「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」玄田哲章インタビュー|奇跡に導かれ“戦友”たちが再び集結! 実写版海坊主?マフィア梶田も登場

努力は絶対に見せないで、やるときはやる男

海坊主

──軽薄だけど凄腕スイーパーの冴羽獠に対して、海坊主は強面だけど心優しく女性が苦手という一面を持ったキャラクターです。玄田さんは海坊主の持つ“男の美学”とは、どういったところだと思いますか?

やはり“やるときはやる”ところですね。人を守るときは完全に守るところ。海坊主は今目が見えない設定ですから、かなり聴覚も発達しているし、反応しやすいように陰ではいろいろ努力しているんじゃないかな。ただその努力は絶対に見せないで、やるときはやるという男だと思います。

──ご自身と海坊主に共通する部分はおありでしょうか。

(食い気味に)もうまったくないですよ。全然失格です(笑)。近付きたいなとは思いますけど、なかなかねえ……。でもだからこそ、この仕事を通して普段できないことができるという喜びがあるんです。あと、継続していくことは大事ですね。例えば僕は、3年前にシュワちゃんに会うことができましたけど、やり続けているとそれが自分のパワーになっていくんです。

──役柄からパワーをもらっているんですね。では、香、冴子、美樹といった「シティーハンター」の女性キャラクターの魅力はどこだと思いますか?

かわいい面と竹を割ったような面と両方持ってますよね。行動するときは男顔負けのキャラクターがそろっているところが、魅力なんじゃないかな。我々男側は手の平で遊んでもらっているような感じです(笑)。

「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」より、伊倉一恵演じる槇村香。 「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」より、一龍斎春水演じる野上冴子。 「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」より、小山茉美演じる美樹。

昔に戻ったような不思議な感覚

──今回の作品で、20年ぶりにキャストの皆さんとお会いになっていかがでしたか?

変わらない姿を見て安心したというのが一番ですね。みんないい歳になりましたけど、このメンバーで無事に再会できたというのが、これまた奇跡なんじゃないかと思います。戦友じゃないけど、よくみんな生き残ってきたなと。

──アフレコをしていて、テレビアニメ放送時のことを思い出したりはしましたか?

「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」

当時、香役の伊倉(一恵)くんが「シティーハンター」のオープニング曲やエンディング曲をダビングしてくれて、みんなに配っていたんですよ。そんなことを思い出しましたね。

──本作のアフレコ時には、キャストの皆さんとどのような会話をされたのでしょうか。

「変わらないね」って。ほんとにそうなんですよ(笑)。他愛もないことを話して、これからもやっていこうみたいな感じです。収録が終わったあと、スタッフもキャストもみんなで集まって飲んだんですよ。話した内容は覚えてないけど、昔に戻ったような不思議な感覚で楽しかった。

──映画では舞台が現代になっていますが、変わったところや、逆に変わらないところはどこでしょうか。

僕らのキャラクターはまったく変わらないですね。ただ、AIの話が出てきたり、敵がドローンなどで攻撃して来るので、時代に合わせた流れになっています。

「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」 「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」

──玄田さんご自身のことで変わったこと、変わらないことはありますか?

変わったことは、歳を取ったっていうことだね(笑)。あまり変わったように見えないよう努力してやっていますけど、こればっかりはね。でも、やっぱり仕事が好きなんですかね。仕事をしているときは歳を取ったことも忘れちゃいますから。

──最後に、当時から好きだったファンや、本作から「シティーハンター」に触れる観客へ向けたメッセージをお願いします。

まずは皆さんに、終わったら「楽しかった。スッキリしたな」という感覚を持ってほしいですね。「シティーハンター」を観たことがない方は、本作でそれぞれのキャラクターに興味を持っていただいて、もっともっと観たいという気持ちを誘発できたらうれしいです。ずっと応援してきてくれた方に関しては、期待を裏切らないような作品になっていると思うので、ぜひまた「シティーハンター」の新たな1ページが開けるように、これからも応援していただきたいなと思います。

「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」
2019年2月8日(金)全国公開
ストーリー

裏社会ナンバーワンの腕をもつシティーハンター冴羽獠と、彼の相棒・槇村香が営む事務所に、モデルの進藤亜衣からボディガードの依頼が舞い込んできた。一方、海坊主と美樹は傭兵が新宿に集結するという情報を入手するが、傭兵たちの狙いはなんと亜衣だった……。巨大な陰謀を前に、獠は亜衣と新宿を守りぬくことができるのか!

キャスト

冴羽獠:神谷明

槇村香:伊倉一恵

進藤亜衣:飯豊まりえ

御国真司:山寺宏一

野上冴子:一龍斎春水

海坊主:玄田哲章

美樹:小山茉美

ヴィンス・イングラード:大塚芳忠

コニータ:徳井義実(チュートリアル)

来生瞳・来生泪:戸田恵子

来生愛:坂本千夏

スタッフ

原作:北条司

総監督:こだま兼嗣

脚本:加藤陽一

チーフ演出:佐藤照雄、京極尚彦

キャラクターデザイン:高橋久美子・菱沼義仁

総作画監督:菱沼義仁

美術監督:加藤浩(ととにゃん)

色彩設計:久保木裕一

撮影監督:長田雄一郎

編集:今井大介(JAYFILM)

音楽:岩崎琢

音響監督:長崎行男

音響制作:AUDIO PLANNING U

アニメーション制作:サンライズ

配給:アニプレックス

玄田哲章(ゲンダテッショウ)
1948年5月20日生まれ、岡山県出身。野沢那智主宰の劇団薔薇座に入団後、1972年にテレビアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」で声優デビュー。主な出演作には、岩鬼正美役の「ドカベン」、スッパマン役の「Dr.スランプ アラレちゃん」、海坊主役の「シティーハンター」、戸愚呂弟役の「幽☆遊☆白書」などがある。またアーノルド・シュワルツェネッガーの吹替声優としても知られる。