轟がやっと少し“鬼邪高”という看板を感じ始めた
──先ほど、一番思い入れがあるのは「HiGH&LOW THE WORST」冒頭の、村山と轟のタイマンとおっしゃっていましたね。「最速プレミア試写会」の舞台挨拶で、あのシーンはアクションが100手もあって、かつ1日で撮影したとお話しされていましたが……(参照:「HiGH&LOW」村山VS轟のタイマンは“100手”、中務裕太が「雨宮兄弟は神」)。
普通なら撮影に2、3日かかるようなシーンを、夕方までに撮りきったんです。すさまじい現場でしたが、裕貴くんが相手なので楽しめました。アクション監督の大内貴仁さんはすごく凝った手を作ってくださるので、普通のアクションとは違う部分も多かったんです。普通なら、右を出したら次は左を出す。でも大内さんのアクションではそうとは限りません。例えばさっき見直したシーズン2のタイマンでも、左を出したあとにまた左を出していました。普段使わない筋肉を動かしたので、体力の消耗も激しくて。それでも今までにないアクションシーンになったので、チームの皆さんには感謝しかないですね。
──山田さんと演技のすり合わせをした部分はありますか?
お互いに示し合わせたわけではないのに、それぞれシーズン2を見返してから撮影に臨んでいました。たぶん僕と裕貴くんって、この作品に関しては事前に相談しないほうがいいんですよね。「THE MOVIE」での“でこぴん”シーンはさすがに相談してからやりましたが、シーズン2のタイマンでも特に芝居の打ち合わせはしていません。今回も世間話しかしていないです(笑)。
──カメラが回っているときは、それぞれが作り上げてきた村山と轟という役としてぶつかっていたんですね。
そうですね。ただ僕は、轟の内面をいちから作るようなことはしていないんです。普段から、自分の中に役の要素を探すことを心がけているので。
──では前田さんの中にある轟要素とは?
頭でっかちな思考回路は轟と近いです。轟って、勝手に自分の中で限界を作ってしまうところがあって。いいところまでいくのに、彼の闇の引力が強すぎて結局悪いほうに持っていかれちゃうんです。いじめられていたことも影響しているんですかね。だから僕、轟をやっていて本当に頭が痛いんですよ(笑)。
──シーズン2では、定時の頭になってから悩んでいた村山が、「強い相手を倒したい」と挑んでくる轟にかつての自分を重ねていました。今回の「HiGH&LOW THE WORST」では、実力的に全日のトップにいながらくすぶっている轟が、純粋に頂上を目指す花岡楓士雄と向き合うことになりますよね。そんな立場の変化についてはどうお考えですか?
今回のドラマ版で村山がリーダーとボスの違いについて話していましたが、轟はボスでしかないんです。でもこの映画では、轟がやっと少し鬼邪高の看板を感じ始めます。村山に負けて、自分の存在を示すためにどうしたらいいかわからなくなっていたこのタイミングで楓士雄に出会えたことを、轟は感謝していると思います。感謝を口に出すような人間ではないですけどね。
──そんな楓士雄役の川村壱馬さんと共演した感想も教えてください。
壱馬は芝居のセンスがとんでもないんです。正直、ちょっとムカつくくらいうらやましいです(笑)。こういうのって、会話した瞬間にわかるんですよ。何回も芝居経験を経ているのかなと思ったら、まだ映像での芝居が2本目だって聞いて……轟じゃないですけど、思わずぶん殴りたくなりましたよ、ふざけんなよ!!って(笑)。なおかつ彼は自己PRがすごくうまくて、頭がいい。これから壱馬がどんな役者になっていくのかすごく楽しみです。
──具体的にセンスを感じた部分というのは?
幼なじみメンバーの中で楓士雄がしゃべっているシーンは、映像を観ていて「うまいアドリブを入れているんだろうな」とわかりました。「ああ、わかった」「あ、それってさ」の自然な「あ」って脚本に書くのは不可能なので、ほぼアドリブだと思います。人によっては間を埋めるためのアドリブも無駄なセリフに聞こえてしまうんですが、壱馬は本来のセリフが生きるアドリブを言えるからすごい。でも、それができるからムカつくんです、本当に!(笑)
轟としての戦い方がこの形だったんです
──前田さんご自身は今回、アドリブを入れていますか?
僕、もともとあまりアドリブを入れるタイプじゃないんです。今回の轟は台本にも「……」という記述が多かったですし、周りに新キャラクターがたくさんいたので、轟ではなく彼らがしゃべらないと全日の色が出せないと思いました。それに全日生役のみんなが、定時の裕貴くんたちを見て「俺たちもアドリブ入れたほうがいいのかな」と悩んでいたとき、僕は「定時の人たちは緊張感を超えた上でのアドリブ。我々は今、緊張感を保ってやっと色がまとまりつつあるところだから、僕は入れないつもり」と言いました。アドリブを入れないことは“攻めていない”と取られるかもしれませんが、僕の中での轟としての戦い方がこの形だったんです。
──全日の色も意識されていたんですね。先ほど前田さんが、全日の轟一派としてシーズン2からご一緒されてきた鈴木昂秀さんと龍さんを「うちの辻と芝マン」と呼んでいたのも印象的でした。
THE RAMPAGE(from EXILE TRIBE)として一緒にやってきた壱馬や北ちゃん(吉野北人)が、「うちの昂秀と龍」って呼ぶならわかるんですけど、僕が言ったら何様だと思われちゃいますよね……でも言っちゃうんです!(笑) やっぱり僕の中で、龍と昂秀の存在は大きいんですよ。両脇にいてくれる2人の存在があったからこそ、轟に箔が付いたんじゃないかと思っています。
──撮影期間中は、キャスト間でなぞなぞが流行したと聞いたのですが……。
世代もバラバラなので、仲良くなるきっかけがほかになかったんですよ(笑)。僕、なぞなぞが大好きなので、ほかの現場でもよくやるんです。今回も「黒い犬と白い犬、吠えないのはどっち?」という問題を出したら、ほかの人も「じゃあ、俺のなぞなぞも聞いてもらっていいですか?」「次、俺もいいですか?」って言い出して、なぞなぞ大会になって(笑)。鳳仙と戦うシーンの休憩中、人数が多すぎて椅子がなかったので、みんなで輪になってしゃがんでなぞなぞを解いてました。
──バトルシーンからは想像もつかない、ほほえましい絵ですね。では最後に、本日名シーンを振り返ったことも踏まえ、「HiGH&LOW THE WORST」で轟のどんなところに注目してほしいかを教えてください。
轟のことを待ってくれていた人には、感謝の気持ちと、「THE MOVIE」以降空白の時間を作ってしまった申し訳なさを感じています。でもその時間が、今回のドラマと映画で完全に埋められました。それだけでなくこの映画では、轟の人格が変化する瞬間があるんです。轟洋介という男の成長を見届けたいと思ってくれる方がいるのであれば、この映画は絶対に観てほしいですね。
──ファンの方々にもぜひ、これまでの轟の戦いを復習してから映画に臨んでいただきたいですね。
そうなんです! 轟のことを好きでいてくださる方にこそ、高画質で観る楽しさに気付いていただきたい(笑)。Twitterで「轟洋介」と検索すると、今でもずっと轟についてつぶやいてくださっている方々がいるんです。そんな方に、僕が今日気付いたような細かいポイントまで観ていただけたらと思います。
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2019年10月4日更新