全6話構成で「無限軌道杯」に参加した大洗女子学園戦車道チームの戦いを描く「ガールズ&パンツァー 最終章」も、上映中の第3話でついに物語の折返しを迎えた。大洗女子学園を追い詰めた知波単学園の戦いぶりや、衝撃のラストシーンに心を掴まれたファンも多いのではないだろうか。
コミックナタリーでは、ファンと同じく第3話を語りたくてしょうがない「ガルパン」愛に溢れた著名人を迎え、全2回で特集を展開中。第2回となる今回は、吉本プラモデル部から部内で「ガルパン同好会」を結成するハイキングウォーキング・鈴木Q太郎とチャーリーいたがき、さらに部長の佐藤哲夫が、西住みほ役の渕上舞と第3話について語り合った。渕上も驚かされた考察など、“ガルパン大好き芸人”な3人のトークに注目だ。
取材・文 / はるのおと 撮影 / 星野耕作
アニメ以外にも楽しさが広がる「ガルパン」
佐藤哲夫 チャーリーは今日どうしたの、緊張してる?
チャーリーいたがき してます。
佐藤 彼は芸歴も若いし、歳も一番若いし。
鈴木Q太郎 さらに渕上さんがいらっしゃるので。
渕上舞 そんなそんな。今日はよろしくお願いします。
佐藤 お願いします。こんな感じなので、チャーリーの言葉は、記事では好きなように変えていただいていいですよ。
チャーリー ちゃんとしゃべりますって(笑)。
──それではまず、お三方の「ガルパン」を好きになったきっかけを教えてください。
チャーリー 僕は劇場版が公開された頃にやっていたTVシリーズの再放送からです。最初は「ほのぼのアニメかな」と思って流し見していましたが、すぐに「これめちゃくちゃスポ根じゃん!」と気付いてドハマリしました。
鈴木 同じ頃なんですけど、私はプラモデルから入りました。戦車のプラモデルの売り場で「この女の子が描かれてある戦車はなんなんだろう」と気になって。それからTVアニメを見始めたら、「もう、誰か早く教えてよ、面白いじゃねえか!」となりました。
佐藤 そんなQちゃんが「部長、やっと萌えの意味がわかりました」と言ってきて、僕は見始めました(笑)。だから最初は「萌え」というイメージが強くて正直僕は苦手なタイプかなと思っていました。でも観てみたら戦車の動きや音は迫力満点だし、戦略の面白さもある。話も「キャプテン」に通じるようなスポ根で、自分の偏見だったなと思わされました。
──鈴木さんのようにプラモデルから入られる方もいるんですね。
渕上 これまでお仕事でご一緒させて頂いた方の中にも、戦車をきっかけにアニメを見始めたらハマったという方がいらっしゃいました。
鈴木 そういう方も多いかもしれません。今日も「ガルパン」のプラモデルをお持ちしました。(鈴木が戦車のプラモデルを取り出す)
鈴木 私とチャーリーの2人でこれを作ったんですけど、その制作の様子を収めた動画をYouTubeにアップしています。
渕上 (展望塔から内部を覗き込む)すごい、ちゃんと中身も作ってますね。
──渕上さんもプラモデルは作られるんですか?
渕上 もともとは全然作らなかったんですけど、「ガルパン」でみほをやることになって彼女たちが乗るIV号戦車D型を初めて作りました。そのときに内部を作ったのに装甲で閉じ込めちゃうので「えー、見えなくなるじゃん」と驚いたのを覚えています。でもこうやって覗いたときに、何もないより何かあるほうがいいですよね。
佐藤 それもありますし、ロマンがあるんですよ。自分にしかわからないけど、装甲の中がちゃんとある、アニメをちゃんと再現したんだと思いながら見るとよりうれしいんです。
渕上 そういう喜びもあるんですね。
──そちらにあるのは?
佐藤 これは僕が作ったカチューシャとノンナです。ミリタリー感を出そうと、顔はちょっとリアルになっちゃってますけど。
鈴木 部長、やめてくださいよ!(笑)
渕上 (遠目で見て)これくらいから見るとちょうどいいと思います(笑)。
佐藤 リアクションが優しい!
──鈴木さんとチャーリーさんはYouTubeに投稿している動画でプラモデルを持って大洗まで行かれてましたよね。
佐藤 この2人はしょっちゅう大洗に行くんです。それで現地を楽しんで、プラモを作らずに帰ってきちゃう。
鈴木 町を歩いていると、ついつい時間が経ってしまいまして。あんこう鍋を食べたり、「劇場版」のあの神社の階段を下りるシーンをプラモで再現したりしているとすぐに夜が明けちゃう。
佐藤 演者さんから見て、こういうファンはどう見えるんですか?
渕上 うれしいですよ。作品にハマったファンの皆さんが、プラモデルや大洗といったアニメ以外にも楽しみを広げてくれて。
鈴木・チャーリー よかったです!
佐藤 「ガルパン」ファンって特にファン同士がすごい平和な雰囲気を感じます。
鈴木 聖グロリアーナのオレンジペコの誕生日のときに、僕がたまたま大洗にいたんです。そしてオレンジペコのパネルが置いてある飲食店にいたら、ファンの方が「今飲んでるんで、Qさんもよかったら来てください」なんて言ってくれて、一緒に飲んだこともありました。そんなふうに現地でも楽しませてもらっています。
ちょうちんアンコウ作戦は「普通にやってください」
──皆さんがガチファンだとわかったところで「最終章」第3話の話に移ります。本編の前に、今回は変わった形で行われたというアフレコについて伺いたいのですが……。
鈴木 はい。今回のアフレコはですね。
渕上 (笑)。
鈴木 あ、すみません。私たちはアフレコの話をしていた舞台挨拶をライブビューイングで観てたのでつい。
チャーリー はい。
渕上 えー! 恥ずかしい。
佐藤 そりゃあ2人もわかっているかしれないけど(笑)、このインタビューを読んでるファンの気持ち考えろよ! 「お前が答えるんかい!」ってなるでしょ!
──では改めて渕上さん、お願いします。
渕上 どこのスタジオでもそうですが、最近はコロナ禍のためブースに3人くらいしか入れないような状況なんです。でも幸い私たちあんこうチームは5人で一緒に録れました。私がいるブースに3人、同じビルの別のスタジオのブースに2人という配置で、配線をつなげて声だけが聞けるという状態でしたけど。
佐藤 へー! それって声優さん的にはどうなんですか? 我々漫才師だと、もし声だけ聞こえてても難しそうに思えるんですが。「もうちょっとボケ続けていいの?」とかアイコンタクトしたりすることもあるので。
渕上 確かに一緒の空間でやれたほうが空気感は伝わっていいとは思います。でも「ガルパン」は長くやっているおかげで誰がどうくるかという阿吽の呼吸みたいなものができあがっているので、今回はやりやすかったです。
佐藤 すごいっすね! 俺、相方が次に何を言うか全然わからないもん。
──パンクブーブーも長くやってるじゃないですか(笑)。
佐藤 27年目になりますけどね。
鈴木 極論を言うと、声だけで5人組の漫才をしてるようなもんでしょう。すごい。
佐藤 やっぱりプロフェッショナルだね。もう1つアフレコの話を聞きたいんですけど、「ガルパン」って臨場感ある戦闘シーンと人間性が見える日常シーンのバランスがいいじゃないですか。渕上さんは演じていてどちらが楽しいですか?
渕上 どちらかを選ぶのは難しいですね。戦闘シーンはキャラクターになりきって集中できるし、日常シーンはセリフや掛け合いも多く、楽しさの方向性が違うので。
佐藤 なるほど。
渕上 ただ試合中はセリフがほとんどないことも多いので、台本にト書きがあるとはいえ、私たちもできあがったものを観て「こうなってるんだな」「こういう作戦だったんだ」とわかることもあるんです。
佐藤 はー、“西住殿”もわかっていない状態でしゃべってることもあるんだ。でもそんなことを一切感じさせない堂々とした演技ですよね。
渕上 ありがとうございます。でも使い慣れない言葉が多い作品だし、みほはテキパキしたキャラクターなので、それこそTVシリーズの頃はけっこうディレクションを受けていました。「あなたが一番落ち着いてください」「一生懸命なのは伝わるけど、冷静さがないと誰も付いていかないから」って。
──「最終章」第3話ではどんなディレクションがありましたか?
渕上 今回はさっきのケースとは逆のディレクションがありました。ちょうちんアンコウ作戦のときにバシッと決めて言ったんですけど、「もっと普通にやってください」と言われて。
一同 (笑)。
チャーリー 確かにバシッという感じじゃなかったです。
佐藤 台本上は文字だけだから、「作戦」って書いてるとバシっと決めたくなりますよ。
渕上 それもあるし、みほにとっては自分の所属チームの名前が入った作戦名だから、あそこは決めどころだと思ってたんですけどね(笑)。
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「最終章」における福田の動き