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島崎藤村による同名小説をもとに、全国水平社創立100周年記念映画として製作された本作。被差別部落出身で亡き父から出自を隠し通すよう戒めを受けた小学校教師・瀬川丑松(せがわうしまつ)が苦悩するさまが描かれる。丑松を間宮、丑松が思いを寄せる士族出身の志保を石井、丑松の同僚教師であり友人の銀之助を矢本が演じた。
前田はまず「間宮さん、美しかったでしょう。石井さん、毅然としてかっこよかったんじゃないですか? 矢本さん、泣かせてくれましたよね」とキャストをたたえ、会場からは大きな拍手が起こる。MCから「丑松という役はどんな存在か」と尋ねられた間宮は「とても大事な役であり、彼が抱えているものから来る重圧を感じました。でもインタビューで都度言っている通り、シンプルに本作をいい映画だと思える喜びがあります」と回答。石井は「インタビューや舞台挨拶などで間宮さんが話されているのを聞いて、いろんな思いを背負ってここに立っているんだなと感じました。たくさん考えて演じていたと知り、私も『破戒』への愛が深まりました」と述べた。
丑松が生徒と向き合う重要なシーンで、矢本は思わず泣いてしまったそう。MCに水を向けられた矢本は「そのとき僕は現場には入らず、外のベンチにいたんです。彼らだけの撮影が終わって、銀之助サイドにカメラが向けられるときにスタジオ入りしました。生徒たちと祥太朗が、僕がリアクションをしやすいようにもう一度そのお芝居をしてくれたんですが、その空気感すべてがよくて、思わず泣いちゃったね」と間宮のほうへ視線を送る。対する間宮は「あれはうれしかった。1日かけてあのシーンを撮影して、朝から生徒たちと向き合っていました。丑松と銀之助、自分と悠馬との関係性も相まって、(矢本パートの撮影用に)お付き合いでやるということではなかった。しっかりこちらの芝居も受けてほしいなと思っていました」と振り返った。
石井は所作に苦労したと述べ、「寺の娘という役だったので、丁寧に動かなければいけなくて。正座をずっとしたり正座から爪先で立ち上がったりと、使ったことのない筋肉を動かしたので、夜には筋肉痛になっていました」と回想。また矢本は明治時代風のセリフに不安を覚えていたと言うも、「現場に入ってみたら逆に楽しめました。台本のセリフを言いやすく変えるのではなく、そのままやったほうが作品にもフィットしていくのかなと。僕自身はアドリブの多い俳優ですが、今回は真面目にやりました」と述懐した。また現場では雨に悩まされたそうで、ラストシーンは7回目の挑戦でやっと撮影できたとキャスト陣や前田が語り合う一幕もあった。
最後の挨拶で、前田は「島崎藤村が原作を書いて100年以上経ち、市川崑監督の映画から60年経ち、それでもまだ部落差別はなくなっていない。ただ、希望を持って生きていけば、うつむかないで歩いていける。今日をうつむかずに歩いていければ明るい未来が待っている。そういう、希望の映画です」と説明。間宮も「来場された1人ひとりの人生において、正しいこと、間違っていることの認識はそれぞれまったく違うと思います」「この映画を観たときに自分の過去現在未来、周りのいる人たちに対して何を思うのか。それはここに来てくださった人々の数だけあるはずですが、この作品がきっかけになればいいと思っています」と話して、イベントの幕を引いた。
「破戒」は全国で公開中。
間宮祥太朗の映画作品
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First-day event of new movie "Hakai" at Marunouchi TOEI on 8 Jul 2022 - Mamiya Shotaro, Ishii Anna & Yamoto Yuuma
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