「ドラゴンボール」の孫悟空みたいなイメージだったんですが…(富樫)
──富樫さんは、最初に緋道蓮についてどんな説明を受けましたか。
富樫 ひたすら強さを求める剣士とだけ教えていただいていたので、性格まではわかりませんでした。それと、賢人くんが大好きだということも聞いていました。自分の中では、「ドラゴンボール」の孫悟空みたいなイメージかと思ってキャラクターを作っていったんですけど、本読みのときに上堀内監督からけっこう指導を受けて。監督のお話を聞きながら作っていったのが、今の蓮になっています。
山口 あの本読みはけっこう大変だったよね。
青木 うん、苦戦してた。
富樫 すみませんでした、本当に。
──「仮面ライダーセイバー」メインキャストの皆さんの中で、富樫さんが一番、役とご自身の差が大きいのかなと思ったのですが。
富樫 そうですね……でも皆さんも大きいんじゃないですか?
青木 いや、けっこう似てる節があるよ、ところどころ。富樫くんは差が大きいよね。
山口 そもそも絶対「マジないわ!」とか言わないでしょ!
富樫 そうですね(笑)。
青木 蓮は強さを追い求めて危うくなっていきそうな予感がしちゃうんですよね。俺、怖い。
山口 うん。本当にそう。どっちにでも染まれちゃいそうで……。
──皆さん父親のような目線で蓮の心配をされているんですね(笑)。
生島 ははは(笑)。今後放送されるテレビシリーズ第13章で、富樫くんの役者としての一大チャレンジとなるシーンがあったんですよ。富樫くんはその脚本が上がってきたときから「どうしたらいいんですか」ってみんなに相談していて。でもそれを、自らの力できちんと乗り越えたんですよね。
青木 あれは本当に、見ているこっちがしびれましたよね。
富樫 違うんです、違うんです。もと(の実力)がもう、低かったので。本当に低かったので! ちょっと毛生やしたくらいですよ。
山口 いや、毛が生えたくらいじゃなかったけどなあ。
生島 ボーボーでしたよ!!
一同 (笑)
青木 やめましょう、なんか表現が汚いですよ(笑)。
生島 でも本当にそのシーンは「仮面ライダーセイバー」としても大切な場面で。前後の芝居をしたことでみんなの一体感がめちゃくちゃ高まりました。初めてと言っていいくらい、全員が芝居で同じ方向を向いて、真剣に向き合った瞬間だったんです。終わったあとはそれぞれすっきりした顔をしていたし、普段とはちょっと違うアドレナリンが出ていました。
岡 ある種の節目になるようなシーンでしたね。
富樫 (照れて)本っ当にやめてください……!
一同 (笑)
賢人は必死にクールを装っているんだと思う(青木)
──「仮面ライダーセイバー」は多人数ライダー作品ということもあり、それぞれの個性を引き立てていくことが必要になりますよね。各キャラの大事にしている部分を教えてください。
山口 僕は第1章の段階から、どうすれば倫太郎の個性を最大限引き出せるかをずっと考えてきました。倫太郎は、ソードオブロゴスで指示を出すリーダー的なポジションでありながら、普段の生活では(須藤)芽依ちゃんに振り回されている。そのギャップを目立たせたかったので、しっかり戦うところは真面目にやって、「エクレアが!」みたいなところは思い切りふざけるように、温度差を意識しています。
──第6章で倫太郎がズオスに敗れたシーンは、真に迫るものがありましたね。
山口 本当ですか、ありがとうございます(照笑)。このメンバーの中で、僕が一番最初に芝居の面での試練が訪れたんです。台本を読んだときは、これを伝えるにはどう演じたらいいのかすごく悩みました。でも富樫くんと僕は、かみほり(上堀内)監督から「いろいろ考えすぎだ」と言われたんです。「台本を読んで細かい動きを決めるのは演出部だから。君たちにはとにかく感情を出してほしい」と言われたとき、もう考えすぎるのはやめようと思いました。ただ感情を爆発させることだけを意識したら、皆さんに「いいシーンだった」と言っていただけました!
青木 賢人は、みんなからクールキャラだと言われるので、なぜ彼がクールになったのかを考えようと思いました。賢人は自分の父親がソードオブロゴスを裏切ったことに対しての劣等感や責任感を感じているんですが、それを周りに見せたくない。自分のせいでこんな事態に陥って、誰かがけがをしたり、戦線離脱したりすることに負い目があって、それを隠すために必死にクールを装っているんだと思うんです。尾上さんに「お前は親父のことを気にしすぎだ。お前だけじゃなく組織の問題だぞ」と言われても、賢人は全部背負って「これは僕1人でやります」と返すタイプ。僕も人に心配をかけたくなくて強がってしまう性格なので、そこは素を出せればいいかなと思って演じています。
──スピンオフのエピソードにも、賢人の背負い込みがちな性格がよく表れていますよね。
青木 はい。だいぶ背負い込んでますね(笑)。あと賢人がソードオブロゴスの剣士になったときのエピソードや、最初に雷鳴剣を手にしたときのことも描かれているので、じっくり観ていただきたいです。
生島 あそこは初々しい賢人が見られるもんね。
青木 そうなんです! 今のクールすぎる賢人とはちょっと違った初々しさがあります。声のトーンや表情にも注目していただきたいです。
生島 僕はこの「仮面ライダーセイバー」への出演が決まったときに、「愛だろ」って思ったんです。
岡 愛だろ……?
一同 (笑)
生島 1年間同じ作品に入るのは初めてだし、キャストやスタッフの皆さんにとにかく愛を持って接していこうと思っていて。あと、大好きな大杉漣さんの本を読んでいたら、漣さんは役と自分の境界線をなくしていくような役作りをしていたそうで。だから僕もこの1年間、尾上であり、生島亮……。あ、尾上亮であり、生島勇輝でした!
青木 もうしっかり境界線なくなってますよ!
一同 (笑)
富樫 僕は最初に役を作るうえで試行錯誤していたとき、生島さんに「どうしたらいいですか?」って相談したんです。そうしたら「まあ、風を感じてみたらいいんじゃない?」と言っていただいて。
一同 (笑)
富樫 そうなのかなあと思いながら石神井公園に行って、散歩してみたりしました。
青木 石神井の風は感じられた?
富樫 いや、あんまりなかったですね。
一同 (爆笑)
富樫 でも小さなことからなんでもやってみるべきだとアドバイスをいただいたおかげで、役がつかめてきたと思います。蓮はいつも笑っていて、みんなに分け隔てなく構ってもらっていますが、物語が進むにつれてシリアスなシーンも増えてきて。真剣になったときの表情やギャップを見ていただきたいなと思いながら演じています。
岡 僕の場合は、脚本家さんやプロデューサーさんが、大秦寺哲雄をはじめそれぞれのキャラが立つように作ってくださっているなと思っていて。だからキャラクターが背負っている背景とか、言動の裏の考えをしっかり脚本からくみ取れば、自然と個性も出てくるのかなと。僕が無理して大秦寺を操作するというよりも、大秦寺哲雄という男と仲良くなって、彼を深く知ることが重要。そうすれば大秦寺としてそこに立っていられると考えていますね。
見どころは、尾上がソフィア様を守るシーン(生島)
──では最後に改めて、スピンオフの見どころを一言でお願いします。
山口 今まで明かされることのなかった倫太郎の一面や、彼の指針を知ることができる作品になっています。テレビシリーズだけでなく、ぜひスピンオフも楽しんでいただけたらと思います。
青木 賢人の細かい表情の動きや、心持ちをじっくり見ていただけたらと思います!
生島 バスターのメイン回ではないんですが、尾上がソフィア様を守るシーンがあるんですよ。
富樫 俺の回です!
生島 仮面ライダー剣斬の回か。だから見どころは……そこですね。
一同 (笑)
富樫 もちろん蓮の元気のよさを見てほしいですし、強さとはなんなのかいろいろと悩んでいる姿にも注目していただきたいです。あとは尾上さんとソフィアさんのやり取りも見ていただきたいです。
生島 ありがとうございます!
岡 僕らの回ではどうして大秦寺哲雄という男が聖剣に固執するのかも描かれているので、彼の行動原理が語られるこの作品をぜひ見逃さないでほしいです。
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2020年12月4日更新