飛ぶ鳥を落とす勢いで確実にヒット作を生み出し、今や日本映画・ドラマ界に欠かすことのできない存在となった福田雄一。演劇でも脚本・演出として目覚ましい活躍を見せているが、本特集では映像作品を中心にそのキャリアを年表でたどる。
- 1968
7月12日、栃木県に生まれる。お笑い好きだった父親の影響もあり、小・中学生の頃から学校行事でオリジナルのコントを執筆・上演する才気煥発な少年だった。ゴルフに目覚めてから、10代はプロゴルファーの夢へと邁進する。
- 1990
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金銭面を理由にプロゴルファーの夢をあきらめる。大学ではかつて熱中したコントの記憶がよみがえり、小劇場ブームの波にも乗って演劇部へ。1990年、成城大学演劇部を母体に全作品の構成・演出を務める劇団ブラボーカンパニーを旗揚げする。当初よりコメディ色の強い作品を続々発表し、大学内の小劇場にて5年間で18本の公演を行う。
- 1995
劇団ブラボーカンパニーの活動を大学外部へ移し、独立公演を開始する。
劇団活動のかたわらで日本テレワークに入社するが、腰を痛め退社。それから吉本興業の銀座7丁目劇場に作家として入り、極楽とんぼやココリコといった芸人と親交を深める。その後、フリーの放送作家として独立。「笑っていいとも!」「SMAP×SMAP」「いきなり!黄金伝説」「ココリコミラクルタイプ」など人気バラエティ番組の構成を多数手がけることになる。
- 2002
放送作家として週10本以上のレギュラーを抱える忙しい最中、「ギンザの恋」で連続テレビドラマの脚本に初参加。「笑いのある喜劇」にこだわる福田は、ある演出家の助言でレギュラー仕事を絞る。その後、すぐにドラマの脚本依頼が舞い込んだ。
- 2005
島本和彦原作、羽住英一郎監督による「逆境ナイン」で初めて映画の脚本を手がけ、逆境に追い込まれた弱小野球部が、不屈の闘志で奇跡を起こすさまを描く。学生時代から島本のファンだった福田にとって念願の仕事だった。
石原まこちん原作のショートコメディ「THE 3名様」で監督デビュー。3人の若者が深夜のファミレスでひたすら“ダベる”脱力系の笑いが話題を呼び、オリジナルビデオ作品ながら、シリーズ累計で30万枚以上の売上を記録する。
- 2006
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のちに自身の手で映画化する「大洗にも星はふるなり」を恵比寿・エコー劇場で初演。島本和彦がチラシビジュアルを手がけた。同作は劇団ブラボーカンパニーの代表作となり、2009年に再演、2019年に再々演されている。
- 2008
堂本剛主演の連続ドラマ「33分探偵」の脚本・演出を担当。本編尺である33分の間、主人公が周囲にツッコまれながら見当違いの“ゆるい”推理を展開していく斬新な設定と笑いで着実にファンを増やす。
- 2009
山田孝之を主演に迎え「大洗にも星はふるなり」を映画化。長編映画の初監督を果たす。山田をはじめ、ムロツヨシ、佐藤二朗、安田顕といったのちの福田組、常連俳優たちが顔をそろえた。
- 2011
ドラマ「勇者ヨシヒコと魔王の城」を発表。“予算の少ない冒険活劇”と銘打った本作で、福田はその鋭い着眼点を生かし、バカバカしいことを本気で描くギャグセンス、そして俳優たちの新たな一面を引き出すスタイルを確立する。2012年には第2作「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」、2016年に第3作「勇者ヨシヒコと導かれし七人」が制作された。
- 2013
3月から6月にかけて「コドモ警察」「HK 変態仮面」「俺はまだ本気出してないだけ」と脚本・監督を担当した劇場用映画が立て続けに公開。一躍、売れっ子の映画監督に。2016年には続編「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」も発表している。
- 2014
「新解釈・三國志」とコンセプトが重なるドラマ「新解釈・日本史」の監督・脚本を担当。ムロツヨシを織田信長、フランシスコ・ザビエル、宮本武蔵といった偉人役に起用し、日本の歴史的瞬間を1話完結のシチュエーションコメディに仕立てた。
同年にはドラマ「アオイホノオ」、映画「薔薇色のブー子」「女子ーズ」も発表。
- 2017
ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」、映画「銀魂」「斉木楠雄のΨ難」を手がける。藤子・F・不二雄によるSFマンガ、週刊少年ジャンプ連載の人気ギャグマンガを次々と福田流に実写化。中でも「銀魂」は2017年に公開された実写の日本映画で興行収入1位の大ヒットを記録した。
- 2018
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賀来賢人を主演に迎え、西森博之によるマンガ「今日から俺は!!」をドラマ化。現代では新鮮に映る1980年代ヤンキーの“ツッパリ”描写や、キャスト陣の自由でコミカルな演技がお茶の間の人気に。福田は同作で東京ドラマアウォード2019の演出賞を受賞している。
同年には映画「50回目のファーストキス」「銀魂2 掟は破るためにこそある」、ドラマ「聖☆おにいさん」を発表。
- 2020
高畑充希と山﨑賢人を主演に迎え、マンガ「ヲタクに恋は難しい」を実写映画化。原作にはない歌って踊るシーンを盛り込んだミュージカルとして、福田流に換骨奪胎してみせた。
7月に封切られた「今日から俺は!!劇場版」は、コロナ禍で苦戦していた国内興行を牽引する大ヒット。この年の実写映画でナンバーワンの成績を打ち立てる。さらに娘を溺愛するあまり同じ大学に入学する父親を描いたオリジナルの連続ドラマ「親バカ青春白書」も発表。ムロツヨシと永野芽郁が父娘で同級生という驚きのキャスティングが話題を呼ぶ。
「新解釈・三國志」は、12月の封切り前に韓国、台湾、香港での海外配給が決定。国内では興行収入40億円を記録し、2020年公開の実写映画としては「今日から俺は!!劇場版」とワンツーフィニッシュ。この年に手がけた3本の映画で累計興行収入107億円という成績を残した。