「『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話」渕上舞インタビュー|戦車・王道・絆の物語がくれた自信

ウサギさんチームのキャピキャピ感

──「劇場版」は舞台挨拶の回数がすごく多かったですね。

「ガールズ&パンツァー 劇場版」 ©GIRLS und PANZER Film Projekt

本当にいろんな場所に行かせていただきました。私が行っていない場所もチームに分かれてほかのキャストが各所に行きました。全員でものすごい数の劇場にお世話になりました。LINEで「ガルパン」のグループがあって、アルバム機能を使ってみんなが各地の写真を貼ってくれるんです。みんなの様子がわかって面白かったですし、仲が深まりました。

──印象に残る写真はありますか?

北海道に行ったウサギさんチーム(のキャスト)の写真が面白かったです。ウサギさんチームは1年生で劇中でキャピキャピしているんですけど、キャストもフレッシュな方々がやっていて私たちとちょっとノリが違うんです。写真からもはしゃいでいる感じが伝わって。その中でスタッフさんたちが雪の中に突っ込んでいるものもあって……何やっているんだろって思いましたね(笑)。

──チームと言えば、テレビアニメとOVAをまとめた「ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編」(11月11日配信開始)のナレーションを渕上さんたちあんこうチームの皆さんで担当されていますね。

渕上舞

総集編ですが、懐かしい!という感覚は全然なかったです。「ガルパン」はゲームやドラマCDの収録、イベントなどいろんな機会があっていつもそばにありましたし、テレビアニメを1話から最終話までじっくりと観ることはなかったですが、再放送などをチラチラ観ていたので。でも、キャスト5人で一緒に振り返るという機会はこれまでなかったので、収録の前後にみんなでおしゃべりできて楽しかったです。

「ガルパン」シリーズの魅力は戦車・王道・絆

──「ガルパン」シリーズの魅力を3つの言葉で表現していただけますか?

外せないのは戦車で、あとは王道。もう1つはなんだろう……絆ですね。

──かわいい女の子などを挙げられるのかなと思っていたので意外です。

「『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話」

女の子はみんなかわいいんですけど、かわいすぎないところがいいんですよね。髪の毛の色がカラフルだったり、すごいナイスバディだったりとかそういうキラキラ感がないところに、親しみやすさが生まれ魅力になっていると思います。だから女の子たちのかわいさも魅力だと思うんですが、それ以上にキャラクターたちが紡いでいく絆に心が温められるし、気になるポイントになっていると思うんですね。チームはもちろんですけど、姉妹であったり親子の絆も描かれていて。あと華さんと新三郎さんの関係はなんて言えばいいのかな……奉公?(笑)とか、さまざまな人たちがいろんな形の絆を結んでいるところが魅力かなと思います。

──挙げていただいた戦車ですが、「ガルパン」に関わられて5年ということもあり、詳しくなりましたか?

「『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話」

詳しくなりました!と自信を持っては言いづらいのですが、「ガルパン」が始まる前は知識ゼロだったのでそこから比べればかなり詳しくなりました。私の周りに詳しすぎる人が多いので、自分がすごい駄目みたいな感じに思えるんですが……まあ周りがおかしいだけで(笑)。こんな私でも世に出ると「さすが」と言われるんです。ほかの作品に出演した際、キャストの方が読み方を間違えているのに気付いて「ジュッシキじゃなくてヒトマルって読むんだよ」と声かけたり。あとゲームをするときとかは、IV号(戦車)はあんまり強くないからほかのに、とか考えますね。

──ご自身がIV号に乗っているのに(笑)。

みほたちのように扱いがうまければいいけど、そうじゃないと大変だから……ティーガーIIとかM4シャーマンとかに乗りたいんですよね(笑)。

──戦車に対する印象は変わりましたか?

身近なものになりました。関わる前はミリタリーの代表的なもので、物騒な印象があったんです。そういう側面がないわけではないですけどカッコいいなと思ったり、なんならかわいいと感じたり、新しい感情を抱くようになりましたね。あと「ガルパン」に携わっていると、乗ってみたい!という気持ちが膨らみます。

──では最後に王道について説明をお願いします。

渕上舞

「ガルパン」はストーリーの作り方が変に寄り道をしていなくて王道なんです。転校してきたできなさそうな子が実はすごくて、弱小チームを優勝まで導くという昔からあるオーソドックスな物語なので。「劇場版」で今までのライバルたちが助けてくれたりするのも王道ですよね。物語の大筋は珍しいものではないと思うんです。でもなぜその流れが珍しくないかと言うと、それが熱くて感動するからなんですよね。もちろん細かい描写までこだわった戦車がいっぱい出てきて、女の子たちのキャラクターはすごい魅力的です。でも王道な物語のおかげでそういう部分に関心がない人でも楽しめる。それが万人に受け入れられる理由なんじゃないかと思っています。

「ガルパン」が今の私の土台

──「ガルパン」を語るのに、舞台となった茨城県大洗町の存在は欠かせません。もともと大洗町のことはご存知でしたか?

「ガルパン」に関わるまでは知りませんでした。大洗町がある茨城県自体も行ったことがなくて。イベントなどでお邪魔するたびに、のどかでいい場所だなと思います。町の皆さんも本当に優しくしてくれるんです。お祭りのときでさえゆったりと時間が流れているように思えるのはあの町ならではです。「ガルパン」とは関係なく遊びに行きたくなります。

──渕上さんはイベントで何度も大洗町に訪れてますよね。

私が出た大洗でのイベントに来てくれたファンの方からTwitterで「明日は、ほかの場所で行われる渕上さんのイベントに参加する予定だったけど、大洗が楽しすぎてもう1泊することになり、イベントに行けなくなってしまいました」とメッセージが届いたこともありました(笑)。なんなの……(笑)と思いつつも、それだけみんなに愛されているんだと思うと、これからもそんな場所であればいいなと思います。まだ行ったことがない方もぜひ一度足を運んでみてほしいです。

──2012年放送のテレビアニメから向かい合っているみほですが、印象に変化はありましたか?

「『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話」

少なからずあります。みほもだいぶ動じなくなったなと思います。最初は右も左もわからず、友達もいなくて、どちらかというと1人でそっと生きていきたいと考えているようにさえ感じていたんです。でも今は西住みほとして自信を持って立っていると思いますし、車長としての振る舞いができている。彼女なりの成長があって、今はカッコよく見えます。テレビアニメ第1話のみほから見たら今のみほは憧れの存在のように映るんじゃないかな。

──「ガルパン」とともにあった5年間の歩みを振り返って得たものを教えてください。

私もみほと同じで、自信です。自分は自分でいいんだという自信が得られました。「ガルパン」は初めての主演作ということもあり、みんなが「まいまいが座長だから」とか言ってくれたんですけど、私はリーダーシップを取れるタイプでもないし、「みんな行くよ!」と引っぱっていくのも得意ではないんです。そんな中キャストのみんなやスタッフさんが、私が中心でいられる空気を作ってくれて、今は自然と中心にいられるようになりました。そのおかげで、よその現場でもワタワタせずに自分自身でいられるようになりました。それは「ガルパン」が私の土台になっているからだと思います。

──「最終章」が終わったタイミングでどんなものを得ていると思いますか?

渕上舞

終わったときかあ……私、何してるんでしょう? まだ先すぎるから何も想像できないけど、いろいろ妄想が膨らみますね。終わるときもみんなそろって変わらない姿でファンイベント「ハートフル・タンク・カーニバル・ファイナル」とかをやれたら幸せです。

──ちなみに「最終章」はいつ終わると思いますか?

最低5年はかかると思います! 今年が「ガルパン」の5周年で、10周年で終わったほうがきれいだから。あと5年で華やかにバシッと終わりたいです。

「ガールズ&パンツァー 最終章」第1話
2017年12月9日(土)より全国59館にて劇場上映
「ガールズ&パンツァー 最終章」第1話
解説
「ガールズ&パンツァー 劇場版」のその後を描く全6話のオリジナルストーリー。BC自由学園などが初登場し、大洗女子学園戦車道チームの新たな戦いの幕が上がる。
スタッフ / キャスト
  • 監督:水島努
  • 脚本:吉田玲子
  • キャスト:渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香、原由実、津田美波、安済知佳、佐倉綾音ほか
「ガールズ&パンツァー 劇場版」テレビ放送
  • KBS京都 2017年12月2日(土)19:00~
  • BS11 2017年12月2日(土)20:00~
  • TOKYO MX 2017年12月3日(日)19:00~
「ガールズ&パンツァー 劇場版」
Blu-ray / DVD
発売中 / バンダイビジュアル
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渕上舞(フチガミマイ)
5月28日生まれ、福岡県出身。2012年放送のテレビアニメ「ガールズ&パンツァー」で主人公の西住みほを演じ、第8回声優アワードでシナジー賞を獲得するなど高く評価される。その後「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」「ドキドキ!プリキュア」「暗殺教室」といったテレビアニメでメインキャラクターを演じる。2015年公開の「ガールズ&パンツァー 劇場版」で第25回日本映画批評家大賞アニメ部門新人声優賞を受賞。テレビアニメ「刀使ノ巫女」が2018年1月より放送される。