音楽ナタリー Power Push - 雨のパレード

最善の表現方法で描いた“誰かを救う曲”

自分たちは意外とライブバンドだった

──前回はメジャーデビュー直前にインタビューさせていただきました(参照:雨のパレード「New generation」インタビュー)。取材後すぐにスペースシャワーTV主催のライブツアー「スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016 supported by uP!!!」への出演があって(参照:雨パレ、マイヘア、夜ダン、フレデリックが踊った「スペシャ列伝ツアー」東京公演)。出演者はフレデリック、夜の本気ダンス、My Hair is Bad、雨のパレードという4組でしたが、ツアーを経てすごく関係性が深まったそうですね。

福永浩平(Vo)

そうですね。始まる前は未知のツアーだと思ってたんですけどね。「大丈夫なのかな?」「俺らは俺らで成長していこう」みたいな感じで。でも9カ所を回るツアーを経た今では、自分にとって競演したバンドが特別な存在になっています。すごく楽しくて本当に成長できたし、いい思い出になりました。

──ツアーの中で雨のパレードを成長させた一番の要因はなんだと思いますか?

同い年のマイヘア(My Hair is Bad)の存在じゃないかな。あんなに毎回最高なライブをやるヤツらとツアーを回るっていうのはなかなかないことだと思うから、すごく刺激になりました。相当場数を踏んでるバンドだし、パフォーマンスを観たら「うわ、負けらんね!」って思うんですよね。「スペシャ列伝ツアー」を回る前は自分たちがライブバンドっていう意識はなかったんですけど、「ああ、ライブっていいな」って本気で思ったし、「自分たちは意外とライブバンドだったんだ」って気付きましたね。対バンの意識も変わって、「この人よりもいい演奏をしたい」っていう熱い思いを持ってステージに立つようになりました。

6月6日に東京・WWWで行われた自主企画ライブ「雨のパレード presents『&』」の様子。

──6月には自主企画ライブ「&」の第1回が開催されました(参照:雨のパレード、チェコ&“あなたたち”と作り上げた自主企画「&」)。このライブシリーズを立ち上げたのは、「スペシャ列伝ツアー」を経て対バンライブへの意識が変わったことがきっかけでしょうか?

そうです。「&」って銘打ってるけど、実は「VS」くらいの気持ちなんです(笑)。いつでも心の中では「絶対負けねえ!」って思ってます。「スペシャ列伝ツアー」が終わって、ほかのバンドとの出会いってすごく大切だなと思ったし、対バン相手がどういうライブをするのかを見て学びたいなっていう思いもあったんですよね。

ポップスは更新していくもの

──メジャーデビューしてみて、インディーズ時代との変化はありますか?

やってることはあまり変わらないですね。でも、今までは「自分たちはインディーズ」「あの人たちがメジャー」っていうくくりのようなものが自分の中にあったけど、それがなくなりました。今は「いい曲を書けばいいんだ」って、すごくシンプルに考えてます。あとメジャーデビュー前は「メジャーアーティストは自分の好きなことをできてるのかな?」という疑問があったんですけど、いざメジャーデビューしたら、すごく好きなことだけをやらせてもらっていて、やりたいことを追求できています。レーベルのカラーもあるのかもしれないけど、俺はもともとSPEEDSTAR RECORDSが大好きだからうれしくて。レーベルヘッドが雨のパレードのグッズのナップサックを使ってくれるぐらい、愛のあるレーベルですからね(笑)。

──本当に不自由なくやれてるんですね。

福永浩平(Vo)

はい。自由にやりたいように楽曲を作らせてもらってます。でも俺たちは自己満足だけで作ってるわけじゃなくて、やっぱりみんなに向けて作ってるので、そこはもちろんこだわっていきたいですね。その積み重ねの結果、雨のパレードを次の時代のメインストリームにしたいなと。きっとポップスは更新されていくものだし、俺にとっては雨のパレードの音楽がポップスだと思っているので。

──雨のパレードには“バンドという形態ではあるけれど、バンドサウンドではない”というテーマがありますが、ライブを重ねてそういった音楽が浸透している感覚はありますか?

僕らが浸透させていっているというか、時代がそっちに移行している感覚はけっこうありますね。地方とか回ると、僕たちとジャンルは違うけど、同じようにサンプリングパッドを使ってるバンドも見ますからね。みんな作りたい音に素直になっていってるのかなという雰囲気を感じます。

──そういうバンドを目の当たりにしてどんなことを感じましたか?

そういう時代になってほしいっていう思いが強いのでうれしいですね。「変えようぜ!」って(笑)。でもやっぱりその先頭に立ちたいし、圧倒的に引っ張っていきたいなと。

メジャー1stシングル「You」/ 2016年7月20日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 1944円 / VIZL-1005
通常盤 [CD] / 1080円 / VICL-37188
CD収録曲
  1. You
  2. In your sense
  3. morning
初回限定盤DVD収録内容
  1. epoch
  2. Tokyo
  3. Petrichor
  4. bam
  5. new place

雨のパレード ワンマンライブツアー「You&I」

2016年9月15日(木)
愛知県 池下CLUB UPSET
2016年9月17日(土)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO
2016年9月22日(木・祝)
大阪府 ROCKTOWN
雨のパレード(アメノパレード)

福永浩平(Vo)、是永亮祐(B)、山﨑康介(G)、大澤実音穂(Dr)からなる4人組バンド。2015年7月に残響レコードから発売した3rdミニアルバム「new place」の表題曲がスペースシャワーTVのレコメンド企画「it!」に選出され話題を集める。同年10月に大阪・ミナミ地区で開催されたサーキットイベント「MINAMI WHEEL」では、初出演ながら会場に入場規制がかかるほどの来場者数を記録。2016年1月にインディーズ最後の作品となる1stシングル「Tokyo」を発表し、3月にアルバム「New generation」でSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビューを果たす。7月にはメジャー1stシングル「You」をリリースした。