コミックナタリー Power Push - なかよし60周年記念特集 でんぱ組.inc成瀬瑛美×女子マンガ研究家 小田真琴
少女に夢と希望を与え続けてきたなかよしの60年を復刻版で振り返る
歴史ある少女誌・少女クラブの妹分として、1954年に創刊された低学年向け少女誌・なかよしは、それまでは活字の読みものや絵物語が中心だった少女誌の世界で、初めてマンガをメインコンテンツとしてフィーチャーした先駆者。この頃の人気作品としては、1958年5月号と1959年6月号との表紙にも登場した、山田えいじのすれ違いメロドラマ「ペスよおをふれ」などがある。
東京オリンピックを経て、日本全体が高度経済成長を突き進んでいったこの時代。なかよしの表紙もみるみる華やかになる。赤松セツ子の「しあわせの星」は当時の人気連載で、「しあわせの星ブローチ」(1962年9月号)などの付録も作られていた。だがタイトルとは裏腹に、お話としては不幸もの。実母との別離、交通事故、記憶喪失、フランス、バレエなど、典型的な当時の少女マンガを構成する要素が本作には詰め込まれていた。
1975年に連載が開始された超人気作「キャンディ・キャンディ」は、なかよしの部数をぐぐっと160万部以上にまで押し上げた。ほかにもこの度復刻された「おはよう!スパンク」や原ちえこの諸作品などの人気連載が数多く生まれ、少女マンガの世界は名実ともに拡大していく。確固たる王道が形作られる一方で、この時代は大島弓子や萩尾望都らの24年組が注目された時代でもあった。
「少女マンガ」というとお目々キラキラの学園ラブコメ……というようなステレオタイプを思い浮かべる人が多いかと思うが、それはこの時代に形作られたもの。りぼん(集英社)と切磋琢磨する中で多数のヒット作を生み出して行く。「なな色マジック」が復刻されたあさぎり夕は当時の不動のエース。80年代半ばには現在も第一線で活躍するひうらさとるが登場。おしゃれでかわいいその世界は、多くの少女を魅了した。
なかよしが一気に攻勢に転じる。学園ものが強いりぼんとの差別化のためファンタジーものに注力した結果、1992年に連載がスタートした「美少女戦士セーラームーン」が大ヒット。一気に200万部を突破してりぼんを逆転した。今回復刊された「きんぎょ注意報!」や「ミラクル☆ガールズ」もアニメ化されるなどして人気を博し、CLAMPの諸作品とともに、「なかよし」の黄金時代を彩った。
第2のライバル・ちゃお(小学館)が台頭。三つ巴の競争の中で、さまざまな実験が繰り広げられることになる。この度復刊された「東京ミュウミュウ」や「だぁ! だぁ! だぁ!」はまだ記憶に新しいこの時代の代表作。一方では当時すでに人気作家であった安野モヨコが新時代の魔女っ娘マンガ「シュガシュガルーン」を連載するなど、これまでの枠にとらわれない作品が多数生まれた。
ラインナップ
遠山えま「青葉くんに聞きたいこと」「かみかみかえし」、山田デイジー「初恋はじめました。」、フクシマハルカ「伯爵さまは甘い夜がお好き」、鳥海ペドロ「黒豹と16歳」、美麻りん「嘘つき王子とニセモノ彼女」、星野リリィ「きぐるみ防衛隊」、松本ひで吉「さばげぶっ!」、瀬田ハルヒ「出口ゼロ」、中江みかよ「小学生のヒミツともだち」、桜沢きゆ「先パイ、教えてください」、桜倉メグ「探偵チームKZ事件ノート 消えた自転車は知っている」、吉田はるゆき「ピンポンドライブ」、渡辺留衣「FAIRY TAIL ブルー・ミストラル」、長谷垣なるみ「花と忍び」、あべゆりこ「わんころべえ」、ハタノヒヨコ「Stella~ナナと魔法の英単語~」、上北ふたご「GO!プリンセスプリキュア」
付録:香りクリーム&ジュエルケース、プレゼントメモ、なかよし×マイメロディ ラブシール
成瀬瑛美(ナルセエイミ)
6人組アイドルグループでんぱ組.incのイエロー担当。“ハイテンションA-POPガールえいたそ”の愛称で親しまれている。
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小田真琴(オダマコト)
1977年生まれ。少女マンガとお菓子をこよなく愛する女子マンガ研究家。自宅の6畳間にはIKEAで購入した本棚14棹が所狭しと並び、その8割が少女マンガで埋め尽くされている。