「STUDIO HISASHI with Anime」特集|HISASHI(GLAY)×オーイシマサヨシのアニソン放談

アニメに造詣が深いGLAYのHISASHI(G)がナビゲーターとなり、新たな作品との出会いを視聴者に提供するアニメ紹介番組「STUDIO HISASHI with Anime」。アニメ専門チャンネル・AT-Xの動画配信サービス「AT-DX」で月2回のペースで配信されているこの番組の第10回と第11回に、“アニソン界のおしゃべりクソメガネ”を自称するオーイシマサヨシが登場する。

同じレコード会社に所属し、「ニコニコ超会議2017」で共演したり、HISASHIが大石昌良作詞・作曲の「ようこそジャパリパークへ」(テレビアニメ「けものフレンズ」のオープニングテーマ)の“弾いてみた”動画を公開したりと、以前から少なからず縁のある2人。番組内のセッションコーナーでは一発OKの息の合ったパフォーマンスを繰り広げ、トークではクリエイター視点でのアニソン談義で大いに盛り上がった。

取材・文 / 中野明子撮影 / 須田卓馬

「STUDIO HISASHI with Anime」はAT-DXにて配信中。

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「STUDIO HISASHI with Anime」#10・#11 収録レポート

「HISASHIさんとセッションできるの、めっちゃうれしいですわ!」。そんなオーイシマサヨシの言葉がスタジオ内に大きく響く中で始まった今回の収録。まずは番組恒例のセッションコーナーの撮影が行われ、HISASHIとオーイシはギターを抱えてマイクの前に立つ。この日のために用意された楽曲は、オーイシ初のアニメタイアップ曲である「月刊少女野崎くん」のオープニングテーマ「君じゃなきゃダメみたい」と、オーイシとTom-H@ckのユニット・OxTが手がけたテレビアニメ「オーバーロード」のオープニング主題歌「Clattanoia」の2曲だ。

オーイシがアコースティックギターをスラップしながら「君じゃなきゃダメみたい」を熱唱する姿にHISASHIは興味津々。「すげえ!」と感嘆しながらその手元をチェックするなど、ギタリスト同士のトークに華を咲かせる場面も。そして「Clattanoia」では、HISASHIらしいエッジの効いたフレーズがさく裂。憧れのアーティストの弾く音色に刺激を受けたオーイシは、ハンドマイクで躍動感たっぷりのパフォーマンスを繰り広げた。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

2曲のセッションを一発OKで完遂した2人は、そのままトークへ。“アニソン界のおしゃべりクソメガネ”の異名の通り、オーイシは持ち前の話術を生かしたマシンガントークでHISASHIと大盛り上がり。オーイシの父親がアーティストデビューを夢見る息子のために畑を潰して練習スタジオを作った逸話を語った。

HISASHI

HISASHI

HISASHIがセッションを振り返り「オーイシくんの曲は幅が広いし、アニメに対しての敬意があるよね」と評すると、オーイシは「昔はほかのアーティストに嫉妬しまくってた。ずっと負け続けてきた人生」と本音をポロリ。今ではアニソン界には欠かせない人物として高く評価されているオーイシだが、かつてはバイト生活を余儀なくされていたという。その時期に起きた“ある事件”を機に、あらゆるジャンルの楽曲を作るようになったエピソードを披露する。その流れでオーイシは「最初の2秒が大事!」とアニソン制作における自身の極意をHISASHIにプレゼンした。

オーイシマサヨシ

オーイシマサヨシ

ゲストが大切にしている物を紹介する恒例コーナー「思い出ライナーノーツ」には、オーイシが「曲を書くときは全部コレ!」と紹介する20年来の楽曲制作の相棒が登場。HISASHIも「めちゃくちゃ音がいい。出る音がとがってる」と太鼓判を押すその逸品とは? なお、このコーナーではオーイシがこの相棒を奏でる際のポイントとなる、体の“あるパーツ”の秘密についても明かされる。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

左からオーイシマサヨシ、HISASHI。

HISASHI&オーイシマサヨシ インタビュー

オーイシマサヨシ、エンタテインメントとしての音楽のあり方をGLAYに学ぶ

──HISASHIさんとオーイシさんがセッションをされるのは……。

オーイシマサヨシ 初めてですね。楽しかったですし、自分の宝物になるような時間でした。HISASHIさんがオリジナル音源には入っていないエレキギターの音を加えて“HISASHIアレンジ”をしてくださったのに感動しました。ミュージシャンを長くやっていても、憧れていた方と一緒に音楽を奏でる機会は何年かに数回しかなかったりするわけで。今日はその瞬間が来たなという感じでした。

──セッション曲の「君じゃなきゃダメみたい」「Clattanoia」はオーイシさんのセレクトだったんですか?

オーイシ 「君じゃなきゃダメみたい」は僕のセレクトで、「Clattanoia」は番組スタッフさんから「HISASHIさんとのセッションに合うのでは」ということで提案いただきました。「Clattanoia」はOxTの曲なので、普段は相方のTom-H@ckくんが隣でギターを弾いてくれているんですが、それが今日はHISASHIさんで。夢みたいでした。

HISASHI 「Clattanoia」のイントロは誰が作ったの?

オーイシ あれは僕ですね。ちょっとハーモナイズを入れたりして。純粋なギタリストだとやらないというか、運指は大変だし、ギタリスト然としたフレーズとはちょっと違うんですけど……。

HISASHI めちゃくちゃ複雑なイントロだよね。なんでこんなに難しいアレンジなの?って思ったけど、そういうのが曲のフックとして必要。ほかのアーティストとのセッションって、自分のバンドにはないリズム、譜割り、コード進行を体験できる機会なんですよね。だから純粋に面白い。

HISASHI

HISASHI

──HISASHIさんは「君じゃなきゃダメみたい」「Clattanoia」というタイプの異なる曲でオーイシさんと共演してみていかがでしたか?

HISASHI 「君じゃなきゃダメみたい」はアニメの内容に全振りしてて、「Clattanoia」はロック的なアプローチが光ってる曲だけど、どちらにも共通してコード進行の面白さを感じたかな。アコギでのアプローチも、歌のノリとか、セッションしててすごく楽しかったから、勉強になったしGLAYにも取り入れたいと思う部分があった。

オーイシ そ、そんな、おこがましいですよ! でも今日ひとつ縁ができた感じがありまして。というのも、僕は高校時代にGLAYさんのコピバンをやってたんです。一方通行ですけど、コピーする中でいろいろ学ばせていただきました。それが、時を経て一緒に音楽を奏でることができて縁がつながった。それだけでストーリーとして感動的だと思うんです。

──高校時代のオーイシさんが感じたGLAYの魅力というのは?

オーイシ 歌とロックを融合させて、ちゃんとお茶の間に届けていたところですね。GLAYは音楽エンタテインメントにおける1つの支柱になった伝説のバンドだと思ってます。リスナーに聴いてもらって初めて“答え”が出ることの素晴らしさに気付かせてくれたのがGLAYさんだった。ひとりよがりにならないというか、ちゃんとお客さんのことを見て作られた音楽。エンタテインメントとしての音楽のあり方を学ばせていただきました。

オーイシマサヨシ

オーイシマサヨシ

──特に好きな曲を挙げるとしたら?

オーイシ 「グロリアス」がカラオケの十八番で、友達とカラオケに行くと絶対に歌います。

HISASHI へえー! うれしいなあ。

──オーイシさんが感じるHISASHIさんのギタリストとしての魅力とは?

オーイシ 存在感とサウンドの両方において、どこで弾いていても華があることですね。サウンドはきらびやかだし、弾き方を含めたところの所作にスター性がある。人に見せるための音楽、ショーとしてのギタープレイをされているのがすごい。

HISASHI いやいや、俺1人じゃそんなことはできない。ほかのメンバーの力ですよ。

オーイシ この謙虚さも素晴らしいですよね。僕がHISASHIさんくらいキャリアを積んでたら、楽屋であぐらかいて、「俺について来い」とか言ってますよ。

HISASHI 俺も天狗の時代はあったよ(笑)。今思うと当時の自分はカッコ悪かったなあと反省してる。