WOWOWオンデマンド連載 | 神木隆之介が「撮休」で見せる、8つの色 / WOWOWドラマの思い出も語る

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ナタリーではWOWOWオンデマンドの連載企画を実施中。今回は現在放送・配信中の「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」全8話の主演を務めた神木隆之介が、初の本人役を演じた心境や撮影エピソード、過去のWOWOWドラマ出演作の思い出を語ってくれた。

取材・文 / 前田かおり(インタビュー)、秋葉萌実(作品解説)撮影 / 梁瀬玉実

“神木”はなんでもこなす系

──「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(以下「神木隆之介の撮休」)は、有村架純さん、竹内涼真さん主演作に続く「撮休」シリーズの第3弾です。このシリーズ自体はご存じでしたか?

はい、知っていました。「俳優の名前が作品のタイトルになるなんて面白いな」と感じていたんです。てっきり撮影が休みの日の密着ドキュメンタリーだと思っていたので、ドラマと知って驚きましたし、各エピソードの脚本家さんが思う“架空の休日”を描くと聞いたときは、斬新な発想だなと感動しました。僕らは普段、作品の中では自分の名前で呼ばれることがないんです。今までの芸歴でも、本人役はまったくなかったので貴重な経験でした。

──企画を聞いたときに「どんな物語を作ってくださるのか楽しみ」と感じたそうですが、実際に各エピソードの脚本を読んでみて、どんな印象を受けましたか。

面白かったです。「僕は皆さんからこう思われているんだな、こういうイメージだからそれを壊してみたいのかな」と勉強になりましたね。もともと自分の印象はあまり気にしたことがなかったのですが、これまで演じた役のイメージからか、人からは「おとなしい人かと思ったら、にぎやかなんだね」と言われることもあって。そういった印象をもとに作られているのかな?と思いました。今回の作品では、監督といろいろと話し合ってセリフを変えたりもしています。そこは自分の名前がタイトルになっている特権かな(笑)。

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

──具体的には、どんなキャラクターに描かれているのでしょう。

例えば第7話「友人の彼女」の“神木”は、いろいろなことをそつなくこなす人として描かれています。脚本を書いてくださった方にとって、僕は“なんでもこなす系”というか、やらせてみればなんでもできる印象があるんだろうなと思うんです。これまでの作品でもピアノを弾いたり料理をしてみたり、いろんなことをやっていますし。でも実はどれも最初からちゃんとできるわけじゃなくて、できないところからがんばってできるようにしているんです。

──なるほど、映画「るろうに剣心」シリーズの難しい殺陣や立ち回りをされた神木さんを見ると、なんでもやれちゃう気がします。もちろん努力されてるんでしょうけど、その努力を感じさせないですよね。

うれしいです!

──でも、その印象によって、なんでもできるような気が。

「泳げない」と言うと意外に思われます。水に入れられたら一巻の終わりですよ、僕……。スノーボードやスキーもやったことがないですね。「できるよ」と言われるんですけど、絶対に無理です(笑)。ほかにも苦手なことはいっぱいあります。

神木隆之介

神木隆之介

神木隆之介

神木隆之介

「神木隆之介さんですよね?」に心の中でにやにや

──“神木隆之介”を演じた心境はいかがでしたか。これまでの作品のキャラクターと比べて演じやすかったでしょうか、それとも難しさを感じましたか。

力を抜いて演じられたのでやりやすかったです。もちろん物語が動くときは演技をしていますが、基本的には自分のペースで素に近い状態でしゃべれていましたし、この環境に置かれたら自分ならどう反応するだろう?という前提で臨んでいました。ただ、共演した俳優さんたち……、安達祐実さんは“安達さん”役でしたが、矢本(悠馬)くんや(成海)璃子ちゃんなど、ほかのみんなには役名があるんです。でも僕は全員から「神木」って呼ばれるし、本当は「璃子ちゃん」「矢本ーっ!」と言いたいのに、それはできない。「神木隆之介さんですよね?」という芝居に、心の中でにやにやしながらも「あー、ありがとうございます」と返事をしなきゃいけないのが、面白くもありジレンマでもありましたね。

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介の撮休」(WOWOWオンデマンドで配信中)

──今回の作品に、素顔の神木さんを知っている方は出演されていたんですか?

そうですね。「友人の彼女」で共演した井之脇海くんは、中学の後輩なんです。ドラマ「集団左遷!!」でも一緒で、その頃はよく「お茶しよう」と言ってました。彼は学生時代の僕を知っているので不思議な感じ。璃子ちゃんも高校では1つ上の先輩だったから当時の僕を知っていますね。

──なるほど。本作では瀬々敬久さん、森ガキ侑大さん、三宅唱さんなど個性豊かな映画監督たちとご一緒されていますが、映画ではなく「撮休」シリーズでご一緒された感想を教えてください。

すごく楽しかったです! 監督は皆さんそれぞれ撮り方や“色”が違う。1話につき2日間の撮影期間しかなかったので、時間的にはカツカツでした。なので、監督たちのホームグラウンドではきっと違う感じなんだろうなと思いながら、お仕事ぶりを見てました。

──一番印象的だったエピソードや共演者は?

第6話の「ファン」に出演されている大塚明夫さんですね! 僕にとって大塚さんといえば、ゲームの「メタルギアソリッド」のスネーク。あの「待たせたな」の声ですよ……! 大塚さんにはYouTubeのゲーム実況に誘っていただいて、一度一緒にゲームをやったことがあるんです。そのときは「今度いつかお会いしたいですね」と話していました。それがこの作品で実現したんです! しかも「ファン」というタイトルで、大塚さんは僕が憧れてやまない声優の小野寺修吾という役を演じている。現場で大塚さんの声を聴いた瞬間に「うわー!」と興奮しましたね(笑)。

──それはリアルな神木さんの反応ですか?

はい、リアルです。本当にうれしかったですねー。明夫さんが現場にいてくださるというだけで、ワクワクしてたまらなかったです。「ファン」は松重豊さんや(田中)要次さんなどすごい大先輩の方たちが出てくださって、僕にとってはとんでもない回です。これで面白くないわけがない!

──以前「各話の“神木”がうらやましい」とコメントされていましたが、特にうらやましく感じた“神木”について聞かせてください。

やっぱり「ファン」ですね。実は僕、街で芸能人の方に遭遇したことがないんです。唯一、6、7年前にダンボールを抱えたもう中学生さんと駅ですれ違って、「すみません、もう中学生さんですよね?」と声を掛けて握手してもらいました。そのときめちゃくちゃうれしかったんですよ。「ファン」の“神木”では、まさに当時の僕の気分を演じてますね。

神木隆之介

神木隆之介

──そうなんですね。「神木隆之介の撮休」をどんなふうに楽しんでほしいですか?

全8話それぞれの色がまったく違うので、いろんな出会いと物語を楽しんでいただけると思います。そして、すべてはマネージャー役の池田鉄洋さんから始まります! 池田さんが突然、明日撮休になったと僕に伝える全話のオープニング映像で名演技を披露しているので、そこを見ていただければうれしいです。あれはWOWOW史上、最高の怪演です(笑)。

──ところで、本当に神木さんが「明日撮休です」と言われたらどう感じるのでしょうか?

「あ、ラッキー!」と思います。でもそのあとで「どうしようかな」と考えますね。