コミックナタリー Power Push - orange

土屋太鳳(菜穂役)&橋本光二郎監督インタビュー

6人の強い絆が、未来を変える

本当に死んじゃうんじゃないかって

──菜穂以外のキャラクターのビジュアルもそうですし、手紙の字体や細かいセリフなど、全体的にとにかく原作に忠実に作られている印象を受けました。特にどのあたりにこだわったんでしょうか。

映画「orange-オレンジ-」場面写真

橋本 一番は、この6人の友情、絆を本物にしたいというか。本当に仲良くなってほしいという話をしました。みんな上手いから、お芝居で友情を見せるのもできると思うんですけど、そうじゃないものが映像から滲み出ると思うから。そしたらみんな本当に仲良しになってくれて。

土屋 リハーサルで全員が揃ったときにトランプをやったり、楽しかったです。ふざけすぎて、前室(待機場所)で1回、「ちょっと静かにしろ!」って注意されたこともありました。

──本当に高校生みたいな怒られ方ですね(笑)。

土屋 あはは(笑)。

橋本 高校生通り越して、中学生か?みたいなときがたまにあるくらいでしたね。でも「仲良くしろ」と言っちゃった手前、あんまり注意しないようにはしてました(笑)。

土屋太鳳

土屋 1カ月っていう短い撮影期間で、菜穂ちゃんたちの世界と同じように仲良くなるっていうのはすごく難しいと感じていて。本読みが終わった時点から6人がそれぞれ、自分のキャラクターと関係性を意識しながら待ち時間を過ごしてました。撮影の前半は普通に実写版っていう感じで演じていたんですけど、後半からは目の前に本当にその子がいるような感覚が生まれて。(清水)くるみちゃんだったらアズだし、(山崎)紘菜ちゃんは貴ちゃんだし。だからすごく温かいのに、常に緊張感が必要な現場だった。みんなが本当に現実にいるように思えてきちゃうから、どんどん不安になっちゃって。翔もどんどん目が変わっていくし、本当に死んじゃうんじゃないかって……。

──役と深く同化してしまった。

土屋 そうですね。そのまま生きてる感じで、本当に危ないんじゃないか、って感覚になってきちゃいました。

エチュードから生まれた萩田のセリフ

──おふたりは「鈴木先生」でもタッグを組んでいましたね。撮影を進めていく中で、特に印象に残っているシーンはありますか?

土屋 萩田くんが仲間のことを信じる、という意味合いのセリフを言ってくれるシーンがあるんですが、本当にうれしかったです。私はあの場面の撮影に立ち合ってないから知らなかったんですけど、萩田くんの言葉を聞いて、本当によかったあ、って思って。友情の強さというか。6人が心を合わせることで未来を変えられるかもしれない、その友情の姿を見ていただきたいですね。

「orange-オレンジ-」より、山崎紘菜演じる茅野貴子、清水くるみ演じる村坂あずさ、桜田通演じる萩田朔。

橋本 あのセリフは、萩田が作ったんですよ。

土屋 えー!?

橋本 あ、知らなかった?

土屋 うそー! 知らなかったです。

橋本 萩田、アズ、貴子が、会議室でエチュード(役者が台本なしに即興で演じる稽古)をやったんですね。20分くらいストップ掛けずに延々と芝居をやっていく中で、(萩田役の桜田)通くんがすごくいいひと言を言って。そのセリフを、そのまま使わせてもらいました。

土屋 びっくりしました。

橋本光二郎監督

橋本 あそこはほぼそのエチュードの流れ通りなんです。 こんなにストレートな言葉ってないなと思ったので、使わせてもらいました。

土屋 通くんにはホントにすごく感謝をしてるんです。それぞれ仲良いけど、通くんが常に「ご飯行こうぜ」ってみんなを繋げてくれたし、撮影中に別のお仕事で東京に戻っちゃうときも、こまめに連絡をしてくれました。クライマックスの事故のシーンのときも「絶対に翔を救おうね」ってやり取りを何回かさせていただいて。あそこはすごく印象に残ってますね。あとみんなで円陣を組むシーン。何回もやらせていただいたんですけど、自分の感情がわかんなくなっちゃうこともあって。でも6人でいたから、自分の感情を最後まで絞ることができたと思っています。

「菜穂を生んでくれて、ありがとうございます」

──映画から作品を知って、これからマンガを読むという方もたくさんいらっしゃると思うんですが、最後にそうした方に「orange」の魅力をひと言いただいてもいいでしょうか。

左から、土屋太鳳、橋本光二郎監督。

橋本 若い子だけじゃなくてお父さんと娘さんとか、男同士でも楽しんでもらえる作品だと思います。それは映画だけじゃなくて、作品自体が大事なことをちゃんと伝えてる素晴らしいものだから。少女マンガという印象を持って読まず嫌いで止まってしまったり、映画も観ず嫌いになってしまう方がいるかもしれないですけど、より広い方々にこの作品に触れてほしいなと思います。

土屋 生きていくってすごく素晴らしいことだけど、大変なことだなとも感じていて。生きていくことに難しさを感じている方であったりとか、災害があってすごくつらい思いをしてる方だったり、この作品に共感する方ってすごく多いと思うんです。だからこそ「orange」を読んで、大切な人が目の前にいることのありがたさや友情を感じて、気持ちが温かくなったらいいなと思います。

──映画が完成した今、高野先生に何かひと言伝えるとしたらどんなことを言いたいですか?

土屋 「菜穂を生んでくれて、本当にありがとうございます」ですね。演じるというより生きるっていう感覚になれて、今を生きることの大切さをすごく実感できたので。素敵な作品に出会えて、本当に感謝の気持ちです。

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映画「orange-オレンジ-」 2015年12月12日公開
映画「orange-オレンジ-」
  • 原作:高野苺
  • 監督:橋本光二郎
  • 音楽:大友良英
キャスト
  • 高宮菜穂:土屋太鳳
  • 成瀬翔:山﨑賢人
  • 須和弘人:竜星涼
  • 茅野貴子:山崎紘菜
  • 村坂あずさ:清水くるみ
  • 萩田朔:桜田通

©2015「orange」製作委員会
©高野苺/双葉社

土屋太鳳(ツチヤタオ)

1995年2月3日生まれ。東京都出身。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディションMISS PHOENIX審査員特別賞を受賞して芸能界デビュー。2015年、NHK連続テレビ小説「まれ」ヒロインに抜擢される。そのほか主な出演作に「トウキョウソナタ」「映画 鈴木先生」「るろうに剣心」シリーズ、「図書館戦争 THE LAST MISSION」など。

橋本光二郎(ハシモトコウジロウ)

1973年生まれ。東京都出身。日本映画学校卒業後、相米慎二監督、滝田洋二郎監督などに師事し、助監督として経験を積む。2010年に深夜ドラマ「BUNGO-日本文学シネマ-『富美子の足』」で監督デビューを果たす。2011年、ドラマ「鈴木先生」で日本民間放送連盟ドラマ部門最優秀賞、ギャラクシー賞などを河合勇人監督とともに獲得。そのほか連続ドラマ「スプラウト」「Piece」などを監督。「orange-オレンジ-」にて長編映画初監督としてメガホンをとる。