男前の栄子さんと、ちょっと女々しい大泉さん(笑)(緒川)
──大泉さんと小池さんのコンビについては、どんなふうにお感じになられましたか。
緒川 お二人ともお芝居がお上手で、笑いの「間」もわかっていらっしゃる方々ですが、コメディをやろうと構えるわけではなく、人間味あふれる演技から笑いが自然に発生する感じがいいなと思っていました。大泉さんも栄子さんも相手の持ち味をよくわかっていて、しかもそれを愛している。お互いを揶揄し合っていますが、仲がいいんです。
水川 お芝居以外のところでのお二人の雰囲気とかやり取りが、とても面白いじゃないですか。それがとことん役に生かされている感じがしました。
緒川 男前の栄子さんと、ちょっと女々しい大泉さん(笑)。
──(笑)。後半に女たちが集まるシーンがありますが、成島監督とのやり取りや、共演者同士のやり取りで思い出深いエピソードがあれば、お伺いしたいです。
木村 私、成島監督に「何考えてるかわからないふうにやってください」と言われて。「何考えてるかわからないふう」って、どんなだろう……?って。
水川 (笑)
緒川 でも確かに静江さんって、恐ろしい部分とふわっとしてかわいらしい部分が両方あって、何考えてるかわからなかったです。
木村 難しかったです。何考えてるかわからないお芝居って、あんまりやったことないから(笑)。私自身「静江が何を考えてるかわからない」という気持ちがあって……観てる人も私自身もわからない、ということが難しいなあって。
──そう考えると、怖いシーンですね。
水川 今思い出したんですけど、私、踊るシーンで転んだんですよね(笑)。練習もあったんですけど参加できなくて、ぶっつけ本番で夢中で踊ってたら芝生の中に石があって、転びました。小学生以来にひざに傷を作って、懐かしい気持ちになった記憶があります(笑)。
緒川 私はそのとき妊婦さんの設定だったので、こんなに激しく踊って、どこかから苦情が来ないだろうかって、気になってしまいました(笑)。
──KERA作品にも成島作品にも、“人間を描く”という点で一貫した強さがあると思います。改めて本作「グッドバイ」について、皆さんがお感じになっている一番の魅力を教えていただけますでしょうか。
水川 いろんな形で人生を豊かにしようとしている人たちが集まった面白い話なので……「生きてるだけで丸儲け」という言葉がありますけど、そういう映画だなっていう気がします。
木村 業を抱えながらも、男と女が希望に向かって生きているさまに心がほっこりするというか、励まされるというか。普通に楽しく笑って観ていただきたいなと思います。
緒川 登場人物はみんな欠点だらけなのに、責められず野放しにしてもらえる(笑)。そこに、この作品の優しさを感じますね。「こうあるべき」ではなくて「好きなように生きてください」と言ってもらえる映画です。