マンガ家・海野つなみ「連続ドラマW フェンス」を鑑賞、野木亜紀子の脚本が伝えるものとは? | WOWOWオンデマンドで視聴できるおすすめ作品も (2/2)

「殺意の道程」の面白さは世界にも通じる

──「殺意の道程」は、どんなところにハマッたんですか?

ほぼコントなんですけど、バカリズムさんと井浦新さんの主演2人をはじめ皆さんのシリアス具合が最高だなと。最近のコントも現実の世界にあることをやって面白いものが多いじゃないですか。それをドラマにして30分で見せる作品って、意外と世界にも通じるんじゃないかと考えたりしていて。「殺意の道程」を観たら、よりそう思いました。日本のものは国内でしかわからないとか、ガラパゴスだってことも言われますけど、今は意外とそういう部分も受け入れられると思うので、広がってほしいですね。

連続ドラマW-30「殺意の道程」場面写真

連続ドラマW-30「殺意の道程」場面写真

──確かに、最近はその国のすごくニッチなことを描いていても、そこに関心を持たれるし、実は誰にも通じる問題だと受け入れられることが多いですね。「フェンス」もそんなふうに観られるといいなと思います。

かつては「そんなもんだからしょうがない」で済ませていたけど、最近は「これは不平等ではないの?」と思えてきたことってありますよね。より多くの人がそう感じるようになったら、世の中を変えられるんじゃないかなと思います。ちょっと話はそれますが、「逃げ恥」の続編を描いているときに、いろいろ取材をしながら描いていたんです。職場にセクハラやパワハラが存在していても「動いたところで何も変わらない」とあきらめていたところがあったと思うんですけど、実際に取材してみると、“下”のほうで「これはおかしくない?」という空気が広がると、“上”の人たちも職場で嫌われるのは嫌だから変わっていったそうなんです。「おかしい」と言う人が増えたら、自ずとセクハラ、パワハラをやっていた側も変わらざるを得ないんだと取材をして実感したんです。これに限らず、おかしいことに対して誰かが声を上げてもいいんだという空気が広がれば、意外と世の中って変わる部分もあるのではないかって。この「フェンス」を観て、改めてドラマにも空気を変える力があるはずだと思いました。

「連続ドラマW フェンス」場面写真

「連続ドラマW フェンス」場面写真

「連続ドラマW フェンス」場面写真

「連続ドラマW フェンス」場面写真

地上波だけでなく、世の中へ広がる仕組みがあるのはいいこと

──「逃げ恥」の場合も、海野さんが描かれた原作があって、そこから野木さんがドラマ化して。この両方があったことによって「日常で感じている違和感に対して、これはおかしいんじゃないかと思ったら言っていいんだ」と思えて、そこから少しずつ変わってきたのかなと思います。

「逃げ恥」を描く前から、世の中に対して「これはおかしいよね」とか「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃないか」という話はよくしていたんです。でも当時の空気として、そういうことはマンガに描いてもあまり読まれないと思っていた部分があって。Web連載で社会に対しての話を描いてみたら、意外と反応があったので、Webという新しい場所ができたことは大きいのかなと思いました。

──確かに、10年単位で見ると、Webで発信される個人の意見もどんどん変わっていった印象がありますね。

だから、テレビの世界も地上波だけでなく、WOWOWのような別のメディアもあって、そこから世の中へ広がる仕組みがあるのはいいことだと思います。そこに「フェンス」のような作品があれば、いろいろな反響もあるでしょうし。「フェンス」は、社会的な問題も描かれているけれど、自分の隣にいる人の話である。個人的な問題でもあり、人間ドラマとして自分たちにもつながっていると思いました。現実を描くと「しんどい」と思う描写も増えたりしますが、「フェンス」はそれだけの作品ではないし、観終わったあとはふわっと気持ちが軽くなる感覚がありました。

「連続ドラマW フェンス」場面写真

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プロフィール

海野つなみ(ウミノツナミ)

8月9日生まれ、兵庫県出身。1989年、第8回なかよし新人まんが賞入選の「お月様にお願い」でデビュー。主な作品に「Kissの事情」「デイジー・ラック」「回転銀河」「小煌女」「スプートニク」などがある。2012年にスタートした「逃げるは恥だが役に立つ」は第39回講談社漫画賞(少女部門)を受賞し、2016年には新垣結衣主演・野木亜紀子脚本によってドラマ化された。対照的な女性2人の同居生活を描く「クロエマ Chloe et Emma」をKissで連載中(1巻は6月に発売予定)。

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「連続ドラマW フェンス」

「連続ドラマW フェンス」

「連続ドラマW フェンス」

2023年3月19日(日)22:00 放送・配信スタート
放送(WOWOWプライム、WOWOW 4K):毎週日曜 22:00~ ※第1話無料放送
配信(WOWOWオンデマンド):各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信

沖縄で起きた性的暴行事件の真相を追う中で、今なお抱える米軍基地の問題、ジェンダーや人種にまつわる葛藤など、複雑な事情が絡み合っていく。東京から来た雑誌ライター“キー”に松岡茉優、沖縄で生まれ育ったブラックミックス“桜”に宮本エリアナが扮したほか、女性たちに寄り添う精神科医役で新垣結衣が特別出演。連続ドラマW-30「ペンションメッツァ」の松本佳奈が監督を務めた。

公式サイト

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「センセイの鞄」

「センセイの鞄」

「センセイの鞄」

行きつけの居酒屋で再会した、かつての教え子と高校時代の国語教師。しばしば同じ時を過ごすようになった2人は、30以上の歳の差を超え、ゆっくりと心の距離を縮めていく。小泉今日子と柄本明をキャストに迎え、芥川賞作家・川上弘美の静謐な恋愛小説を映像化。WOWOWドラマファン必見の記念すべき「ドラマW」1作目だ。

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「殺意の道程(みちのり)」

「殺意の道程(みちのり)」

連続ドラマW-30「殺意の道程(みちのり)」

亡き父の復讐を成し遂げるため男2人は“初めての殺人”に挑もうと試みるが……。ドラマ「ブラッシュアップライフ」で話題のバカリズムが脚本を手がけ、自ら主演もした新感覚のサスペンスコメディ。いとこ役のもう1人の主演・井浦新とともに、完全犯罪を企て悪戦苦闘する男を淡々と演じている。

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「連続ドラマW いりびと-異邦人-」

「連続ドラマW いりびと-異邦人-」

「連続ドラマW いりびと-異邦人-」

見た者の心を狂わす無名画家の絵に魅了された美術収集家。その画家の絵を追ううちに、自身の運命を変えるようなある真実にたどり着く。原作は原田マハの美術小説。高畑充希、風間俊介、SUMIRE、梶芽衣子、松重豊らが競演し、京都の四季を背景に欲望渦巻く愛憎劇を繰り広げた。

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連続ドラマW-30「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」 ©︎「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」製作委員会

連続ドラマW-30「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」 ©︎「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」製作委員会

連続ドラマW-30「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」

平凡な会社員・児島あかねは熱狂的なBL愛好家。ある日、国民的格闘マンガ「グラップラー刃牙」と出会ったことで、格闘家たちの肉体美や言動に濃厚なBLの可能性を見出し、妄想漬けの日々が始める。キャラ同士のカップリングに悶え、脳内妄想シーンでは変幻自在の姿を見せる松本穂香の振り切った演技からも目が離せない!

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2023年3月31日更新