映画ナタリー Power Push - 真島ヒロが語る「スーサイド・スクワッド」

少年マンガならNG!? 型破りなアンチヒーロー作品の魅力に迫る

DCコミックを原作とした「スーサイド・スクワッド」が9月10日に公開される。この映画は、バットマンらヒーローに捕らえられ、死刑や終身刑となったヴィラン(悪役)たちで結成された部隊“スーサイド・スクワッド”の活躍を描くアクション作品。冷酷な凄腕スナイパーだが子煩悩なデッドショットや、一途に恋する邪悪なヒロインのハーレイ・クインといった個性豊かなキャラクターが続々登場する。ウィル・スミスやマーゴット・ロビー、ジャレッド・レトらが出演した。

映画ナタリーでは、本作の公開を記念した特集を展開する。第1回として、「FAIRY TAIL」で知られるマンガ家の真島ヒロにインタビューを実施。アメコミ映画が好きだという真島は、本作をどう観たのか? また「FAIRY TAIL」と本作の共通点についても語ってもらった。

取材・文 / 浅見みなほ 撮影 / 上山陽介

真島ヒロインタビュー

「FAIRY TAIL」はアメコミから影響を受けている

──真島先生は、すごく映画がお好きだと伺いました。

真島ヒロ

そんなに詳しくはないけど、大好きです! 「バットマン」とかのアメコミ映画は特にたくさん観ていますけど、ほかのジャンルも好きですね。この映画でジョエル・キナマンが出てきたときは「『ロボコップ』の人がこんな役やってる!」って思っちゃって(笑)。あとドラマもすごく好きなんですよ。DCコミック原作のシリーズで言うと、「ARROW/アロー」とか「THE FLASH/フラッシュ」「GOTHAM/ゴッサム」を観ているので、今度「SUPERGIRL/スーパーガール」を観ようかなと思っているところです。

──「スーサイド・スクワッド」はいかがでしたか?

いやあ、めちゃくちゃ面白かったです。ずっと興奮しっぱなしでした! 正義の味方じゃないので、なんでもありなところは観ていて気持ちいいですよね。僕も普段、そんなに正義の味方だけのマンガを描いているわけじゃないんですが、この映画は僕の想像を超えるぶっ飛び具合ですごかったですね。ハーレイ・クインが街のショーウインドーを割ってバッグをパクるシーンが大好きです。「だって悪党だもん」って、キャラが立っててすごくよかったです(笑)。

──普通のヒーローものだったら考えられないですよね(笑)。

「スーサイド・スクワッド」より。

そうそう、ヒーローものだと、ハーレイみたいなキャラが盗みを働いたら、それを怒るキャラもいると思うんですよね。でもそれがスルーされちゃう、誰も注意しないっていうのが面白かったです。

──個性豊かなキャラが集まって任務を遂行するという意味では、先生の「FAIRY TAIL」にも通じるところがあるのかなと思ったのですが。

ああ、そうですね! 「FAIRY TAIL」はもともとアメコミから影響を受けているところもあるので。

──そうなんですね! 具体的にはどんなところでしょう?

「スーサイド・スクワッド」より。

それぞれが特殊能力を生かして戦うっていうところの描き方なんかは参考になりますね。でも火を使うキャラだったり、氷を使うキャラだったり、大概はすでにDCコミックかマーベルコミックにいるんですよね(笑)。だからむしろ、自分で「これは新しいぞ!」って思った設定が、実はアメコミでもう使われてたっていうことはけっこうありますよ。

──キャラクターの数も膨大ですしね。

そうそう。しかもアメコミだと同じ作品の中でキャラが被ってたりしますからね。少年マンガでそれはあまりないことで、たとえば炎を使うやつは同じ作品の中に1人か2人しかいないっていうのが定番なんですよ。でもアメコミだと炎を使うキャラが3人、4人いることもありますから(笑)。

青年誌で描くことがあればハーレイのようなキャラを出したい

──本作では刑務所に捕らえられているさまざまなヴィラン(悪役)たちがチームを結成しますが、気になるキャラクターはいましたか?

真島ヒロ

僕はデッドショットが好きなんですよ。「ARROW/アロー」では最初アローの敵として登場して、だんだんとよきライバルになって、最後には実は幼い娘に弱いっていう“いいやつ感”も出てきて。そういう変化を観てきたので人間味があるなと思って好きになったんです。今回はどんな活躍をしてくれるのかなと思って楽しみにしていたんですが、娘に弱い設定もちゃんと生かしつつ、狙ったものを外さないっていうスナイパーとしての腕も半端なくて、カッコよかったですね。

──スーサイド・スクワッドの中心的メンバーとして活躍しますね。

市街戦のシーンはもうしびれましたよね。僕はシューティングゲームもやるんですけど、あんな腕持ってたらいいなあって思いますよ(笑)。百発百中の命中率で、周りのキャラの驚き方も含めてよく演出されてるなあ、と。

──大量の敵を1人ひとり撃っていくシーンは、まさにシューティングゲームのような爽快感がありましたね。

「スーサイド・スクワッド」より、デッドショット(左)とハーレイ・クイン(右)。

そうですよね。撃った弾が全部当たるってとんでもないことだと思うんですよ。そんなキャラがいたらバトルにならないじゃないですか、絶対勝つに決まってるから(笑)。でもちゃんとピンチと見せ場を作っていたのが上手だなあと。あとはやっぱり、映画を観る前からハーレイ・クインが気になっていたんですよ。期待以上にいい感じでしたね。

──性格は違いますが、ハーレイ・クインはツインテールにナイスバディで、ちょっと「FAIRY TAIL」のルーシィに近いのかな、なんて思ったのですが。

ははは、そうですね。性格は違いますけどね!(笑) そもそもルーシィは名前もそうですが、アメリカの少女を意識して作っているんですよ。ハーレイもアメリカのチアリーダー的なイメージがあるんじゃないですかね。

──そうなんですね! 先生は魅力的なヒロインを描くうえで意識していることはありますか?

「スーサイド・スクワッド」より、ハーレイ・クイン。

僕の場合は少年誌でマンガを描いているので、みんなに好いてもらえるようなヒロインが多くて。ハーレイみたいなすっごくクセのあるヒロインはあまり作っていないですね。でも彼女のように、観ていて「ちょっとやりすぎじゃないか?」って思うくらいのほうが魅力的に感じることはもちろんあると思うので、僕がもし青年誌で描くことがあったらこんなキャラも出したいなって(笑)。

Contents Index
真島ヒロインタビュー
DISH//インタビュー
キャラクター紹介

「スーサイド・スクワッド」9月10日(土)全国公開

「スーサイド・スクワッド」9月10日(土)全国公開

迫り来る世界崩壊の危機を前に、米国政府諜報担当高官アマンダ・ウォーラーは“タスク・フォースX”の結成を提案。型破りなこの計画は、バットマンらヒーローに捕らえられ服役中の悪党たちに、減刑と引き換えに命懸けのミッションへ挑ませるというものだ。命令に背いたり任務に失敗したら、首に埋め込まれた自爆装置が即作動するこの“スーサイド・スクワッド(自殺部隊)”に集められたのは、最強スナイパーのデッドショットや、女ピエロのハーレイ・クインたち。正義感も団結力もない寄せ集めの最狂軍団は世界を救えるのか? また彼らの前に、ハーレイの恋人である悪の権化・ジョーカーも現れ……。

スタッフ / キャスト

監督:デヴィッド・エアー

キャスト:ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、ジョエル・キナマン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェイ・コートニー、ジェイ・ヘルナンデス、アドウェール・アキノエ=アグバエ、アイク・バリンホルツ、スコット・イーストウッド、カーラ・デルヴィーニュ、アダム・ビーチ、福原かれんほか

真島ヒロ(マシマヒロ)

1977年5月3日生まれ、長野県出身。1998年、「MAGICIAN」で週刊少年マガジン第60回新人漫画賞に入選。翌1999年から2005年まで、週刊少年マガジンにて「RAVE」を連載する。2006年には同誌にて「FAIRY TAIL」の連載を開始。同作は累計5年半の長期テレビアニメ化や劇場版アニメ化、舞台化もされた。さらに多くのスピンオフ作品も誕生するなど、国内はもとより海外でも多くのファンを獲得し、現在も週刊少年マガジンの看板作品の1つとして連載中。