あいみょん|怒涛の1年を駆け抜けた“ひかりもの”

あいみょんが2月13日に2ndフルアルバム「瞬間的シックスセンス」をリリースした。

昨年リリースした「マリーゴールド」やドラマ「獣になれない私たち」の主題歌「今夜このまま」がヒットし、「NHK紅白歌合戦」初出場を果たすなど、大躍進を遂げたあいみょん。世間の注目が集まる絶好のタイミングで発表される「瞬間的シックスセンス」には、あいみょんのメロディセンスが光る12曲が収められている。音楽ナタリーのインタビューでは「瞬間的シックスセンス」の制作はもちろん、「NHK紅白歌合戦」の裏側や激動だった2018年について話を聞いた。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 草場雄介

「マリーゴールド」は一番“咲いてくれた”曲

──昨年のあいみょんさんはドラマ「獣になれない私たち」の主題歌を担当したり、「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たしたりと、大躍進を遂げた1年でした。

あいみょん

そう言っていただけてホンマにありがたいです。音楽漬けな1年でした。

──12月17日に東京・Zepp Tokyoで行われた全国ツアー「AIMYON TOUR 2018 -HONEY LADY BABY-」のファイナル公演では、楽曲「マリーゴールド」への思いを語っていましたね(参照:あいみょん、満員のZepp Tokyoで涙「来年はみんなに感謝を返したい」)。「太陽の塔を見に行ったら、周りに見覚えのある花がたくさん咲いてて、運命だと思いました。今年はマリーゴールドという花がいろんなものを運んできてくれた」と話していて。

スタッフチームみんなでツアーの合間に1日空いてるから行こうって太陽の塔に行ったら、黄色とオレンジのマリーゴールドが太陽の塔の周りにいっぱい咲いていたんです。「ホンマにマリーゴールドなんかな?」と思ってお花の説明書きを読んだらちゃんと「マリーゴールド」って書いてあって。ゾワゾワしました。

──「マリーゴールド」はそもそもマリーゴールドという花について書こうと思って書いた曲ではないんですよね。

そうなんです。だからそんなことがあってホンマにびっくりしました。もちろん「満月の夜には」も「今夜このまま」もたくさんの人に聴いてもらったんですけど、「マリーゴールド」は一番“咲いてくれた”曲で、最後に紅白でドカンと咲かせられてよかったです。

あいみょん

相思相愛だったユーミンと邂逅

──「NHK紅白歌合戦」のお話も聞かせてください。囲み取材では「まさか自分が将来出るとは思ってなかった。幻のような気がします」とお話ししていましたよね(参照:あいみょん、紅白で特に会いたいのはあの2人)。

たぶん幻やったんですよ(笑)。いや、そんなことはないんですけど、出たんか出てへんのかいまだに実感があまりなくて。とにかく非現実な世界で、映画でいうと「妖怪大戦争」みたいな。1人の普通の女の子が知らない場所に急に迷い込んでしまった感じでしたね。私は「こんなところにいていいのかしら?」と思っているのに、出演者だったりスタッフさんだったりはみんな私のことを知っていて。話しかけられるたびに「なんで知ってるんですか?」って聞いちゃうような感じでした。

──歌手を夢見ていたおばあさまから感謝されたそうですね。

「夢を叶えてくれてありがとうな」って言われて、「あと、ばあばは女優にもなりたかったんや、お笑い芸人にもなりたかったんや」って(笑)。どんどん夢が増えてるんですよ。めっちゃ私に託すやんと思いながら「いやいや女優も芸人もないよ」と言いましたけど、すごく喜んでくれてよかったです。

──紅白の舞台裏では、憧れの松任谷由実さんともツーショットを撮影されていましたよね。

あれも幻なんじゃないかと今でも思います。写真が実際にあるのでそんなことはないんですけど、23歳のはずやのに、ものすごい緊張して小学4年生みたいな顔で写っていますよね。紅白に出る前に受けたアンケートに「誰に会いたいですか?」という質問があって、もちろんたくさんお会いしたい人はいたんですけど、私は「松任谷由実さんに会いたい」って書いたんです。そしたらユーミンさんもそう書いてくれていたみたいで。

──それはすごいですね。あいみょんさんは昨年に音楽ナタリーで展開したユーミンの企画(参照:松任谷由実 特集|45年間の歴史で生まれた424曲配信、アーティスト8人のプレイリストと共に聴く“ユーミンの名曲”)にも参加してくださっていますよね。

実は紅白のとき、それについてユーミンさんから直接「ありがとう」って言ってもらえたんです。最初は挨拶をさせてもらえるかどうかもわからなかったんですけど、ユーミンさんの楽屋に呼んでもらえて。挨拶できるだけで光栄だし、写真なんてお願いできないなと思っていたんですけど、ユーミンさんが「写真!」って声をかけてくれて一緒に撮らせてもらったんですよ。あの写真は印刷して部屋に飾ろうと思っています。

──とても豪華な2018年の締めくくりですね。

去年は会いたかった人にたくさん会えた1年だったんですけど、最後の最後にすごい人たちとご一緒させてもらえた感じでした。

あいみょん

菅田将暉と石崎ひゅーいと野田洋次郎と

──音楽漬けだった1年ではありますが、プライベートも充実していたんだとか。

そうですね。同じ業界で仲がいい友達が増えました。

──特に仲良くなったのは?

あいみょん

一番仲良くなったのは菅田将暉くんです。私のライブに菅田くんが来てくれたんですよ。小さなライブハウスやったんで、菅田くんが来るって話があったときには「いやいや、私じゃなくてお客さんがみんな菅田将暉に注目するから連れてこないでください」なんて言っていたんですけど、ホンマに遊びに来てくれて。そのときはあまり話せなかったんですけど、今度は菅田くんが対談の企画に呼んでくださったんです。それでもまだそんなに打ち解けたわけではなかったんですが、菅田くんと仲がいい石崎ひゅーいさんがごはんに誘ってくれてそこで仲良くなりました。ひゅーいさんは私が大好きで尊敬している先輩なんですけど、今では友達のように仲良くしてくれて、菅田くんと3人でしょっちゅう遊んでるんです。

──どんな遊びをするんですか?

うちに集まってすき焼きをしたり、高円寺に行って「誰が一番服を買うか」を競ったり……めちゃくちゃ健全な遊びをしています(笑)。2人とまさかここまで仲良くなると思っていなかったです。去年は2人と仲良くなれてホンマによかった。菅田くんは同世代やし、関西人同士なのですごく話していてラクです。ひゅーいさんはもともと私が大ファンでライブを観に行ったりしていたんですけど、今では友達のように接してくれてありがたいです。

──菅田さんは俳優としても活躍されていますが、本当に音楽が好きな方ですよね。

そうなんですよ。常に新しい音楽を探していて、私にもいろいろオススメを教えてくれます。

──同世代の菅田さんの活躍はあいみょんさんにとって刺激になりそうですね。

刺激になりますよ。お互いの活動を見ていて悔しいなと思うことがあったりもしますし。ホンマに3人共それぞれがリスペクトしあっている感じです。あと去年はひゅーいさん以外にも先輩方にたくさんかわいがってもらいました。

──先輩と言えば、RADWIMPSとのコラボは話題を集めましたよね。

そうそう。すごいことですよね。

──野田さんはTwitterでもあいみょんさんのことを頻繁にツイートしていましたよね。これはどのようなきっかけで実現したコラボなんですか?

あいみょん

野田洋次郎さんとは去年の3月にカラオケで出会ったんです。カラオケに来るとは聞いていて、私がトイレから部屋に帰ってきたら目の前にいて(笑)。その日は少し酔っていて、ネット上で洋次郎さんとのコラボが期待されている声がたくさんあることについて「洋次郎さんから提供されたとしても、絶対にあなたの曲は歌えません」みたいな生意気なことを言っていたんですよ。後日「ヤバいこと言ったな」と思って「マジで生意気なこと言ってすみませんでした」ってメールで謝ったんですよ。それに対して洋次郎さんは「全然いいよ。あいみょんの声は宝やと思っています。例えば提供じゃなくて一緒に歌うのはいいの?」って返事をくれたんです。

──そうだったんですか。

これまでも一緒に何かをやりたいねって言ってくれていたんですけど、ずっと冗談だと思っていて。しばらく経って洋次郎さんから「前に言っていた話なんだけど……」とメールが届いて、そこにもう音源も付いていたんです。RADWIMPSとして私とコラボしたいという話で驚きました。RADWIMPSってこれまで誰かをフィーチャーした曲を出したことってないんですよ。最初はもう1曲候補があったんですが、「泣き出しそうだよ」を一緒に歌うことになりました。RADWIMPSは学生時代にめっちゃ聴いていたんですよ。だからいちファンとしてすごく刺激を受けるし、悔しいなと思わせてくれる存在です。洋次郎さんも出会えてよかったと思う人の1人ですね。