今すぐもう1回観たい
──美雪役の中条あやみさんには、どのような印象を抱いていましたか?
映画「セトウツミ」を観たとき、「この子すごくいいな、誰なんだろう?」と思いました。「セトウツミ」は2人の男の子がメインの話なので、中条さん演じるヒロインは、2人の邪魔になりすぎてはいけない難しい立ち位置だったんです。でも中条さんはすごくかわいいうえにイキイキとしていて、絶妙な距離感を作り出していました。うるさすぎないし、おとなしいお人形のような子でもない、女の子に嫌われない女の子って言うんですかね。そう思って、密かに注目していました。
──そう考えると、冒頭で「100万円で恋人になってください」と頼む美雪役も、演技のあんばいがかなり難しい役ですね。
そうそう、一歩間違えたら女性から見て「ウザい!」となってしまうんですが、中条さんの美雪には嫌味がまったくない。かわいいだけじゃなく「あ、この子、一生懸命なあまりちょっとズレてるけど、いい子だわ!」と納得させちゃう感じが本当にうまいなと思いました。……はあ、あやみちゃんと付き合いたい。……って男女問わず思っちゃうような、かわいらしさとすっとんきょうさのブレンドがよかったなあ。
──悠輔と美雪の「頭おかしいのか?」「はい!」という会話にも思わず笑ってしまいました。
あの「はい!」の間も絶妙でしたもんね。ホントかわいい。
──では続いて、登坂広臣さんについて伺います。普段は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカルとして活躍されている登坂さんの、俳優としての魅力をどうお考えですか?
私、「HiGH&LOW」がきっかけでこの1年半くらいEXILE一族の皆さんに注目しているので、できるだけ出演作品もチェックしようと思っていまして。「ホットロード」など登坂さんが演技をしている作品は全部観ているのですが、表情筋の微細な動きがいいですよね。雑誌などのカッコよくきまった表情にももちろん射抜かれるんですが、それ以外のちょっとした表情もすごくいいんです。感情の機微を表情に反映させるのがうまいんだなと。うまいというか、ご自身の感情を素直に表していらっしゃるんだと思うんですが。表情筋を大げさに動かすのではなく、微細な動きができる人って役者さんに向いていると思うんです。あとは感受性が豊かな人。登坂さんはそういうタイプなんだろうなと勝手に推測しております。
──「ホットロード」や「HiGH&LOW」でのクールな役に比べると、この「雪の華」ではより表情豊かな印象でした。
そう、いろんな表情が観られますよね。予告編にもありましたが、登坂さんがクリスマスツリーとともに登場したところで、早くも「ヤバい!」と思いました。「クリスマスツリーと登坂広臣」という組み合わせを思いついた人、天才。今すぐもう1回観たいもん!
恋愛映画が苦手な人でも、先入観を持たずに観れば絶対楽しい
──役者としての登坂広臣さんを観たことがない人に、この映画に魅力を伝えるとしたら、どう紹介しましょう?
私も「HiGH&LOW」を観るまではEXILE TRIBEの方々の顔と名前が一致していなかったのですが、この1年半くらいでいろいろ拝見してわかったことがあって。登坂さんは三代目のボーカルとして輝いているから、「モテ軍団の人」みたいなイメージをお持ちの方もいると思うんですが、実はいい意味でかわいい隙があるなと。いつも萌え袖だったり、言語感覚が鋭くてふと面白いことをおっしゃったり、わりと等身大な部分がありそうなんですよね。お芝居ってやっぱり、その人の根っこの部分や性格をどうしても隠しきれないところがあるじゃないですか。この映画でも、悠輔は美雪に対して「声出していけよ!」と言っているんですが、実は女性を常にぐいぐい引っ張っていくというより、美雪にリードされているところがあって、すごくいいんですよね。役者としての登坂さんをご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、特に女性はね、観たらむくむく興味を持っていただけるのではないかと。カッコよくてかわいいという、登坂さんの奇跡のチャームが炸裂してますので。
──ご本人と役に共通するギャップと言いますか。
はい。男性も、彼女がこの映画を観に行きたいと言ったら「モテ男の映画なんて……」と思わず、むしろ率先して彼女と一緒に行ったほうがいい。世の中のたいがいの男性はあまり彼女に強く出られないと思うんですけど、画面の中の(美雪に対して強く出られない)悠輔を通して、彼女に「やっぱりこういう人って素敵だな」と再認識してもらえると思う。結果、“俺の株”が上がる(笑)。そういう意味で、デートムービーとしてもよろしいんじゃないでしょうか。
──なるほど(笑)。そのほか、原曲「雪の華」のファンで、この映画を気になっている人もいると思います。
楽曲が好きなら絶対に観たほうがいいと思います。曲の使われ方がすごく効果的ですし、フィンランドの景色も美しくて、ぴったりです。病気をどう扱うかという話題とも共通しますが、何事にも作り手の皆さんの誠意を感じました。いろいろ考えられたうえで丁寧に作った映画なんだなと。あああ、早くもう1回観たい。
──気に入っていただけて何よりです。では最後に、この映画をより楽しむために、読者へ一言いただけますか。
恋愛映画が苦手な人や、イメージで「悲恋の映画なんでしょ」と思っている人は、先入観を持たずに観たほうが楽しいと思います。恋愛という意味だけではなく、美雪と悠輔という2人を応援したくなって、人間ドラマとしても楽しめます。主役のお二人の魅力が充満しているので、もちろん胸キュンもできますし、見どころ満載だと思います。
- 「雪の華」
- 2019年2月1日(金)全国公開
- ストーリー
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幼い頃から病気がちで、ついに余命1年を宣告された美雪。彼女の夢は2つ──1つは両親が出会った“約束の地”フィンランドでオーロラを見ること。そしてもう1つは、最初で最後の恋をすること。ある日ひったくりにあった美雪は、ガラス工芸家をめざす悠輔に助けられる。悠輔が男手ひとつで妹弟を育てていること、そして働く店が危機になっていると知った美雪は、「私が出します、100万円。その代わり1カ月、私の恋人になってください」と持ちかける。何も知らないまま“期間限定”の恋に応じる悠輔だったが……。かけがえのない出会いが、美雪に一生分の勇気をあたえて、悠輔の人生を鮮やかに彩っていく。舞台は東京とフィンランド。切ない想いに涙が溢れる、初雪の日に出会った2人の、1年のラブストーリー。
- スタッフ / キャスト
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監督:橋本光二郎
主題歌:中島美嘉「雪の華」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
脚本:岡田惠和
音楽:葉加瀬太郎
出演:登坂広臣、中条あやみ、高岡早紀、浜野謙太、箭内夢菜 / 田辺誠一ほか
©2019 映画「雪の華」製作委員会
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- 三浦しをん(ミウラシヲン)
- 1976年生まれ、東京都出身。2000年、長編小説「格闘する者に◯」でデビュー。2006年「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞、2012年「舟を編む」で本屋大賞、2015年「あの家に暮らす四人の女」で織田作之助賞を受賞。「舟を編む」は石井裕也により映画化され、第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞などに輝いた。ほか「風が強く吹いている」「光」「神去なあなあ日常」「まほろ駅前狂騒曲」といった作品も映画化されている。
2019年2月8日更新