音楽ナタリー Power Push - 雨のパレード
最善の表現方法で描いた“誰かを救う曲”
雨のパレードが7月20日にメジャーデビュー後初となるシングル「You」をリリースした。今作には福永浩平(Vo)が自身の実体験をもとに書いたという表題曲や、J-WAVEのキャンペーン「Happy Rainy J-WAVE」のために書き下ろした「In your sense」、深町なか原作アニメ「ほのぼのログ」のテーマソング「morning」の3曲が収められる。福永がこのタイミングで発表したかったという「You」にはどのような思いが込められているのか。本人に話を聞いた。
取材・文 / 石橋果奈 インタビュー撮影 / Bun ライブ撮影 / 岩崎真子
「生きていくんだ それでいいんだ」とはまだ歌えなくて
──今作「You」はこれまでに発表してきた楽曲に比べて、よりストレートな歌詞で。3曲とも誰かに向けて歌っていますよね。
そうですね。表題曲の「You」はサウンド的には挑戦してる部分がかなり多いので、歌詞が入り口になるようにというのは意識しました。あと、こういう内容の歌詞をずっと書きたいと思っていたので。
──「あの頃の僕は 霧の中の様な場所にいて」「抱えてた闇に襲われて まるで自分じゃないみたいに」といった過去の体験を回想するような歌詞が印象的です。
僕は玉置浩二さんの「田園」とか、キリンジの「Drifter」のように、歌詞と同じような経験をした人がグッとくる歌を書いてみたいとずっと思っていて。それをこのメジャー1stシングルのタイミングでリリースしたいなと、僕なりに書いた曲ですね。
──「You」では福永さんの実体験が描かれているのでしょうか。
そうです。幼少期に身近な人が病気になってしまって、いろいろ大変なことがありました。狂気のようなものを間近で感じることもあって。それがきっかけで僕がダメになってしまったときに、それでも一緒にいてくれた大切な人のことを思って書いた歌です。
──そうだったんですね。
アーティスト自身のつらい経験が書かれた歌詞に助けられる人もいると思うんですよ。「田園」はサビで「生きていくんだ それでいいんだ」って言っているんですけど、今の僕にはまだそんな歌詞は書けないなと。誰かを救えるような曲を書こうと思ったけど、自分には説得力が足りなくて。だから自分の経験を書くことだけが、今できる最善の表現方法だったんです。
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- メジャー1stシングル「You」/ 2016年7月20日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1944円 / VIZL-1005
- 通常盤 [CD] / 1080円 / VICL-37188
CD収録曲
- You
- In your sense
- morning
初回限定盤DVD収録内容
- epoch
- Tokyo
- Petrichor
- bam
- new place
雨のパレード ワンマンライブツアー「You&I」
- 2016年9月15日(木)
- 愛知県 池下CLUB UPSET
- 2016年9月17日(土)
- 東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2016年9月22日(木・祝)
- 大阪府 ROCKTOWN
雨のパレード(アメノパレード)
福永浩平(Vo)、是永亮祐(B)、山﨑康介(G)、大澤実音穂(Dr)からなる4人組バンド。2015年7月に残響レコードから発売した3rdミニアルバム「new place」の表題曲がスペースシャワーTVのレコメンド企画「it!」に選出され話題を集める。同年10月に大阪・ミナミ地区で開催されたサーキットイベント「MINAMI WHEEL」では、初出演ながら会場に入場規制がかかるほどの来場者数を記録。2016年1月にインディーズ最後の作品となる1stシングル「Tokyo」を発表し、3月にアルバム「New generation」でSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビューを果たす。7月にはメジャー1stシングル「You」をリリースした。