「FAIRY TAIL」|「FAIRY TAIL」がクレジットカードとコラボ インタビューで真島ヒロの代表作を深堀り

「FAIRY TAIL」と三越伊勢丹グループが発行するクレジットカード・エムアイカードがコラボレート。現在そのクレジットカードの申し込み受け付けが行われている。コミックナタリーでは今回のコラボと絡め、真島ヒロにインタビューを実施。真島の代表作である「RAVE」「FAIRY TAIL」、そして4月からアニメの放送も始まる「EDENS ZERO」の3作品を取り上げ話を聞いた。主人公・ヒロイン、さらに主人公の初登場シーンなど各作品を深堀りしたQ&Aも楽しんでほしい。

取材・文 / 粕谷太智

作品作りで重要なのは“読者を驚かすこと”と“勢い”

──今回のインタビューでは、真島先生の代表作である「RAVE」「FAIRY TAIL」、そして4月からアニメがスタートする「EDENS ZERO」の3作品を取り上げ、マンガ家・真島ヒロを掘り下げていきたいと思います。早速ですが、真島先生が作品を作るうえで一番気を付けていらっしゃることはなんなのでしょう?

やっぱり読者を驚かすこと。あとは勢いですね。細かい整合性や辻褄合わせはあまり考えないです。もちろん多少は気にしますが。

──真島先生のマンガ家生活も20年を超えましたが、連載をコンスタントに続ける中で作品の作り方は変わりましたか?

一番大きな変化はアナログ作業からデジタル作業になったことです。便利になって作画スピードは上がりました。逆に画面の総合的な雰囲気はあまり変わってないと思います。というより、デジタルになったことで変わらないように努力しています。

──なるほど、読者に見えないところでもそんな努力があったのですね。これもマンガ家を続ける中で大切な要素かと思うのですが、マンガを描く中で一番好きな作業は何ですか?

それぞれの工程で楽しいこと、キツイことはあるのですが、一番好きと聞かれると、圧倒的にネームです。ストーリー、セリフを考えてるときが一番楽しいです。あとはもう流れ作業なので。

──真島先生の作品は魅力的なキャラクターが多数登場するので、キャラクターを考えるのがお好きなのかと想像していました。

「FAIRY TAIL」に登場する多彩なキャラクターが一堂に会したイラスト。

意外と、落書きや脳内設定など、思いついたらテキトーにキャラになります(笑)。なので設定を作りこまず、見切り発車のキャラが多いんです。設定や奥行きは後付けでもどうにかなると、20年のマンガ家生活で学びました。気をつかっているのは、シルエットにしたとき、なんのキャラかわかるデザインです。

──シルエットでもわかるような個性が、よりキャラクターの豊富さを感じさせるのかも知れないですね。作中の演出についてもお聞きしたいのですが、真島先生の作品では盛り上がるシーンでの大ゴマに迫力はもちろん、気持ちよさも感じます。そういったシーンを描くうえで意識していることはありますか?

大ゴマはやっぱり力を入れますよね。それはどの作品でも一緒です。ただ、必ずというわけではないのですが、なるべくキャラが読者目線というか、視線が読み手側を向いている状態になればいいなと思って描いてます。もちろんシーンや演出によってはそれがいいとは思わないのですが、大ゴマでの読者目線は読者に強く映りますからね。

──キャラクターの作り方も然り、読者を意識する真島先生の姿勢が伝わってきました。真島先生はファンからの声にもよく目を通しているとお聞きしました。これまでに印象に残っている、またはハッとさせられたファンの声はありますか?

たくさんありますが、僕の作品がきっかけで友達ができた、みたいな手紙はうれしいですね。ハッとさせられた……でいうと、海外のファンががんばって日本語で書いて送ってくれる手紙でしょうか。

──現在登録を受け付け中のクレジットカード「『FAIRY TAIL』エムアイカード」には、真島先生の描き下ろしイラストが使用されています。イラストを描くうえで、マンガと違って特に意識していることはありますか?

配色のバランスです。いまだに勉強中で、ちょっと気を抜くと色がバラつき、まとまりがなくなってしまうので、なるべく少ない色で仕上げられるように意識しています。ただ、これ、本当に難しい。修行あるのみ!

コラボクレジットカードのための描き下ろしイラスト。

アニメによって死ぬ設定を変えた

──「RAVE」「FAIRY TAIL」、そして「EDENS ZERO」と、今回取り上げる3作品はすべてアニメ化されています。それぞれのアニメ化についての当時の心境を教えてください。

「RAVE」のときは初アニメだったので、ただただうれしかったです。「FAIRY TAIL」のときは初のゴールデン帯だったので緊張した記憶があります。4月から放送される「EDENS ZERO」は海外展開も強く意識してる作品なので海外のファンが喜んでくれるかな?という期待がありますね。

──連載デビュー作からアニメ化されているわけですが、アニメから受けた影響などはありますか?

単行本31巻の特装版に同梱されたOADでは真島が絵コンテを担当。絵コンテ集も小冊子として付属した。

ネーム中、キャラの声が聞こえてくると、今まで以上にイメージしやすくなります。あと、内緒ですが、死ぬ予定のキャラだったのに、アニメによって死ぬ設定を変えたキャラもいますね。

──どのキャラクターなのかものすごく興味はありますが……。アニメ「FAIRY TAIL」では、単行本特装版に同梱されたOADの絵コンテ、さらに劇場版第2作目となる「劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-」ではそのストーリーをネームで描いたりと、制作にも携わられていますよね。その後のマンガを描く際に影響はありましたか?

まず、絵コンテは尋常じゃなく大変でした。想像以上に時間がかかりましたし、コンテを切る大変さがわかったので、軽はずみに修正指示を出しづらくなりましたね(笑)。映画のネームは大変でしたが、その後になんか影響を与えたかというと、ネーム自体、毎週のルーティンワークなので、特になかったです。

「EDENS ZERO」は何か違うことを、と考えたのがきっかけ

「EDENS ZERO」15話より。

──先ほども話題に出ましたが、4月からアニメの放送もスタートする「EDENS ZERO」についてお聞きしたいと思います。「EDENS ZERO」では「RAVE」「FAIRY TAIL」と比較して「剣と魔法のファンタジー」から「SF(スペース・ファンタジー)」へと大きな挑戦をしています。真島先生の中で長年温めていた企画だったのでしょうか?

実は「FAIRY TAIL」の後も剣や魔法といった一般的なファンタジーを考えていました。ただ、マガジンでも別マガでもファンタジー作品が増えてきましたので、何か違うことを、と考えたのがきっかけです。少年誌じゃ当たらないといわれてるSFにしたのも、まあ見た目はSFでもやってることはバトルファンタジーなのでどうにかなるかな?くらいの軽い気持ちです。

──ここでも“読者を驚かすこと”と“勢い”があったわけですね。SFを描くうえでこれまでの作品と勝手の違いはありますか?

機械を描くのはめんどくさいですね。あと、今まで全部魔法の力でごまかしてきた部分を物理的に考えるのが面倒ですね。あまり考えてませんが(笑)。

──真島先生は、ゲームはもちろんさまざまなエンタメに意欲的に触れられている印象があります。SFというジャンルを手がけるにあたって刺激を受けた作品はありましたか?

TVアニメ「EDENS ZERO」キービジュアル

ゲームだと「オーバーウォッチ」「スターオーシャン」、ほかには「スター・ウォーズ」「アベンジャーズ」あたりを参考にしてます。

──「スターオーシャン」を参考にしているというのが個人的にはすごくしっくりきました。あえて「SF(スペース・ファンタジー)」と謳っているのにもうなずけます。放送も、もうすぐそこまで来ていますが、4月からのTVアニメで期待することを教えてください。

アクションシーンですね。重力感やスピード感、あと、僕の作品では珍しいガンアクションなどもあるので楽しみにしています。

──アニメ放送を待つファンに一言コメントもいただけますか?

見たことのない世界を見に行きましょう! ドキドキワクワクの冒険活劇になる予定です。皆さんお楽しみに!