コミックナタリー Power Push - orange

土屋太鳳(菜穂役)&橋本光二郎監督インタビュー

6人の強い絆が、未来を変える

高野苺「orange」は、臆病な16歳の女子高生・高宮菜穂のもとに10年後の自分から手紙が届いたことをきっかけに、彼女が同級生を救うため奮闘していく青春SFラブストーリー。幅広い層からの支持を得て累計300万部を突破し、実写映画版の公開を12月12日に控えている。

コミックナタリーは映画「orange-オレンジ-」にて主人公・菜穂役を務めた土屋太鳳と、橋本光二郎監督にインタビューを実施。ドラマ・映画「鈴木先生」でもタッグを組んだ2人に、マンガを映像化することについてのこだわりや、「orange」という作品が持つ魅力、菜穂の役作りについてなどを語ってもらった。

取材 / 坂本恵 文 / 岸野恵加 撮影 / 石橋雅人

土屋太鳳&橋本光二郎監督インタビュー

儚さの正体を探る日々

──土屋さんは、映画への出演が決まる前から「orange」を読んでいたそうですね。

左から、土屋太鳳、橋本光二郎監督。

土屋太鳳 はい。高校生のときに部活の友人がすごく「orange」を好きで、薦められたのをきっかけに1巻を読みました。ちょうどその頃に、私の姉の幼馴染が17歳で亡くなってしまったんです。菜穂ちゃんたちは翔を失ったことでもう一度集まることができたわけですけど、姉の場合も、同級生の子に言われた「○○くんが亡くなったのはすごくつらい記憶だけど、でもみんなが繋がってるのは、○○くんのお陰かもね」って言葉がすごく印象に残ったみたいで。

──現実とマンガの内容が、ちょうどリンクしたような感覚に。

土屋 なりました。大切な人が亡くなってしまうことの重さを、すごく……改めて実感しました。

橋本光二郎 僕は初めて読んだのは3年くらい前ですかね。演出家として企画を考える中で、いろんな本やマンガを探すんですけど、特に前情報のない中で本屋さんを見ていて、フッと気になって手を伸ばしてしまうことがたまにあるんですね。「orange」もそうでした。

──単行本の表紙を見て、ピンときたと。

映画「orange-オレンジ-」より、土屋太鳳演じる菜穂。

橋本 そうですね。少女マンガというと恋愛の要素が強くなると思うんですけど、1巻を読んだときに、ただ恋愛だけではなくて、人を思うことの大切さだったり、友達のための思いの強さを感じて。未来から手紙が届くっていう設定も、だいたいそういうのって主人公にとっていいほうに働く場合が多いと思うんですけど、この作品では手紙を受け取ったことで、自分の人生と戦わなきゃいけなくなる。それで彼女自身が成長していくし、自分の思いをちゃんと伝えることで好きな人との距離が縮まっていって、友情もより深まっていくっていうのが、すごく素敵な話だと思いました。第10話の翔が放課後に菜穂と須和に初めて自分のつらい思いを打ち明けるシーンが好きで、読んでいて普通に泣いてしまいましたね。

──では映画化が決定して、携わることになったときの心境はいかがでしたか?

土屋 私を信じてくださったんだなあって思って、すごくうれしかったです。でもそれと同時に、すごく人気の作品なので心が引き締まる思いでした。今の自分じゃダメだな、と。

──ご自身のブログでも、菜穂を演じるのは難しい、と何度も書かれていましたね。

土屋 高校生のキラキラした部分の下に、すごく大事な重いテーマがあるので、それを私が表現しきれるのかなっていう不安はありました。でも信じてくださったからには伝えようと、全力で心を込めて演じさせていただきました。菜穂ちゃんの雰囲気って、儚さと優しさと、マシュマロみたいなほわほわした感じなので、私自身とは真逆なんです。

──確かに喋り方がすごくゆったりしていたり、土屋さんのこれまでの快活なイメージとは違う印象を受けました。

土屋太鳳

土屋 私自身の学生生活はあまりにも部活に力を入れていて、恋愛とは遠くなってしまっていたので、「切ないって何?」みたいな感じだったんです(笑)。原作をしっかり尊重したい気持ちがあったので、最初は外見から入るというか、雰囲気から埋めていこうと思っていました。でもリハーサルを何回かやらせていただいても、なんだか違う。菜穂ちゃんはなんで儚さがあるのかを考えたときに、やっぱり根っこにある部分をしっかりしないと、ただ原作の真似になってしまうな……と。儚さの正体を探る日々が続きました。

高野先生に会って、菜穂だなと思った

──1カ月強の撮影期間で、その正体は見つかりましたか?

「orange-オレンジ-」より、土屋太鳳演じる高宮菜穂と、山﨑賢人演じる成瀬翔。

土屋 監督に何回もお時間をいただいて話して……。翔と菜穂ちゃんって一見違うように見えて、鏡のような存在というか。「一緒に生きよう」って言葉があるんですけど、16歳だからこその真っ直ぐさというか、真っ直ぐな危うさみたいなものが、菜穂ちゃんの儚さに繋がっているのかな……と感じました。あとは撮影中に高野(苺)先生にお会いしたんですが、ちょうど菜穂ちゃんとしてどう生きていけばいいか悩んでいた時期で、「ああ、高野先生が菜穂だな」って。

──似ていらっしゃるということですか?

土屋 はい。仕草や雰囲気もですが、強い気持ち、芯があるところが菜穂だなあと。だから菜穂の笑い方も、高野先生の口に手を添える感じとか、ちょっと顔を横に傾けるようなところを、少し演技に取り入れてみたりもしました。

橋本光二郎監督

橋本 太鳳ちゃんが今まで演じてきた役はすごく芯のしっかりした女の子が多い中で、この菜穂っていう若干頼りない役を作っていくのに、最初はどうするのかなと僕も思ってました。でもその子が成長して強い女の子になっていく流れで、やっぱり太鳳ちゃんの素直さみたいなものがでてきたとは思います。さっき部活ばっかりで恋愛がうんぬんって言ってたのは、まあ本当かどうか知りませんけど。

土屋 本当のことですよ! ひどいー(笑)。

橋本 というのは冗談ですけど(笑)。普段女優さんと話していて色恋話を否定されると「またまた、何言ってるのー」みたいなことを言えるんだけど、太鳳ちゃんに言われると「本当にそうかもな」と思わせられるところはありますね。

土屋 あはは(笑)。

──監督も認めるほどの、恋愛には少し遠い部活少女だったんですね(笑)。

橋本 まあそういう、好きな子を前にして気持ちを言えない戸惑いって、別に女の子だけじゃなくて、男の子だって共通だと思うんです。好きだったら好きなだけ、余計に言えなくなっちゃうっていう。そういったことを太鳳ちゃんの菜穂が体現してくれていたと思います。

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映画「orange-オレンジ-」 2015年12月12日公開
映画「orange-オレンジ-」
  • 原作:高野苺
  • 監督:橋本光二郎
  • 音楽:大友良英
キャスト
  • 高宮菜穂:土屋太鳳
  • 成瀬翔:山﨑賢人
  • 須和弘人:竜星涼
  • 茅野貴子:山崎紘菜
  • 村坂あずさ:清水くるみ
  • 萩田朔:桜田通

©2015「orange」製作委員会
©高野苺/双葉社

土屋太鳳(ツチヤタオ)

1995年2月3日生まれ。東京都出身。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディションMISS PHOENIX審査員特別賞を受賞して芸能界デビュー。2015年、NHK連続テレビ小説「まれ」ヒロインに抜擢される。そのほか主な出演作に「トウキョウソナタ」「映画 鈴木先生」「るろうに剣心」シリーズ、「図書館戦争 THE LAST MISSION」など。

橋本光二郎(ハシモトコウジロウ)

1973年生まれ。東京都出身。日本映画学校卒業後、相米慎二監督、滝田洋二郎監督などに師事し、助監督として経験を積む。2010年に深夜ドラマ「BUNGO-日本文学シネマ-『富美子の足』」で監督デビューを果たす。2011年、ドラマ「鈴木先生」で日本民間放送連盟ドラマ部門最優秀賞、ギャラクシー賞などを河合勇人監督とともに獲得。そのほか連続ドラマ「スプラウト」「Piece」などを監督。「orange-オレンジ-」にて長編映画初監督としてメガホンをとる。