30代、深みを増す草川拓弥の現在地─「地獄は善意で出来ている」主演に聞く演技への向き合い方、仲間とのつながり

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10月16日にスタートしたカンテレ・フジテレビドラマ「地獄は善意で出来ている」で主演を務めている草川拓弥が、音楽ナタリーの取材に応じた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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30代を迎えて──俳優・草川拓弥の現在地

カンテレ×FODドラマとして制作された今作は、過去の過ちにより厳しい目が向けられ不遇の日々を送る前科者たちが、人生のやり直しをかけた“更生プログラム”の中で残酷な罠に巻き込まれていく様を描くヒューマンサスペンス。カンテレのドラマ作品には初主演となる草川は、複雑な過去と前科を持つ主人公・高村樹を演じている。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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出演作が常に途切れず、テレビドラマにおいてその顔を見ないクールはない草川。作品が変わるたびに1つ、また1つと新たな顔を見せて視聴者を楽しませてくれているが、特にここ1年──30歳を迎えてからの彼は、よりいっそう演じる役柄の幅が広がり、俳優としての深みが増しているように感じる。そんな印象を投げかけると、草川は「本当に、30代に入って役の幅が広がってるなあという印象ですね。僕と昔から一緒に歩いてくれているマネージャーと、タイミング、タイミングで俳優・草川拓弥としての今後の方向性について話すんです。そこで話した内容が、いい具合に実現できている感じがします」と、現在地を伝えてくれた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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今作「地獄は善意で出来ている」で草川が演じているのは“前科者”。「もちろん、僕自身は経験してきたことではないので」と自身の役柄について説明した彼だが、特殊な境遇に置かれている人物を演じた今回、どのようなアプローチで高村樹というキャラクターに近付いていったのか。「ほとんどの作品において、“なれない者”を演じるのが役者だから、当たり前ではあるのですが……」。そう前置きした草川は「まずは傷害罪について調べてみたり、近しい世界観の作品に触れてイメージを膨らませてみたり。あとは、実際演じるときにはそれ(前科者であるということ)が常に隣にある感覚で芝居をしているわけではないんですよね。“軸”ができることで、自然とそう見えてくれたらなと思っています」と語る。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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シューヤの“絶賛”へのアンサー

草川はクランクイン前および撮影期間中の準備において「何回も脚本を読む」という“基礎”を大切にしているという。「ドラマの撮影って、順撮りで進んでいくわけでもなくて。現段階で5話くらいまで撮っていますが、まだ1話を全部撮り切れていないですし、5話のシーンを撮ったあとに1話を撮るみたいなことも全然あるんです。話数が変われば見せ方もガラっと変えなきゃいけないから、とにかく読み込んで、状況の整理と話の流れの整理をする。シンプルで基本的なことではあるんですけど、とても大事なことだと思うから、そこはすごく意識しています。期間中は本を読むような感覚で脚本を読んでいるような気がしますね」。演技に真摯に向き合い、事前準備を怠らないその姿勢については、超特急のメンバーであるシューヤも音楽ナタリーのインタビューにおいて「細やかな、見えない努力が演技に表れるんだろうな」と、ショートドラマ撮影時に覚えたという感嘆を口にしていた(参照:超特急「NINE LIVES」リョウガ×シューヤ インタビュー)。しかしながら、これに草川は「インタビュー、読んだよ!(笑) いや、役者だったら当たり前のことなんですよ」と反応。「だって、ユーキ(超特急)だってライブの演出をやるから、そのためにいろんなライブを観に行ってるし、自分でライブBlu-rayやDVDを買って勉強してるでしょう。もっとすごい方は役の職業体験なんかも全然当たり前にされているし……だから、ああやって言われちゃうと逆に恥ずかしいんですよね」と困ったように笑っていた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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「樹がどんな思いで日々を過ごしているのかなと考えている時間が楽しかったし、同時に苦しい感情にもなった」。放送を重ねるたび徐々に明かされていく樹の過去は複雑で、そこには色濃い孤独が影を落としている。「でも、ただ『悪そう』とか『クールで怖い』みたいな印象だけには見せたくないから。そこの印象を微調整する作業が大事だなと思っています」と草川。そんな樹の、静かに周囲をよく見ているところ、行動や言動に自分の芯が通っているところは草川自身と重なる部分があるのでは?と尋ねると、草川からは「そうですね。そういうところが自分と近しいなと思います。僕も割と周りを見て気にしちゃうタイプなので。樹には物事を察知する能力もあって、それに関しては似てないなとは思うんですけど(笑)」という答えが返ってきた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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“仲間とのつながり”を感じる瞬間

作中では、更生プログラムを受けるために施設に集められた前科者たちが互いの真意を探り合いながらも“仲間”としての関係性を築いていく、特殊な人間関係も見どころとなっている。緊張感と隣り合わせの更生プログラムの中で、一匹狼の樹が小森琥太郎(高野洸)や一ノ瀬夢愛(井頭愛海)といった面々と心を通わせる刹那が印象的に描かれるが、草川自身が“仲間とのつながり”を感じる瞬間はどんなときなのだろう。「やっぱり、グループのことになりますよね。“これ!”っていうエピソードではないんですけど……」。そう切り出した草川は「ドラマの現場に入っていると、本当にメンバーに会わないんですよ。だからこそ、ひさびさに会ったときの楽屋の空気感。すごくざっくりとしてて申し訳ないんですけど、あの空気感は安心します」と語る。そして「今の髪型に変えたこともメンバーは全然知らなかったから、会ったときに『前髪短か!』ってすごいイジられたりとか(笑)。それに対して『触んな!』って返したりする、そういう何気ないやりとりに居心地のよさを感じるし、『仲間だな』と思います。ちなみに、前髪をイジってきたのはリョウガです」と笑った。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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また、今回のドラマの現場でも“仲間との再会”があったそうで、草川は「昔撮ってくれたことのあるカメラマンさんとか、昔の現場で一緒だった方がいて。今回Aカメで入ってくれているカメラマンさんは、この前のさいたまスーパーアリーナとか関西のイベントとか、グループのほうでもカメラで入ってくれてる方なんですよ。助手で入ってる方も『みなしょー』(みなと商事コインランドリー)で一緒だった方だったり。そういう再会、ご縁があるのはうれしいですね。すごく『仲間だな』と感じますし、居心地がいい。いい空気感でやってます」と明かしてくれた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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オリジナル脚本で描かれる本作について「プログラムに一緒に参加しているような気分で楽しんでもらえるサスペンスなので、そこが魅力なんじゃないかな。展開がジェットコースターのように速いので、付いて来てもらえたらうれしいですね」とアピールした草川。最後に、多忙な日々の中で“心が安らぐ瞬間”はどんなときかを問うと、彼は「僕が安らぐのは……ショート動画を流し見してるときにワンちゃんが出て来たときかな。あとは全然知らない家族の赤ちゃんの動画とかですね(笑)。『かわいい~』ってなります」と目尻を下げていた。

草川拓弥(撮影:YURIE PEPE)

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「地獄は善意で出来ている」の番組情報

放送日時

カンテレ 毎週木曜日深夜24:15~24:45
フジテレビ 毎週木曜深夜24:45~25:15
FOD カンテレ1話放送直後から1週間の先行配信

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Bami @Mcmooney20

@natalie_mu @sd_bt Looking good

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