コミックナタリー PowerPush - 「美少女戦士セーラームーン」-Petite Étrangère-

セラミューが目指すは世界進出!平光琢也(脚本・演出)、佐橋俊彦(音楽)、小佐野文雄(原作担当編集)のDVDリリース記念座談会

武内直子原作による「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』 -La Reconquista-」のDVDがリリースされた。昨年8年ぶりに復活を果たした新生“セラミュー”はオール女性キャストで上演され、宝塚元男役の大和悠河をタキシード仮面役に起用。これまでとはひと味違う演出で話題を集めている。

コミックナタリーはセラミューの歴史と魅力に迫るべく、初代セラミューと新生セラミューに携わる脚本・演出の平光琢也、ミュージカル「テニスの王子様」などでも知られる音楽の佐橋俊彦、そして原作担当編集の小佐野文雄と、キーパ—ソンとなるスタッフの座談会をセッティング。今夏上演される新作「『美少女戦士セーラームーン』-Petite Étrangère-」の裏話も聞かせてもらった。

取材・文/岸野恵加 インタビュー撮影/小坂茂雄

 
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1年中セーラームーン漬け、っていう生活が4、5年続いた(平光)

──まずは通算800公演以上を数える、セラミューのこれまでを振り返ってみたいと思います。アニメ放送開始の1年後、1993年から上演が始まったんですよね。

写真左より佐橋俊彦、平光琢也、小佐野文雄。

小佐野文雄 ある日会社に行ったら、上司から突然「(なかよしに載せる)ミュージカルの予告ページを作れ」って言われて、いきなり舞台化が決まっていたような記憶があります(笑)。数年前に青山円形劇場で「聖闘士星矢」のミュージカルがやっていて、「セーラームーン」でも同じことができるんじゃないかというところからですね。

佐橋俊彦 その「聖闘士星矢」に僕は関わってたんですよ。忙しかったこともあって、当時セラミューが上演されてた記憶って全然ないんですよね。

平光琢也 僕は大山アンザさんが初代セーラームーンを演じていた時代を最後までやらせてもらったんだけど、一番最初の公演(「外伝 ダーク・キングダム復活篇」)だけは関わってないのね。それで次回作から参加すると決まったときに、初演を観客として観に行ったんです。正直キャラクターショーに近いのかなと思ってたら、本格的なミュージカルを作ろうという作り手の気合いを感じて、まあ驚きましてね。小坂(明子)さんの楽曲もすばらしくて、打ち込みじゃなくちゃんと生演奏した音だったり。そこで「デカい仕事なんだな」と気合いが入ったことを覚えてます。

──当時は春、夏、冬と年3回公演が行われていましたね。

平光 しかも毎回ほぼ新作なんですよ。プロデューサーからその都度ストーリーを変えろと言われて(笑)。だから1年中セーラームーン漬け、っていう生活が4、5年続きました。娘が幼稚園のときに父兄参観に行ったら、みんなが自分のお父さんの絵を描いてる中で、うちの娘の絵にだけセーラームーンが描いてあったことがありましたね。「私のお父さんはセーラームーンやってます」って文章付きで(笑)。

佐橋 確かに、文としては間違ってないですけどね(笑)。

平光 カバンの中にセーラームーンの単行本詰め込んでたのを、山手線でぶちまけたことがあるのもよく覚えてますよ(笑)。そんな日常だったから、初代の卒業公演(「永遠伝説 【改訂版】」)はやっぱり感動しました。アンザさんをはじめ、キャストもみんな朝から晩までセラミュー1色でしたからね。僕の中ではセラミューはあそこで1回やり切ったという気持ちだったんですよ。まさかこうしてまた関わる日が来るとは不思議なものです。

女性の深層心理が深く描かれていてびっくり(佐橋)

佐橋 僕はさっき言ったように当時の「セーラームーン」をリアルタイムで知らないんですが、今回音楽をやることになってアニメや昔のミュージカルを観て、こんなにドロドロしてるんだとびっくりしました。「プリキュア」とかだともう少しキラキラしてると思うんだけど、「セーラームーン」は女性の深層心理がとても深く描かれていて。

平光 男と女の話とか、女性のサガがしっかり描かれてますでしょ。メインテーマの「La Soldier」も大人っぽい歌詞でしたねえ。最初はもちろん子供とお母さんの組み合わせが客層のメインだったんだけど、だんだん子供が付いてこれなくなってたみたいですね。怖くて泣き出しちゃったり(笑)。だいたい母親がハマって、「私最後まで観てるから、お父さんこの子連れて帰っといて」ってなる。

佐橋 ははは(笑)。

平光琢也

平光 回を重ねるごとに、前列4列目くらいまでがアニメから流れてきたオタクの男の子で埋まるようになって、不思議な客層になってましたね。いま新生セラミューに来てくれてる人の7割くらいは、当時母親と一緒に来たことがある人たち。親に連れられて来てた子が、大人になって自分のお金で足を運んでくれるってすごいことですよね。しかも普通は昔を懐かしんで終わりそうなものだと思うけど、まっさらな気持ちで楽しんでるんです。グッズとかも真剣に欲しがってくれて。

佐橋 僕や平光さんが若い頃は、男は男らしく女は女らしく、みたいなのがやっぱりきちんとあったけど、今は男女がフラットになってきていて、「セーラームーン」みたいな作品がまた受け入れられる土壌があるのかもしれないですね。

平光 セーラー戦士って美しいけど、弱いし、もろいし、大泣きする。そして泣いたあとに、誰かを守りたくて強くなる。そういうところが今の価値観にちょうどフィットして、女性を惹きつけるのかもしれない。それはやっぱり武内先生の原作の力だと思うんです。

──昨年の「-La Reconquista-」は原作に準拠したストーリー展開でしたね。これまでのセラミューといえば、オリジナル要素も多く盛り込まれていましたが。

平光 江戸時代にワープしたりね(笑)。あれもやりたい、これもやりたいって台本会議でいろんな人がアイデアを出して、ワーッと山積みになった要素を整理してたから、大変だった記憶がありますよ。今回は原作を準拠してシンプルに書いてるので、昔より僕自身の作品として責任を持てる気はしていますね。

小佐野文雄

小佐野 今年の「-Petite Étrangère-」も原作に沿っています。でも武内先生としては、もともと「ミュージカルは自由にやってほしい」って思ってらっしゃるところがあるんです。

平光 あっ、そうですか(笑)。当時から先生は何もおっしゃらなかったですね。一緒に楽しんでいただいて。

小佐野 まだ(新生セラミューは)戦士が出揃ってないので、オリジナルをやるのはそれからかなと思いますけど。

平光 これは個人的な思いなんですけど、原作に沿って作ると5作ミュージカルができるので、それは作り切りたいなと思ってますね。それからオリジナルを出して、代々受け継がれる「セラミューとはこういうもの」っていう形を確立していきたいです。

ミュージカルDVD「美少女戦士セーラームーン」-La Reconquista- / 2014年7月9日発売 / [DVD2枚組] 8424円 / EVIL LINE RECORDS / KIBM-446~7 / 本編約124分+特典映像約60分 / フルカラー28ページブックレット
ミュージカルDVD「美少女戦士セーラームーン」-La Reconquista-

(c)武内直子・PNP/講談社・ネルケプランニング・ドワンゴ

特典映像DISC

ももいろクローバーZ「ムーンライト伝説」(カーテンコール)/ももいろクローバーZ日替わり恋愛お悩み解決アプリ「わたしはアナタのキューピッド」/バックステージ映像/イベント出演映像/など

キャスト

大久保聡美(セーラームーン/月野うさぎ)
松浦 雅(セーラーマーキュリー/水野亜美)
七木奏音(セーラーマーズ/火野レイ)
高橋ユウ(セーラージュピター/木野まこと)
坂田しおり(セーラーヴィーナス/愛野美奈子)

大和悠河(タキシード仮面/地場衛)

原作:武内直子(講談社刊)
脚本・演出:平光琢也
音楽:佐橋俊彦
制作:ネルケプランニング

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Petite Étrangère-
ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Petite Étrangère-

(c)武内直子・PNP/講談社・ネルケプランニング・ドワンゴ

東京公演:2014年8月21日(木)~2014年8月31日(日)AiiA Theater Tokyo
大阪公演:2014年9月5日(金)~2014年9月7日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

キャスト

大久保聡美(セーラームーン/月野うさぎ)
小山百代(セーラーマーキュリー/水野亜美)
七木奏音(セーラーマーズ/火野レイ)
高橋ユウ(セーラージュピター/木野まこと)
坂田しおり(セーラーヴィーナス/愛野美奈子)

大和悠河(タキシード仮面/地場衛)ほか

原作:武内直子(講談社刊)
脚本・演出:平光琢也
音楽:佐橋俊彦

平光琢也(ヒラミツタクヤ)

演劇集団「円」所属の脚本家・演出家。1983年に結成されたコメディグループ「怪物ランド」のメンバーとして全作品の脚本・演出を担当。ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」をはじめ、数々のアニメミュージカルの演出を手掛ける。また、アニメ音響監督として、多数の作品を演出。主な舞台演出作品に、ミュージカル「HUNTER×HUNTER」、ロックミュージカル「BLEACH」、モーニング娘。「江戸っ娘。忠臣蔵」、演劇集団 円「ファウスト」(橋爪功主演)、「リチャード三世」「マクベス」「オセロー」(金田明夫主演)ほか。

佐橋俊彦(サハシトシヒコ)

1986年東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。1988年、CBSソニー主催「ニューアーティスト・オーディション1988」で、最優秀アーティスト賞、及びクリスティンリード賞受賞。東京ディズニーランド5周年目よりパーク内におけるショー(キャッスルショー、スターライトファンタジーなど)の音楽を担当。94年アジア大会オープニングイベント音楽担当。NHK紅白歌合戦のオープニング曲を91年から94年まで4年連続で作曲し、99年郵政省簡易保険局NHK制定の「みんなの体操」を作曲する。現在では、映画、テレビドラマ、アニメ、オリジナルミュージカルなどの音楽を担当し、クラシックからロックまで、幅広い作曲家として活躍中。

小佐野文雄(オサノフミオ)

武内直子氏編集担当。通称おさぶ。1986年講談社入社。なかよし編集部、週刊少年マガジン編集部を経て現在月刊少年ライバル編集部に在籍。セーラームーン20周年プロジェクトにも参加中。担当作品は、「きんぎょ注意報!」「コードネームはセーラーV」「美少女戦士セーラームーン」「カメレオン」「娘。物語」「地獄少女」「モンスターハンターオラージュ」など。