目指すは世界です（小佐野）

佐橋　でもそれがいいんじゃないですかね、オリジナリティという点では。やっぱり世界に持って行くとなると、そういうものがないとダメだと思う。

──セラミューは世界進出も視野に入れてるんですか？

小佐野　はい、目指すは世界です。

佐橋　僕もいろんなミュージカルに関わってきましたけど、どうしても輸入されたものがいいミュージカルっていう風潮があるじゃないですか。

平光　日本の場合はなかなかね。

佐橋　それは作曲家としては残念に思うんですよ。じゃあ何を日本のミュージカルとして世界に持っていくのかと考えたときに、アニメとミュージカルってもともと相性がいいんですよね。例えばディズニーアニメってほとんどミュージカルじゃないですか。なので、せっかく日本にはアニメやマンガという強いコンテンツがあるんだから、きちんとやればいいって「聖闘士星矢」の頃から思ってたんです。

平光　2.5次元ミュージカルっていう言葉自体、ようやく最近広がってきた感じですね。

佐橋　僕あれ、勘違いして「2.5時間ミュージカル」かと思ってました。2時間半で終わるミュージカルなのかと（笑）。

平光　はははは（笑）。

佐橋　まあそれは冗談として。海外に版権払って日本人が外国人を演じるって、ずっともったいないなと思ってたんです。歌詞も日本語に直すから、不自然なことになってる作品が割とあって。やっぱり日本で作ったものをみんなで楽しんでもらいたい、っていうことを考えてました。

平光　日本のマンガやアニメのクオリティは世界で認められてますからね。原作が背負ってるテーマも暗くて重かったりして、軽薄なイメージもないから演劇にしやすいし、海外では日本以上に評価される可能性があると思います。去年のセラミューも、外国人のお客さんがわざわざ国外からかなり観に来ましたね。コスプレまでして。同時配信をニコニコ動画でしたときも、コメント欄にいろんな言語が飛び交ってました。市場調査すると世界でのアニメ人気は「セーラームーン」がダントツらしいです。だからやっぱり日本のミュージカルの輸出という意味では、フラッグシップとしてこの作品ががんばらなきゃいけないという気持ちはあります。

使命感を持ってやっている（平光）

佐橋　本当に、日本のミュージカルの未来が懸かってるぐらいのつもりです。もちろん音楽的なクオリティも上げなければならないしね。

平光　演劇界からも「たかがアニメのミュージカル」なんて思われてるところもあると思うので、そのイメージを覆したいし、挑戦的な気持ちもありますね。僕としては昔のセラミューは楽しくやってただけだけど、今回は使命感を持って、何かを残さなきゃいけない覚悟でいます。

小佐野　海外公演を成功させることができたら、いつかは現地の俳優さんに演じてもらうのもいいかもしれないですね。やりたいことは山積みです。音楽CDも出したいですし。

佐橋　いいですね。大編成でパーッと録りましょう！ あとはライブコンサートもぜひ。

平光　生バンドがいいですね。まずはこの夏の「-Petite Étrangère-」をしっかりと、ですけど。

小佐野　去年のミュージカルをDVDで復習して感動を新たにしてから、ぜひ劇場に足を運んでほしいですね。アニメでいうと「セーラームーンR」にあたるこの第2章って、実はこれまでミュージカルになってなかったんですよ。アニメを追いかけてミュージカルがやっていた関係でいろいろ制約があって、すっぽり抜け落ちたところなんです。実は原作でもアニメでも一番人気があったエピソードなので、満を持してということで、我々スタッフとしてもとても新鮮だし楽しみにしています。