時事年表
アカデミー賞年表
2011
- 3月
東日本大震災
- 5月
米政府が国際テロ組織アルカイダの首領ウサマ・ビンラディンを殺害
- 7月
なでしこジャパン、サッカーW杯優勝
- 10月
「ウォール街を占拠せよ」反格差デモが世界に拡大
- 第84回アカデミー賞(2012年2月26日)
作品賞「アーティスト」 - 映画がサイレントからトーキーへ移行する1920年代ハリウッドを無声映画として描いた「アーティスト」が作品賞を獲得。なんと無声映画の受賞は第1回の「つばさ」以来83年ぶり。フランス映画の受賞自体も初のことだった。作品賞を争ったのは、マーティン・スコセッシ唯一の3D映画「ヒューゴの不思議な発明」で、こちらはSF映画の創始者ジョルジュ・メリエスが題材だ。授賞式直前の2012年1月にはフィルム製造大手のコダックが経営破綻したばかり。同年9月には富士フイルムも映画フィルムの販売終了を発表するなど、デジタル化が進んだこの時期に、奇しくも映画の草創期を描いた映画にまつわる映画がオスカーの夜を沸かせた。
2012
- 1月
フィルム製造最大手の米イーストマン・コダックが経営破綻
- 3月
民主化デモから内戦へ、シリア内戦が激化
- 9月
富士フイルムが撮影用・映画フィルムの年度内での販売終了を発表
- 11月
米大統領選でバラク・オバマが再選
- 第85回アカデミー賞(2013年2月24日)
作品賞「アルゴ」 - この年の大本命は巨匠スティーヴン・スピルバーグが監督を務め、最多12部門にノミネートされていた「リンカーン」。そして再選したばかりの大統領の夫人ミシェル・オバマがホワイトハウスからの中継で作品賞のプレゼンターを務める形に。黒人奴隷の解放を訴えた偉大な大統領を描く「リンカーン」の受賞を、黒人初の大統領夫人が発表するかも……?と思いきや、その期待と思惑は外れ、作品賞はイラン革命最中の米大使館人質事件の裏側を描いた「アルゴ」へ。授賞式自体のテーマは映画音楽とミュージカル。全世界で大ヒット中だった「レ・ミゼラブル」の主要キャストが集結し、壇上を埋め尽くすほどの大勢で「One Day More」を歌い上げた。
2013
-
- PM2.5、中国の大気汚染が深刻化
- 4月
ボストンマラソン爆弾テロ事件が発生
- 6月
元CIA職員エドワード・スノーデンが米情報機関による個人の通信情報収集を暴露
- 11月
イラン核合意。核開発を縮小し、欧米は経済制裁を一部緩和へ
- 第86回アカデミー賞(2014年3月2日)
作品賞「それでも夜は明ける」 -
かつてない臨場感で宇宙空間の恐怖を描いた体感型SF「ゼロ・グラビティ」が最多7部門で技術賞を総なめ。監督のアルフォンソ・キュアロンは中南米出身者として初の監督賞の栄誉に輝いた。スティーヴ・マックィーンが監督を務めた「それでも夜は明ける」の作品賞は、黒人監督による映画として初の快挙。司会を務めたのは7年ぶり、2回目となるエレン・デジェネレスだ。本番中に宅配ピザを注文したり、俳優と一緒に流行りのセルフィーをしたりと会場を騒がせつつ、スターへの親近感を湧かせる授賞式となった。
If only Bradley's arm was longer. Best photo ever. #oscars pic.twitter.com/C9U5NOtGap
— Ellen DeGeneres (@EllenDeGeneres) March 3, 2014
2014
- 3月
ウクライナ危機
エボラ出血熱の感染拡大
- 6月
イスラム国が勢力拡大
- 9月
雨傘革命。香港民主派デモ隊が幹線道路を占拠
- 12月
米、キューバが国交正常化を合意
- 第87回アカデミー賞(2015年2月22日)
作品賞
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 - 歴史的に白人優位と批判もあったハリウッドの転換を印象付ける前年の結果から一転、この年は演技賞の候補20人すべてが白人という結果に。授賞式の前から批判の声が上がっていたが、作品賞はメキシコの“スリーアミーゴス”の一角アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が受賞。イニャリトゥはスピーチでアメリカに住むメキシコ系の人々を公平に扱うよう移民問題に言及したほか、助演女優賞のパトリシア・アークエットはジェンダー平等や男女間における賃金格差の是正を訴えた。さらに主演男優賞のエディ・レッドメインは筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う人々に、主演女優賞のジュリアン・ムーアはアルツハイマーで苦しむ人々へ、それぞれが役柄と関わりのあるマイノリティにエールを送る形に。授賞式には、映画芸術科学アカデミーの会長も出席。映画スタジオへのサイバー攻撃やパリでの風刺週刊紙へのテロ事件の発生を受け、表現の自由を守る強い決意を示す場面もあった。
2015
-
- 過激派組織「イスラム国(IS)」などによる大規模テロが各地で多発
- シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増
- ギリシャ金融危機
- 1月
仏パリで風刺週刊紙シャルリエブド襲撃事件
- 6月
米最高裁判所は「法の下の平等」を根拠に、全米で同性婚を認める判決
- 第88回アカデミー賞(2016年2月28日)
作品賞「スポットライト 世紀のスクープ」 - 前年同様、演技賞のノミネートは白人のみ。SNSでは「#OscarsSoWhite(白すぎるオスカー)」と批判が再燃し、ウィル・スミス夫妻や名誉賞に選ばれたスパイク・リーは授賞式のボイコットを発表するなど大きな波紋を呼んだ。直前に、映画芸術科学アカデミーは50歳以上の白人男性が多数を占める会員について、2020年までに女性や黒人などを含む少数派を現在の2倍にすると発表する事態に。クリス・ロックが司会を務めた授賞式でも白人偏重のオスカーを皮肉るネタが相次いだ。黒人奴隷の実話「それでも夜は明ける」の作品賞、メキシコ人監督たちの躍進など、白人以外の映画人の評価という近年の流れもありながら、アカデミーの根本的な変化の必要性が浮き彫りとなる。
2016
- 5月
バラク・オバマ、現職の米大統領として初めて被爆地・広島訪問
- 6月
英国が国民投票でEUの離脱決定
- 11月
地球温暖化対策への新たな国際的枠組み「パリ協定」発効
米大統領選で共和党のドナルド・トランプが勝利
- 第89回アカデミー賞(2017年2月26日)
作品賞「ムーンライト」 - 前年の“ホワイト・オスカー”から一転、第89回ではすべての演技部門に有色人種がノミネート。「ムーンライト」のマハーシャラ・アリが助演男優賞、「フェンス」のヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞を受賞する結果となった。ジミー・キンメルが司会を務めた授賞式では、大統領に就任したばかりのドナルド・トランプに皮肉を込めたメッセージや批判を多数発信。また外国語映画賞にノミネートされていた「セールスマン」の関係者は、1月に大統領令として出されたイスラム圏7カ国に対するアメリカへの入国禁止措置を受け、授賞式のボイコットを表明。これが追い風となったのか、受賞を果たし、代理人が読み上げた監督の声明にアカデミー会員は割れんばかりの拍手を送った。
2017
-
- テロ続発により欧州各国で右派政党が伸長
- 1月
米トランプ政権発足、中東など7カ国からの入国を一時的に禁止
- 3月
Nintendo Switch発売
- 8月
ミャンマーからロヒンギャ難民、60万人以上
- 10月
欧米で#MeToo運動が広がる
- 12月
ディズニーが20世紀FOX買収発表
- 第90回アカデミー賞(2018年3月4日)
作品賞「シェイプ・オブ・ウォーター」 - 2017年10月、複数の女性が大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる性暴力被害を告発したことをきっかけに、#MeToo運動が本格化。そのため授賞式も映画業界における女性の地位やジェンダーイコーリティにまつわるスピーチが多かった。中でも“男性像であるオスカー”を脇に置き、会場の女性ノミニーに起立を促したのが、「スリー・ビルボード」で22年ぶり2度目の主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンド。「見渡してみてください。私たちは伝えたい物語があり、資金が必要なプロジェクトがあります」と女性たちの活躍と連帯をたたえながら、いまだ多様性に欠ける映画界に変化を促した。また「ゲット・アウト」で鮮烈なデビューを飾ったジョーダン・ピールが黒人として初めて脚本賞を獲得した年でもある。
2018
- 4月
Netflixがカンヌ国際映画祭から撤退表明
- 5月
米がイラン核合意離脱、経済制裁を再発動
- 7月
米中貿易摩擦が激化
- 第91回アカデミー賞(2019年2月24日)
作品賞「グリーンブック」 - この年のアカデミー賞は、人気映画部門の新設断念やケヴィン・ハートの司会辞退、一部の部門を録画映像で発表し批判を受けるなど、話題に事欠かなった。実に30年ぶりに司会者不在となった授賞式には、50名以上の豪華なプレゼンターが集合。「ROMA/ローマ」はNetflix映画として初めてオスカーで存在感を示し、外国語映画賞など3冠。「ブラック・クランズマン」で初の作品賞ノミネートを果たし、脚色賞を獲得したスパイク・リーはスピーチで2020年に控えた大統領選に触れ「歴史の正しい道に立とう。愛と憎しみの闘いにおいて道徳的な判断を。“ドゥ・ザ・ライト・シング”だ」と呼びかけ、喝采を浴びた。
2019
- 5月
日本の元号が令和に
- 6月
香港民主化デモ、最大200万人規模に
- 9月
16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリが気候行動サミットで演説
- 11月
Apple TV+、ディズニープラスがローンチ
- 第92回アカデミー賞(2020年2月9日)
作品賞「パラサイト 半地下の家族」 - 作品賞は格差社会の分断と悲劇を圧倒的なエンタテインメントとして描き切った韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。初披露となったカンヌ国際映画祭でのパルムドール獲得から、アカデミー賞4冠に至るまで、この年の映画界を席巻した。アジア映画初の歴史的快挙にケチをつけたのは、時の大統領ドナルド・トランプ。選挙演説で「今年のアカデミーはひどかった。韓国映画が受賞とは何事だ?」と問いかけ、各方面から批判を浴びた。この年は同じく格差社会や貧困をテーマにした「ジョーカー」が話題を呼び、ホアキン・フェニックスが主演男優賞を獲得。前年には「万引き家族」がパルムドールを受賞しており、現実の格差や分断を反映した作品が高く評価される流れが続いた。
2020
- 1月
英国がEU離脱
- 3月
新型コロナウイルスが世界的大流行
- 6月
香港で国家安全維持法が可決、一国二制度は形骸化
- 8月
ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動が再燃、抗議は世界中に波及
- 11月
民主党ジョー・バイデンが大統領選で現職トランプに勝利
- 第93回アカデミー賞(2021年4月25日)
作品賞「ノマドランド」 - 例年より2カ月遅れの開催や会場の分散など、コロナ禍の“ニューノーマル”に向き合う異例の授賞式に。作品賞はリーマンショックの余波で住み慣れた家を失った女性が“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩く「ノマドランド」。アカデミー会員はコロナ禍の閉塞感を経験した人々の心に寄り添う1本を選んだ。前年の「パラサイト」の旋風に続いて、アジア出身の映画人が注目を集める。クロエ・ジャオはアジア系女性として初めて監督賞、「ミナリ」のユン・ヨジョンは韓国人として初めて助演女優賞を獲得した。
2021
- 1月
トランプ支持者が米議事堂を占拠、バイデンが第46代大統領に就任へ
- 2月
ミャンマー、国軍が軍事クーデターで政権掌握
- 7月
1年延期した東京五輪2020が無観客で開催
- 8月
タリバンがアフガン全土を掌握、米は約20年続いた軍事作戦終結を表明
- 11月
コロナ禍、オミクロン株が急拡大
2022
- 2月
ロシアがウクライナに軍事侵攻、戦争状態に
- 6月
米連邦最高裁が人工妊娠中絶を認めた1973年の判決を覆す
- 8月
コロナ感染者、累計6億人に
- 9月
エリザベス女王が96歳で死去
- 11月
世界の総人口が80億人に、国連が発表
- 第95回アカデミー賞(2023年3月12日)
日本時間3月13日(月)7:30~よりWOWOWで生中継 - 作品賞ノミネーション
- 「西部戦線異状なし」
- 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
- 「イニシェリン島の精霊」
- 「エルヴィス」
- 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
- 「フェイブルマンズ」
- 「TAR/ター」
- 「トップガン マーヴェリック」
- 「逆転のトライアングル」
- 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」