴!

──ラジオって、テレビや動画、SNSともまた違って、視聴者との距離が独特なメディアですよね。西山さん自身は、好きなラジオ番組はありますか?

(思い出しながら)そうですね……昔よく聴いていたのは、朝井リョウさんと高橋みなみさんの「ヨブンのこと」(※1)です。朝井さんの作家視点でのお話が言葉巧みに語られていて、すごく楽しいなと思いながら聴いていました。朝井さんとカトチエ(歌人・小説家の加藤千恵)さんとの「オールナイトニッポン0」も聴いていました(※2)。あと、柳原可奈子さんの「ワンダフルナイト」(※3)とか。

──「ヨブンのこと」、まさに「ながら聴き」が気持ちいい、よい番組でしたね。柳原さんの番組を聴かれていたのはちょっと意外でした!

めっちゃ好きです(笑)。あとは山本彩さんとハリセンボンさんが文化放送でやっていた番組(※4)。芸人さんの番組も好きですね。今だと「ハライチのターン!」とか。

──「ハライチのターン!」、私もリスナーです(笑)。そういえば、岩井勇気さんは西山さん推しだと、以前SNSでおっしゃってましたね。

ああ(笑)、そう言ってくださるときがありましたね(ちょっと遠い目)。

──今もきっとそうですよ! 西山さんはこれまでいろんなラジオを聴かれてきたんですね。

ラジオって好きなんです。たまに友達から「あのラジオ面白かったから聴いてみなよ」って教えてもらうことがあって、「じゃあ、その回を聴いてみよう」となり、友達とのコミュニケーションにつながることもあります。でも、それよりも感じているのは、ラジオの、自分1人に話をしてくれているようなあの空間のよさ。

──まさに。リスナーとの距離が近いですよね。

そう、距離が近いから「自分に話してくれているよ」って感じがすごくします。あと、出演者が2人の番組は、誰かと誰かの対話を盗み聞きさせてもらっているような感覚になるし、そういうところがラジオの面白さだなと思っています。僕の「えてぃらじ」も、そんなふうになれるといいなと思います。


※1 「高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと」2017年1月から2021年3月までニッポン放送で放送されていたラジオ番組。

※2 「朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン0」2015年4月から2016年3月までニッポン放送で放送されていたラジオ番組。2022年10月22日、2023年9月2日に復活を遂げ、反響を呼んだ。

※3 「柳原可奈子のワンダフルナイト」2010年7月から2019年5月までニッポン放送で放送されていたラジオ番組。

※4「NMB48山本彩の、レギュラーとれてもうた!」2014年10月から2016年3月まで文化放送で放送されていたラジオ番組。

おたよりください! / ほかでは言えないことを聞かせて

──今まで聴いてきた番組を踏まえて、今回「えてぃらじ」で「こんなコーナーをやってみたい」という願望はありますか?

おたよりのコーナーですね。リスナーの皆さんからいただいたテーマをもとにお話ししていく時間を、一番大事にできたらいいなと思います。

──ラジオの醍醐味ですね。どんなおたよりが楽しみですか?

「これって私だけ?」って思うこととか、リスナーの妄想が知りたいですね。どちらも、ラジオが匿名で出せるメディアだからこその話題だと思うので、楽しみです。僕にとってラジオって、やっぱり1人で聴くもの。知り合いみんなで一緒に聴くとか、そういうものじゃないと思うんですよ。だからこそリスナーとしても話せることがある。なので、ほかでは言えないことを聞かせてくれたらうれしいかな。

──とことんリスナーと向き合うラジオになりそうですね。

そうですね。いろんなおたよりをもらって、それについてゲストと一緒に話せれば、さらに楽しいと思います。あと、今日実際にやってみて面白かったコーナーは、一問一答形式でゲストにどんどん質問していく「くえてぃしょん ふぉーゆー」。ゲストに聞きたいことをぶつけて、咄嗟に出た回答を深堀りしていくのは面白かったので、続けていきたいですね。

西山宏太朗

西山宏太朗

──矢継ぎ早に質問がされるので、本音が出ざるを得ないですよね。さきほど前野さんには、「絶交中のクラスの男子と仲直りするためにはなんて声をかける?」「前野さんの人生が変わった瞬間は?」など、即興性の高いものから前野さんのライフストーリーに迫ることまで質問がバラエティに富んでいて、聴き応えがありました。さらに、西山さんが今回のラジオでしてみたい「新たな挑戦」はありますか?

アニメをしっかり観たいかな。

──おっ、ちょっと意外な回答でした。「えてぃらじ」は、「AT-DX」で配信されるアニメを紹介する役割もあるから、ということでしょうか。

そうですね。いつもはどうしても職業病で、自分が出演した作品以外は一歩引いてしまう部分があるんです。だけど、最近またアニメを観だしていて、すごく面白いなと思うことが多くて。作品を観るタイミングって人それぞれなんですが、自分の場合は「今」がすごくアニメを観るタイミングだと感じているので、とてもいいときにこの番組をやらせていただけたなと思います。