「四角い枠の表紙のマンガは自分の好きな作品がたくさんあるなー!」
──千歳さんがマンガ家を志したきっかけを教えてください。
小さい頃から絵を描くのが好きで、お話を考えるのが好きでした。小学生の頃、りぼん(集英社)やなかよし(講談社)を買ってもらっていて、たぶんその頃からマンガ家になりたいなと思っていたと思います。
──投稿先として花とゆめを選んだのはなぜでしょう?
ファンタジーが描きたかったので、それがたくさん載っている花とゆめを選びました。HMCという花とゆめのマンガ賞に投稿したのですが、基本投稿枚数が16ページと短かったことも大きいです。
──花とゆめも購読されていましたか?
雑誌は買ってなかったんですが、小学生の頃は特に「彼氏彼女の事情」の津田雅美先生と、「フルーツバスケット」の高屋奈月先生が大好きでした。当時はLaLaと花ゆめの区別もついていなくて、「四角い枠の表紙のマンガ(昔の花とゆめコミックスのデザイン)は自分の好きな作品がたくさんあるなー!」と漠然と思っていました。
──無意識に白泉社好きだったんですね(笑)。千歳さんの絵柄についてもお伺いしたいのですが、ご自身の絵で特徴のある部分はどこだと思いますか?
髪の毛を褒めていただけることが多いのですが、私自身髪の毛が一番描くのが楽しい箇所です。特徴……ありますでしょうか?
──とても丁寧に描かれていて、毛先にまで表情があるなと思います。ちなみに絵を描くのとお話を考えるのは、どちらがお好きでしょうか?
プロットが一番好きなので、お話を考えているときが一番楽しいです。ひとまずページ数などを気にせず、頭の中で考えたことをばーっと文字で書き出すタイプなので、プロットのときが一番開放感があって。
──想像の翼を目一杯広げるイメージですね! ただ、ネームに落とし込むとき大変そうです。
そうなんです。ページ数や流れの都合上、必要なところ以外は削ぎ落としていくので。そうなると「あそこも描きたかったな」とか「あの部分があったほうがより伝わったかも」と悩む回数が増えて、自分との戦いになります(笑)。
──あはは(笑)。これまでの活動の中で最もうれしかった出来事、逆にとてもつらかった出来事はなんでしょうか。
「マンガ読んでます」とか「好きです」と言ってもらえるのはいつもとてもうれしいです。つらいのはやっぱりネームがうまくいかないときです……。自分では面白いと思うけど、商業誌的には「あんまり」みたいな部分はやはり削ったり表現方法を変えなければいけないので、そういうときはとてもつらいです。
自分が嘘だと思う価値観や言葉は、できれば描きたくない
──千歳さんは「花ゆめらしい作品」と聞いたときにどんな作品を思い浮かべますか?
花とゆめは作家さんの絵柄も、載っているマンガの傾向もまちまちで不思議な雑誌だなあと思います。作家さんの好きなものが詰まっているマンガが花とゆめらしい作品かなと。花とゆめの良さは、現代ラブコメとハイファンタジー、ギャグマンガなどいろんなジャンルを描ける可能性があるところですね。
──現在の花ゆめ連載作品で、毎号楽しみにしている作品はどれですか?
堤翔先生の「フラレガール」が好きです! 堤先生にしか描けない勢いと色気とお話とキャラクターで、本当にすごいと思います。
──「フラレガール」、花ゆめのニューウェーブといった印象で勢いがありますよね。ちなみに、交流のある白泉社の作家さんはいらっしゃいますか?
「ぬこづけ!」の柚木色先生とはLINEで時々やり取りさせてもらっています! 基本的にほかの作家さんとは白泉社の新年会でしか会えないんですが、皆さんしゃべりやすい方で、デジタル作業でわからないことがあるときなどTwitterやLINEでいろいろ情報を教えてくれるのでとても心強いです……。
──花とゆめで作品を描くにあたり、自分に課していることやこだわりなどがありましたら教えてください。
自分が嘘だと思う価値観や言葉は、できれば描きたくないなと思っています。でもマンガとして面白いなら描いたほうがいいのかもしれないので難しいところですが……。
──45周年を迎えた花とゆめ。今後、どんな雑誌になっていってほしいですか?
今まで以上に読者に愛される雑誌になりますように。あと雑誌の方向性とは違うかもしれませんが、個人的には少年マンガ寄りな少女マンガとかが載っていても面白い気がします。
──では最後にファンの方、また花とゆめの読者にメッセージをお願いします。
「蒼竜の側用人」は、私1人の力ではもっとずっと前に終わっているはずの作品でした。こんなにたくさん描けたのは、応援してくださった皆さんのおかげです。少しでも楽しんでもらえるよう、最後まで精一杯描き切りました。読んでくださった人の心に少しでも残る作品になっていたらうれしいです。
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小型の竜ステラが人型に! 竜の研究者アデルの正体とは!? そして、アズファレオ王国が謎の男に乗っ取られてしまい……。
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「蒼竜の側用人」新シリーズ、10月25日発売のザ花とゆめファンタジーより連載スタート
- 千歳四季(チトセシキ)
- 2013年、ザ花とゆめ(白泉社)にて「だからキスして」でデビュー。同年より花とゆめonlineにて「首の姫と首なし騎士」のコミカライズ連載がスタート。2015年に花とゆめ(白泉社)にて「蒼竜の側用人」の読み切りを発表し、好評を博す。同作は2016年より連載化し、2019年に全9巻で完結。ドラマCD化も果たし、水樹奈々、中村悠一らが出演した。
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2019年11月20日更新