恋人が落としたスマートフォンをきっかけに起こる恐怖を描いた「スマホを落としただけなのに」の続編「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」が、2月21日に公開される。千葉雄大が主演を務める本作では、前作で事件を解決に導いた刑事・加賀谷が獄中の殺人鬼・浦野と再び対峙。浦野役での怪演が話題となった成田凌も続投し、白石麻衣、鈴木拡樹、井浦新が新キャストとして参加する。
映画ナタリーでは、緊張感あふれる共演シーンで火花を散らした千葉と成田にインタビュー。千葉が「助けられた」という成田のいたずらや、演技論と「テラスハウス」の話を交わした2人飲み、カメラが趣味の成田が千葉を撮影していた裏話など、劇中とは打って変わって気心の知れた間柄ならではのエピソードが明かされる。
取材・文 / 山里夏生 撮影 / 西村満
本当の浦野をわからないまま演じた(成田)
──殺人鬼・浦野は刑事・加賀谷にだけ執着を見せます。2人はある種合わせ鏡のようなキャラクターだと思ったのですが、それぞれ自身の役柄をどのように捉えて演じましたか?
千葉雄大 加賀谷は自分の気持ちや、例えばああしたいこうしたいというのを前面に出すのではなく、秘めていくタイプの人間だと思っていて。それは彼のいろいろな過去の経験を踏まえた結果なんですけど、それでも人と関わっていく中で、自分がどうしたらいいのかわからないときにちゃんと人の助けを得られる人物。浦野との違いはそういうところだと思いました。似ている部分もあるけれど、人との関わりで救われてきた人物なんじゃないかなと。
成田凌 僕は前作で本当の浦野という人間が出てはいないのかなと思いました。「この人ってどういう人なんだろう?」というのは僕自身もわからないまま終わって。今回もまた新しい気持ちでわからないまま演じたというのが、率直なところです。
──確かに、内面を理解するのは難しい役柄ですよね。
成田 唯一浦野という人間が感情を出すのが加賀谷と共通している部分のみで、あとは虚像と言いますか。浦野も自分のことをわかっていない不安定な部分を、ある意味で無責任にやっていった感じです。
千葉 何してもいいもんね?
成田 何してもいいんです(笑)。
イラッともしたし、救われもした(千葉)
──加賀谷と浦野が再び対峙するシーンは見応えがありました。成田さんが千葉さんのお芝居を受けて影響されたことはありますか?
成田 お互いに「あ、そこ引っかかるんだ」という部分が意外とたくさんありました。本当にちょっとした言葉だと思うんですけど、自分から吹っ掛けておいて最終的にこっちが食らうことになる、みたいな。台本ではスッと読めちゃうところが、対峙してみたら「あれ?」という場所がけっこうありましたね。
──千葉さんは本作で成田さんと共演して、改めて感じたことはありますか?
千葉 (成田を5秒ほどじっと見つめる)
成田 ごめん、しゃっくりしちゃった。
千葉 ……こういうところですよね。こういうところにイラッともしたし、救われもしたという感じです。たぶんいろいろ違う部分がたくさんあるから、全部が刺激になるし、見てて飽きない人です。あとは……かわいいですよね。人の懐に入るのがすごく上手。ずるいなと思います。
──かわいいといえば千葉さんもそのイメージがありますが。
千葉 わかりやすくやるのはすごく得意なんですけど、心を開くのが苦手なのかもしれないです。
──撮影中は緊張感を保つためにあえて距離を置いていたとか。
成田 距離を置こうとしてました、彼は。休憩中に椅子が並んでいたとしたら、ちょっとこうL字的な方向で座るとかしていましたよ。
千葉 ええー?
成田 だから僕は、その当時手に入れたアプリで千葉くんを変な顔にして遊んでました。
千葉 (嫌そうな顔でうなずく)
成田 こっそりやってたらバレて、結局一緒に遊んでくれちゃうという。
千葉 ふふふ。
成田 優しいですよ。
千葉 いやいやいや。でもありがたかったけどね。すごく悪い癖なのよ、本当に直したくて。集中するとそうなっちゃうんです。でも結局、狭い視野でしか物事を見れなくなっちゃうから、こういう雑念が……“雑念”だって!(笑)
成田 (笑)
千葉 違う違う、なんて言うんだろ。こういう感じでこじ開けてくれると「もういいや!」となって、撮影に臨んだときに楽にできたことがたくさんあるので。本当に彼には助けられました。
成田 悪口が交じりつつ(笑)。
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男子校出身のところが出てしまった(千葉)